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※画像等はリンク先参照。
No. 2075 抵抗の枢軸:ドンバスからガザまで
投稿日時: 2024年2月29日
Axis of Resistance: from Donbas to Gaza
ドンバスとガザのレジスタンスには、彼らの民族的願望を打ち砕いた一極支配を打倒するという本質的な共通ビジョンがある。
by Pepe Escobar
最近、私がドンバスで自分たちの土地ノヴォロシヤを守るロシア正教徒の大隊を追跡する旅{1}をした際、この新しく解放されとわかった。
キエフのマイダン革命から約10年、ロシアのウクライナにおける特別軍事作戦(SMO)の開始から2年、 抵抗の決意は深まるばかりだ。
米国の代理戦争でロシアの最前線に立つドンバスの人々の強さ、回復力、そして信念を正当に評価することは不可能である。 2014年以来、彼らが続けてきた戦いは、今や目に見えて化けの皮が剥がれ、その正体を現した。その核心はロシア文明に対する西側集団の宇宙戦争である。
ロシアの大統領ウラジーミル・プーチンがタッカー・カールソンとのインタビューで明快に述べたように、たとえロシア連邦の一部でないとしても、ウクライナはロシア文明の一部なのだ。だから現在も進行中の、ドンバスでロシア系民族の市民を砲撃することは、ロシアへの攻撃ということになる。
プーチンは、ガザでのイスラエルによる大虐殺を、「われわれの民族」、つまりイスラムの土地の人々に対して行われたものだと説明するイエメンの抵抗運動アンサララと同じ理由づけをしているのだ。
ノヴォロシヤの豊かな黒土が、「ルールに基づく国際秩序」の終焉の地であるように、西アジアのガザ地区、つまり先祖代々の土地であるパレスチナは、最終的にはシオニズムが滅びる場所なのかもしれない。結局のところ、ルールに基づく秩序もシオニズムも、本質的には西側一極世界の構築物であり、西側一極世界の世界的な経済的・軍事的利益を促進する鍵なのだ。
今日の白熱した地政学的断層線はすでに形成されている。西側諸国対イスラム、西側諸国対ロシア、そしてやがて不本意ながらも西側のかなりの国対中国となるのだ。
しかし、深刻なカウンターパンチも存在する。
西アジアの抵抗の枢軸が「スワーム」戦略(分散して攻撃する)を強化し続ける一方で、ドンバスの正教徒大隊はスラブの抵抗枢軸の前衛と見なさざるを得ない。
これを最前線からわずか2キロしか離れていないドネツクで2人のトップ指揮官に話したところ、彼らは困惑したように微笑んだが、間違いなくその意味を理解した。
結局のところ、ヨーロッパの誰よりもこの兵士たちはこの統一テーマを理解できるのだ。ドンバスと西アジアという2つの帝国最前線において、西側覇権の危機は深まり、急速に崩壊を加速させている。
ノヴォロシアの草原で進行中のNATOの宇宙的屈辱は、西アジア全域で大火災に夢遊病のように突入する英米シオニスト組によって映し出されている。彼らは必死に戦争を望んでないと主張しているが、イランを除くすべての抵抗の枢軸の要所を爆撃している(ペンタゴンはすべてのシナリオを試行し、それらはすべて破滅を予感させるためイランには手を出せない)。
キエフとテルアビブで誰が権力を握っているのか、誰が糸を引いているのか、そのベールに傷をつければ、ウクライナ、イスラエル、米国、イギリス、そしてほぼすべてのNATO加盟国を支配している同じ操り人形の親玉に気づくだろう。
ラブロフ:イスラエル・パレスチナに関する「展望はない」
西アジアにおけるロシアの役割は非常に複雑で、微妙なニュアンスがある。表面的には、モスクワの権力中枢はイスラエル・パレスチナは「我々の戦争ではない」と明言している:「我々の戦争はウクライナだ」。
同時に、クレムリンは西アジアにおける調停者、信頼される和平調停者として前進を続けている。ロシアはおそらく、そのような役割を果たすのにふさわしいユニークな立場にある。世界の大国であり、この地域のエネルギー政治に大きな影響力を持ち、世界の新興経済・安全保障機関のリーダーであり、すべての主要地域諸国と強固な関係を享受している。
多極化したロシアには穏健なイスラム教徒が多く、パレスチナ人の苦境と本能的につながっている。そしてBRICS+の要素もある。現在ロシアが議長国としてパレスチナの難問に対する新たな解決策を進めるために新メンバーであるイラン、サウジアラビア、UAE、エジプトから十分な注目を集めることができる。
今週モスクワで開催されたバルダイ・クラブの第13回中東会議で、セルゲイ・ラブロフ外相{2}は核心を突いた発言をし、原因である米国の政策と、その結果イスラエル・パレスチナを破局に向かわせていることを強調した。
彼はピースメーカーロシアの役割を果たした。「我々は内部分裂を克服するためにパレスチナ間会議を開くことを提案している。」 彼はまた、現実主義ロシアの顔も見せた。「イスラエルとパレスチナの和解の展望は、今のところない」。
詳細なバルダイ報告書{3}は、ロシアの立場を理解するための重要な窓を開いた。それは、ガザとイエメンを「痛みの震源地」{4}として結びつけている。
その背景として、先月末、プーチンの西アジア問題担当特別代表ML ボグダノフ外務副大臣は、モハメド・アブデルサラム率いるアンサララ代表団をモスクワに迎えた。
外交筋によれば、彼らはイエメン、ガザ、紅海における軍事的・政治的危機の包括的解決の行方など、あらゆることについて突っ込んだ話をしたという。ワシントンとロンドンが理性を失ったのも無理はない。
パレスチナ問題の消滅
バルダイで最も重要なラウンドテーブルは、パレスチナ問題{5}と、いかにしてパレスチナを統一することができるか、であった。
パレスチナ国民評議会(PNC)のメンバーであり、パレスチナ自治政府(PA)の前外務大臣(2005年〜2006年)であるナセル・アル=キドワは、イスラエルの3つの戦略的立場がすべて危険な現状維持を目的としていることを強調した:
第一に、テルアビブはガザとヨルダン川西岸地区の分断を維持しようとしている。
第二に、キドワによれば、「どちらか一方を弱体化させ、もう一方を強化し、国家的リーダーシップを妨げ、武力のみを用いてパレスチナの民族的権利を抑圧し、政治的解決を妨げようとしている。」
イスラエルのアジェンダの第三は、パレスチナ問題に対処することなく、いくつかのアラブ諸国との正常化を積極的に追求すること、つまり「パレスチナ問題の消滅」である。
そしてキドワは、これら3つの戦略的立場の「終わり」を強調した。なぜなら本質的にはネタニヤフが「自分自身を救うため」に戦争を長引かせようとしているからであり、その結果、他の可能性も出てくる。イスラエルの新政権、「好むと好まざるとにかかわらず」パレスチナの新指導部、そしてハマスの新体制である。
キドワは、そこには4つの広大な議論の場があるという。パレスチナの現状;ガザとイスラエルの撤退;パレスチナの状況を変えることでそのプロセスは国内ベースで「平和的」であるべきであり「復讐を伴わない」ものでなければならないこと;そして今後の全体的なメカニズムである。
キドワによれば、明らかなのはこの先「二国家解決」はないということだ。基本に立ち返ることになるだろう、つまり30年前にオスロで表向き合意された問題である「パレスチナの民族独立の権利」を肯定することだ。
今後のメカニズムについて、キドワは、「四者協議は機能不全に陥っている」という事実を隠さず述べている。彼は、EUが支持したスペインのアイディアに期待を寄せており、「それを我々が修正した」と言う。大まかに言えばガザ地域の現状に基づいて何回かに分けて国際和平会議を行うというものである。
これは、新しいイスラエル政府を含んでの数回のラウンドを意味し、新イスラエル政府は「平和の枠組み」を開発することを強いられるだろう。最終的な結果は、多数の国連安全保障理事会決議に基づく、国際社会が受け入れ可能と認める最低限のものでなければならない:1967年の国境線、相互承認、および具体的なタイムライン、おそらくは2027年。そして重要なのは、「最初から尊重される約束を確立する」ことであり、オスロの集団にはこれが到底理解でないものだった。
ネタニヤフと現在の機能不全に陥ったホワイトハウスのもとでは、上記のどれもが不可能であることは明らかである。
しかし、キドワはまたパレスチナ側についても次のように認めている。「ガザ地区とヨルダン川西岸地区を一緒にする指揮者がいない」。もちろんこれはイスラエルが戦略的に成功させた政策である。イスラエルは長い間、2つのパレスチナ自治区を対立させたままにしておくことに腐心し、分裂を乗り越えられるパレスチナの指導者を暗殺してきたのだ。
バルダイでは、ミシェル・アウン前レバノン大統領(2016~2022)の顧問であるアマル・アブー・ゼイドが、「ウクライナ戦争と同様に、ガザ戦争は地域秩序の基盤を崩壊させた」と指摘した。
以前の秩序は「安定への道筋としての経済中心」だった。その後、ハマスが10月7日にイスラエルに対して行った作戦が、激変の引き金となった。 それは「イスラエルと湾岸諸国、特にサウジアラビアとの間の正常化を中断させ」、 パレスチナ危機の政治的解決を復活させた。「このような解決なくして」、安定への脅威は「地域的かつ世界的」なものである、とゼイドは強調した。
今我々は1967年の国境線に沿った2つの国家の共存、つまり不可能な夢に戻ったわけである。しかし、パレスチナの問題を解決しなければ、「欧州が地中海諸国と正常な関係を築くことは不可能だ。EUは和平プロセスを前進させなければならない」というゼイドの指摘は正しい。
西アジアからロシアに至るまで、特に、「イスラエルの過激主義が支配し」、パレスチナ自治政府には「指導者不在」で、「米国の仲介が不在」であるため、誰も期待してはいない。
古い考え vs 新しいプレーヤー
ヨルダン大学戦略研究センター長のザイド・エヤダットは、「合理主義的な視点」を採用しようとした。「新たなダイナミクスが働いている。この戦争はハマスやガザを超えて、はるかに大きい」と彼は主張した。
しかし、エヤダットの見通しは暗い。「イスラエルは勝っている」と彼は主張し、この地域の抵抗の枢軸全体やアラブ世界にさえ矛盾している。
エヤダットは、「パレスチナ問題は再び表舞台に戻ってきた。しかし包括的な解決への意欲はない。だからパレスチナ人は負けるだろう」と指摘している。
なぜなら、「アイデアが破綻」しているから。つまり「持続不能なものをより合理的なものに変える方法」がない。そして「モラルの欠如」の中核にあるのが「ルールに基づく秩序」なのだ。
このような過去の時代の発言は、多極的な先見性を持つ今日のレジスタンス志向のビジョナリーとは相容れない。
エヤダットはイスラエルとイランの競争、過激で無秩序なテルアビブ、ハマスとPAの分裂、自国の利益を追求する米国について心配しているが、この分析に欠けているのは地上という舞台と世界的な多極化の波である。
西アジアにおける「抵抗の枢軸」の「スウォーム」は始まったばかりであり、軍事的・経済的なカードはまだたくさんある。スラブの抵抗の枢軸は2年間、絶え間なく戦い続けてきた。そして今ようやく(泥沼の)トンネルの先にアドヴェフカ陥落につながる可能性のある光を垣間見始めている。
レジスタンス戦争はグローバルなものであり、今のところたった2つの戦場で繰り広げられている。しかし、彼らの国家支持者たちは、今日のグローバルなチェス盤の手強いプレーヤーであり、それぞれの領域でゆっくりと勝利を積み重ねている。その一方で敵である米国は、経済的に自然落下状態にあり、戦争に対する国内的な指令もなく、解決策も提示しない。
ドンバスの泥の黒土であろうと、ガザの地中海沿岸または世界の重要な航路であろうと、ハマス、ヒズボラ、ハシュド・アル・シャアビ、そしてアンサルアラーは、「苦しみの中心地」を「希望の中心地」に変えるために必要な時間をすべてかけるだろう。
Links:
{1} https://sputnikglobe.com/20240213/pepe-escobar-life-during-wartime–on-the-road-in-donbass-1116752456.html
{2} https://valdaiclub.com/multimedia/video/presentation-of-the-report-for-the-13th-middle-east-conference/
{3} https://valdaiclub.com/a/reports/gaza-yemen-epicentres-of-pain/
{4} https://valdaiclub.com/files/43674/
{5} https://valdaiclub.com/multimedia/video/third-session-of-the-13th-middle-east-conference-in-english/
https://thecradle.co/articles/axis-of-resistance-from-donbass-to-gaza
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