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イスラエルは、世界法廷のジェノサイド評決を恐れている
<記事原文 寺島先生推薦>
Israel is Terrified the World Court Will Decide It’s Committing Genocide
https://libya360.wordpress.com/2024/01/08/israel-is-terrified-the-world-court-will-decide-its-committing-genocide/
筆者:マージョリー・コーン(Marjorie Cohn)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2024年1月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年1月14日
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2018年7月23日、オランダのハーグにある国際司法裁判所の内観。2018年7月23日、ABDULLAH ASIRAN / ANADOLU AGENCY / GETTY IMAGES
この約3カ月間、イスラエルは、パレスチナ人への残虐な犯罪行為に対して実質的に免罪を享受してきた。それが12月29日にできなくなった。ジェノサイド条約の締約国である南アフリカが、イスラエルがガザでジェノサイド(集団大虐殺)を犯していると主張する84ページの申請書を国際司法裁判所(ICJ、または世界裁判所)に提出したからだ。
南アフリカの確固とした資料に基づく申請書は訴えている。「イスラエルによる行為や不作為は、...... ジェノサイド(集団大虐殺)的な性格を有していて、ガザのパレスチナ人を国家的、人種的、民族的集団の一部として殲滅するという具体的意図をもって行われたものである」。そして「イスラエルの行為は、イスラエルの国家機関、国家の代理機関、そしてその他の人々や組織が、その指令や統制や影響の下に行動していて、ガザのパレスチナ人との虐殺において、ジェノサイド条約に基づく義務に違反している。」
イスラエルは、ICJ(国際司法裁判所)がガザでジェノサイドを犯していると認定するのを阻止するため、全面的な圧力をかけている。1月4日、イスラエル外務省は各大使館に対し、受け入れ国の政治家や外交官に圧力をかけ、ICJでの南アフリカの提訴に反対する声明を出すよう指示した。
南アフリカは申請書の中で、イスラエルがガザで大量虐殺を行なっているという主張を裏付ける8つの申し立てを挙げている。それらは以下のとおりである。
(1) ガザでパレスチナ人を殺害していること。21,110人以上の死者のうち、女性や子どもの割合が多く(約70%)、中には即刻処刑された者もいるようだ。
(2) ガザのパレスチナ人に対し、深刻な精神的・身体的危害を加えたこと。その中には、身体傷害、心理的外傷、非人道的で卑劣な扱いを含む。
(3) 子ども、高齢者、病人、負傷者を含む、ガザにいるパレスチナ人の約85%を強制退去させ、移住させている。イスラエルはまた、パレスチナ人の家、村、町、難民キャンプ、地域全体の大規模な破壊を引き起こし、パレスチナ人のかなりの割合が故郷に戻ることを妨げている;
(4) 包囲されたガザのパレスチナ人に必要な人道支援を妨げ、広範な食糧不足、飢餓、飢餓、脱水を引き起こしている。必要な食料、水、燃料、電気を遮断し、パン屋、製粉所、農地、その他の生産・生活手段を破壊している。
(5) 190万人の国内避難民を含むガザのパレスチナ人に対し、適切な衣服、避難所、衛生、公衆衛生の提供を怠り、制限した。このため、避難場所を日常的に標的とし、破壊し、女性、子ども、高齢者、障害者を含む避難している人々を殺傷している。
(6) ガザのパレスチナ人に対し、医療を提供すること、またはその医療提供を保護することを怠っている。それには、大量虐殺行為によって深刻な身体的被害を引き起こしている医療上の必要性を含んでいる。これは、パレスチナの病院、救急車、その他の医療施設への直接的な攻撃、パレスチナの医師、医療従事者、看護師(ガザで最も有能な医療従事者を含む)の殺害、ガザの医療システムの破壊と無力化によって生じている。
(7) ガザの生活基盤施設、学校、大学、裁判所、公共施設、公文書、図書館、商店、教会、モスク、道路、公共施設、その他パレスチナ人の集団生活を維持するために必要な施設を破壊することによって、ガザにおけるパレスチナ人の生活を破壊している。イスラエルは、家族全員を殺害し、口承史料をすべて抹消し、社会の著名人や著名人を殺害している。
(8) パレスチナ人女性、新生児、乳幼児、子どもたちに加えられた出産・育児に関する暴力を含め、ガザにおけるパレスチナ人の出産を阻止することを意図した措置を課している。
南アフリカは、ジェノサイドを意図している直接的な証拠となる、イスラエル政府高官の無数の発言を挙げた。
「ガザは以前のようには戻らない。ガザが以前の状態に戻ることはない。われわれはすべてを排除する」、とイスラエルのヨアヴ・ギャラント国防相は述べた。「ガザが以前のように戻ることはない。数週間、あるいは数カ月かけて、あらゆる場所で排除は行なわれるだろう。」
イスラエルのアヴィ・ディヒター農業大臣は、「我々は今、実際にガザのナクバ(1948年のパレスチナ人強制排除)を展開している」と宣言した。
クネセト副議長で外交安全保障委員会のニシム・ヴァトゥリ委員は、「いまやわれわれは、地球上からガザ地区を消し去るという共通の目標を持っている」、と宣言した。
国際司法裁判所(ICJ)で南アフリカを敗訴させるイスラエルの戦略
イスラエルとその主要な後援者である米国は、南アフリカの国際司法裁判所(ICJ)申請の重大さを理解しており、憤慨している。イスラエルは通常、国際機関を馬鹿にしているが、南アフリカの訴訟は深刻に受け止めている。2021年、国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルによるガザでの戦争犯罪疑惑の調査を開始したとき、イスラエルは調査の正当性を断固として拒否した。
テルアビブ大学の国際法専門家であるエリアフ・リーブリッヒ教授はハアレツ紙に語った。「イスラエルは通常、このような手続きには参加しない。しかし、これは国連の調査委員会やハーグの国際刑事裁判所(ICC)ではない。それは国際司法裁判所(ICJ)であり、イスラエルが加盟した条約から権限を得ているため、権限がないという通常の理由で拒否することはできない。それは国際的な威信を持つ機関でもある」。
イスラエル外務省の1月4日付の公電によれば、イスラエルの「戦略的目標」は、ICJが南アフリカによるイスラエルのガザでの軍事行動差し止め請求を却下し、イスラエルがガザで大量虐殺を行なっていると認定することを拒否し、イスラエルが国際法を遵守していると裁定することだという。
同公電は、「同裁判所による裁定は、法律の世界だけでなく、現実的な二国間、多国間、経済、安全保障に大きな影響を及ぼす可能性がある。私たちは、次のような明確な声明を直ちに発表することを求めます。『あなたの国は、イスラエルに対してなされたとんでもない、不条理で根拠のない申し立てを拒否することを、公然と明確に表明することを求める』」、と述べた。
この公電は、外交官や政治家の高官に対して、次のように促すことをイスラエル大使館に指示している。「イスラエルは、大量虐殺テロ組織による10月7日の恐ろしい攻撃の後、自己防衛のために行動しながら、ガザへの人道支援を拡大し、市民への被害を最小限に抑えるために(国際的な関係者とともに)取り組んでいることを公に認めるように」、と。
「イスラエル国家は、南アフリカの不条理な”血の名誉毀損*”を払拭するため、ハーグの国際司法裁判所(ICJ)に出廷する」と、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の報道官エイロン・レヴィは宣言した。南アフリカの申請は「法的なメリットがなく、卑劣な宣伝と法廷侮辱にあたる」と彼は述べた。
イスラエルは、「血の名誉毀損」(ユダヤ人がキリスト教徒の子どもたちを儀式の犠牲にしたと誤って非難する反ユダヤ主義的な表現)の卑劣な告発などに、あらゆる手段を講じている。
「人種差別と闘うことを誇りとする虹の国(民族多様性の国)が、反ユダヤ人種差別主義者のために無償で闘うとは、なんと悲劇的なことか」とレヴィは皮肉った。彼は、ガザのハマス壊滅のためのイスラエルの軍事作戦は、ユダヤ人の大量虐殺を防ぐためのものだという驚くべき主張をした。
古い格言にあるように、町から追い出されそうになったら、群衆の前に出てパレードを先導しているように振る舞え。
バイデン政権は同盟国イスラエルを守るために立ち上がった。ジョン・カービー米国家安全保障会議報道官は、南アフリカのICJ申請を「メリットがなく、逆効果で、まったく事実無根だ」と非難した。カービー報道官は、「イスラエルはパレスチナの人々を地図から消し去ろうとはしていない。イスラエルはガザを地図から消し去ろうとしているのではない。イスラエルは、大量殺戮を行うテロリストの脅威から自国を守ろうとしているのだ」と、イスラエルのとんでもない主張を繰り返した。
イスラエルが大量虐殺を防ごうとしているというカービー報道官の主張は、10月7日にハマスが1200人のイスラエル人を殺害して以来、イスラエル軍が少なくとも22,100人のガザ人を殺害し、そのうちの約9,100人が子どもであるという事実を考えれば、とりわけ馬鹿げている。少なくとも57,000人が負傷し、少なくとも7,000人が行方不明になっている。計り知れない数の人々が瓦礫の下敷きになっているのだ。
イスラエルに対する暫定措置は直ちに影響を与えることができる
南アフリカはICJに対し、「ジェノサイド条約に基づいて、パレスチナ人に対する、さらなる深刻かつ回復不能な被害から彼らを守る」ために、暫定措置(暫定的差止命令)を命じるよう要請している。南アフリカはまた裁判所に、「イスラエルのジェノサイド条約に基づく義務を遵守させ、イスラエルにジェノサイドに関与させないこと、ジェノサイドを防止し処罰すること」を求めている。
南アフリカが求めている暫定措置には、イスラエルに対し、「ガザ内およびガザに対する軍事作戦を直ちに停止すること」、そして、「パレスチナ人を殺害し、身体的または精神的に深刻な危害を加えること、彼らの全部または一部を殺害することを意図した生活条件を彼らに科すこと、パレスチナ人の出産を妨害する措置を中止し、やめること」を命じることが含まれている。南アフリカはICJに対し、イスラエルがパレスチナ人を追放し、強制的に避難させ、食料、水、燃料、医療品や援助を奪うことをやめるよう命じることを求めている。
国連の司法機関であるICJは、国連総会と安全保障理事会によって選出された15人の裁判官で構成され、任期は9年である。国際刑事裁判所のような刑事法廷ではなく、国家間の紛争を解決するものである。
ジェノサイド条約の締約国は、他国がその義務を履行していないと考える場合、その国の責任を問うためにICJに訴えることができる。ボスニア対セルビアの裁判では、セルビアがジェノサイド条約の下でジェノサイドを防止し処罰する義務に違反したと裁判所が判断した。
ジェノサイド条約における義務は、「エルガ・オムネス・パルテス」、すなわち、国家がこの条約のすべての締約国に対して負う義務である。国際司法裁判所(ICJ)は、「このような条約においては、締約国は自国の利益を有しているのではなく、条約の存在意義である崇高な目的の達成という共通の利益を有しているだけである」と述べている。
国連憲章第94条は、紛争当事国はすべてICJの決定に従わなければならないと定めており、もしある当事国が従わない場合には、もう一方の当事国は国連安全保障理事会にその決定の執行を求めることができると定めている。
平均的なICJの裁判は、開始から終了まで数年かかることもある(1993年にボスニアがセルビアに対して初めて提訴してから、2007年に本案に関する最終判決が出されるまでには15年近くかかった)。しかし、裁判が直ちに影響を及ぼすこともある。国際司法裁判所(ICJ)への提訴は、国際社会がイスラエルの行為を容認せず、その責任を追及するという強いメッセージをイスラエルに送ることになる。
暫定措置は迅速に出される。例えば、ボスニアの裁判が開始されてから19日後、ICJは暫定措置を命じた。暫定措置は命令された当事国を拘束し、その遵守はICJと安全保障理事会の双方によって監視される。
国際司法裁判所(ICJ)が当事者間の紛争で下した本案に関する判決は、当事国を拘束する。国際連合憲章第94条は、「国際連合の各加盟国は、自国が当事者であるいかなる事件についても、(国際司法裁判所の)決定に従うことを約束する」と定めている。裁判所の判決は最終的なものであり、上訴はできない。
南アフリカの暫定措置請求に関する公聴会は、オランダ・ハーグの平和宮にあるICJで1月11日と12日に開催される。公聴会の模様は、東部時間午前4:00-6:00、太平洋時間午前1:00-3:00に、同裁判所のウェブサイトおよびUN Web TVで生放送される。裁判所は公聴会後1週間以内に暫定措置を命じる可能性がある。
ジェノサイド条約の他の締約国も南アフリカの裁判に参加できる
ジェノサイド条約の他の締約国は、南アフリカが提訴した裁判への参加許可を求めるか、ICJにイスラエルに対する独自の申請を提出することができる。南アフリカの申請には、イスラエルのガザでの大量虐殺に言及した数カ国が名を連ねている。その中には、アルジェリア、ボリビア、ブラジル、コロンビア、キューバ、イラン、パレスチナ、トルコ、ベネズエラ、バングラデシュ、エジプト、ホンジュラス、イラク、ヨルダン、リビア、マレーシア、ナミビア、パキスタン、シリアが含まれている。
ヨルダンのアイマン・サファディ外務大臣は、南アフリカがICJでイスラエルに対して起こしたジェノサイド訴訟を支持すると発表した。サファディ外相は、ヨルダン政府がこの裁判を応援するための法的告訴に取り組んでいるとも付け加えた。トルコ、マレーシア、イスラム協力機構(OIC)もこの訴訟を支持すると発表した。
新たに結成された「パレスチナにおけるジェノサイドを阻止する国際連合」は、世界中の600以上の団体に支持され、ジェノサイド条約発動を締約国に促すために招集された。
同連合の主張は、「南アフリカによるイスラエルへのジェノサイド条約発動を支持する介入宣言は、国連によってジェノサイド犯罪認定が肯定され、すべてのジェノサイド行為を終わらせるための行動がとられ、その行為に責任を負う者が責任を問われる可能性を高めるだろう」としている。
1月の第1週、「CODEPINK」、「ワールド・ビヨンド・ウォー」、「RootsAction」が率いる「草の根外交官」の代表団は、ICJにおける南アフリカ対イスラエル裁判への介入宣言を提出するよう各国に促すキャンペーンを全米で展開した。活動家たちは12都市を回り、コロンビア、パキスタン、ボリビア、バングラデシュ、アフリカ連合、ガーナ、チリ、エチオピア、トルコ、ベリーズ、ブラジル、デンマーク、フランス、ホンジュラス、アイルランド、スペイン、ギリシャ、メキシコ、イタリア、ハイチ、ベルギー、クウェート、マレーシア、スロバキアの国連公館、大使館、領事館を訪問した。
「これは、各国政府に南アフリカの訴訟支援を集団的・社会的圧力をかけるまれな機会です」と、ニューヨークを拠点とするパレスチナの弁護士、ラミス・ディーク氏は述べ、その事務所でパレスチナ解放議会の戦争犯罪の正義、賠償、帰還に関する委員会を招集した。「私たちはもっと多くの国が訴訟介入を支援する必要があります。そして、米国の政治的圧力に耐えられるよう、裁判所には大衆の監視の目が必要なのです。」
全米法律家組合(National Lawyers Guild)のスザンヌ・アデリー会長は、「イスラエルと米国、そして欧州の同盟国が世界的に孤立を深めていることは、民衆運動が自国政府を動かし、これらの措置を講じ、歴史の正しい側に立つ方向へと導く重要な瞬間であることを示す指標である」と指摘した。実際、10月7日以来、世界中で何百万人もの人々がパレスチナ解放を支持して行進し、抗議し、デモを行なってきた。
「RootsAction」と「ワールド・ビヨンド・ウォー」は、他のジェノサイド条約締約国に対し、南アフリカによるイスラエルに対するジェノサイド訴訟への介入宣言をICJに提出するよう促すために、組織や個人が使用できる定型書式を作成した。
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マージョリー・コーンは、トーマス・ジェファーソン・スクール・オブ・ローの名誉教授であり、ナショナル・ロイヤーズ・ギルドの元会長、アサンジ弁護団とベテランズ・フォー・ピースの国内諮問委員、国際民主法律家協会の事務局メンバーである。著名な学者であり、講演家でもある。彼女の著作は『カーボーイ共和国;ブッシュ暴力団が法を無視する6つの方法』、『ドローンと標的殺害:法的、倫理的、地政学的問題』などがある。また、地元、地方、国内、国際的なメディアに解説を提供し、ラジオ「Law and Disorder」の共同司会者でもある。
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