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ウクライナが過去最大級のドローン一斉攻撃 「天敵」滑空爆弾のキットを多数破壊/yahooニュース
David Axe によるストーリ
https://news.yahoo.co.jp/articles/a0facc20dba330be3fda8796c5584d484bd382c6
ロシア空軍は、FAB汎用航空爆弾にUMPK衛星誘導キットを装着した誘導滑空爆弾(ウクライナ側呼称「KAB」)を、毎月3000発もウクライナ軍部隊に向けて投下している。4月27日、ウクライナ側がロシア南部クラスノダール地方の航空基地方面に長距離ドローン(無人機)を数十機飛ばし、多数のUMPKが保管されていた倉庫を爆破したのはそのためだ。
ウクライナ南部の前線からおよそ200km離れたクショフスカヤ空軍基地への襲撃直後の動画や衛星画像には、焼け焦げた施設やUMPKの残骸の山が見える。衛星画像からは、スホーイSu-34戦闘爆撃機少なくとも1機が破壊された形跡もうかがえるようだ。Su-34はこのキットを付けた滑空爆弾の主な発射母機になっている機体だ。
もちろん、ウクライナ側がこの戦争の火力バランスを変えていくには、航空基地1カ所の衛星誘導キットの倉庫1カ所に対する1回の攻撃ではまったく不十分だろう。
それでも、ロシアの滑空爆弾作戦を支えるインフラの破壊をウクライナが少なくとも試みてはいることは、注目に値する。「ウクライナがロシアの戦術航空作戦、とりわけ滑空爆弾の使用を妨害できるかは、前線全体の防衛で鍵を握る」と英国防省は指摘する。
FAB/UMPK誘導滑空爆弾は昨年半ば以来、ロシア空軍の主要な航空弾薬になっている。この爆弾は投下されると翼が展開し、射程は40kmある。そのため、ロシア軍機はウクライナ側の防空兵器の射程外からの攻撃、いわゆるスタンドオフ攻撃ができる。UMPKは大まかに言えば米国製のJDAM、フランス製のAASMと似たもので、ウクライナ空軍もこれらの装置で精密誘導可能にした爆弾を自軍機に搭載している。
UMPKの衛星測位システムで誘導されるFABには数百kgの爆薬が詰め込まれており、地上に着弾すると深さ10m以上の穴ができるほど強力だ。ウクライナ軍の第3独立強襲旅団に所属する軍人イェホル・スハルは、「KABが1発着弾するだけで、すべての建物や構造物がただの穴になる」と説明している。
ウクライナの調査分析グループ、ディープステートの表現を借りれば、FAB/UMPK誘導滑空爆弾はロシアの「ミラクル兵器」であり、現時点でウクライナ側に「対抗する手段はほとんどない」。もしひとつあるとすれば、今回やったように、Su-34に4発が搭載される前にこの爆弾やUMPKキットの保管場所を爆撃することかもしれない。
ウクライナがクショフスカヤへの襲撃でどのドローンを使ったのかは不明だ。選択肢はいろいろあるだろう。機首のカメラを弾頭に換装した旧ソ連製の無人偵察機型かもしれないし、爆薬を満載した市販ドローン型かもしれない。あるいは、腹の下などに爆弾を積んだ軽飛行機型かもしれない。
いずれにせよ、投入したドローンは大量だった。この日の襲撃はウクライナによるドローンを用いた攻撃としては、ロシアがウクライナで拡大して2年2カ月あまりたつ戦争で過去最大級だった。ドローンの群れはクショフスカヤ空軍基地と周辺の製油所2カ所を一斉に攻撃したとされる。英国防省は、ロシア側はドローンを合計66機撃墜したと主張しており、これは「攻撃の規模を物語っている」と解説している。
ロシア側はすべてのドローンを撃墜したわけではなかった。少なくとも1機は、今回の攻撃の最大の目標だったとみられるもの、つまりUMPKの倉庫に命中した。ウクライナのドローン操縦士は、数十個にのぼったかもしれないUMPKを破壊することで、前線の味方部隊をロシア軍の滑空爆弾作戦から1日かそこらは解放できたかもしれない。
ウクライナ側がその作戦を長期にわたって相当程度抑え込むためには、ロシアの航空基地に対するドローンによる襲撃を重ねていく必要があるだろう。とはいえ、FAB/UMPK誘導滑空爆弾インフラをウクライナが長距離ドローンで繰り返し攻撃する目標に含めるかどうかはわからない。ウクライナの長距離ドローンはすでに、ロシアの製油所や兵器工場を攻撃目標に据えている。
もうひとつ大きな疑問として残っているのは、ウクライナの長距離ドローン生産能力はどれくらいあるのかだ。ウクライナのハイテク戦争産業を監督するミハイロ・フェドロウ副首相は先ごろロイター通信のインタビューで、国内に長距離ドローンの生産企業は10社あると明かし、2024年の長距離ドローン生産数は合計で数千機にのぼるとの見通しを示している。そのとおりなら、クショフスカヤ方面に行った規模の襲撃を毎週実施できるかもしれない。
ドローンの生産数はさらに増える可能性もある。フェドロウは「資金供給をさらに潤沢にできるよう戦っていく」と意気込みを語っている。
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