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イラン・イスラエル軍事紛争の連鎖を止める努力が必要だ 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/339415
2024/04/25 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
報復合戦を続け、情勢はどんどん激化(イラン・テヘランでの反イスラエル集会)/(C)ゲッティ=共同
中東で今、大変不安な状況が生じている。イランとイスラエルは長年敵対関係にあったが、イランは自国から直接攻撃することはなかったし、イスラエルもイラン国内への軍事攻撃を控えていた。
だが今、軍事攻撃の連鎖が続いている。事態を整理する。
第1段階:昨年10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃。1139人が死亡し、約250人がガザ地区に連行された。
第2段階:イスラエル軍がガザ地区に侵攻。パレスチナ人が3万人以上死亡。ジェノサイド(集団殺害)との非難が起こった。
第3段階:イランと密接なレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシがイスラエルを攻撃。イスラエルは背後にイランがいると判断した。
第4段階:24年4月1日、シリアの首都ダマスカスのイラン大使館に隣接するイラン総領事館別館をイスラエル軍が空爆。革命防衛隊幹部らが死亡。
第5段階:4月13日夜、イランが無人機、ミサイルなど約300発をイスラエルに発射したが、イスラエル、米国などが99%を撃墜した。
第6段階:4月19日、イスラエルがイラン中部をミサイル攻撃した。
一連の経過を見ても分かる通り、明らかに情勢はエスカレートしている。
イラン、イスラエルが報復合戦を続ければ、この地域に悲惨な状況が待っている。イラン、イスラエル双方は相手に壊滅的打撃を与え得るミサイルを有している。
イランはレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ、イラクのシーア派にミサイルを与え、攻撃を重層化できる。
対するイスラエルは最終的に核兵器の使用も辞さない構えだ。
イランが追い詰められれば、サウジアラビアなど湾岸諸国はイスラエルを軍事的に支えている米国を支援しているとして、おのおのの国内のシーア派を動かし、国内騒擾へ誘導することも可能だ。
一方で、イランは攻撃されれば対応するという姿勢を取りつつも、エスカレートさせない道を模索している。
4月13日夜の攻撃の際、一般市民に被害が出ないよう目標を軍事基地に限定し、米国に事前通報を行うことで、イスラエルを激高させない配慮をした。オマーン、トルコ、スイスなどが仲介役を果たしている。
軍事紛争が起こりそうな時、当事者の一方だけを糾弾するのでなくて、エスカレーションさせない努力が必要だ。実は米国ですらそれを実施している。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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