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※動画等はリンク先参照。
イスラエルのガザ戦争は、ヨーロッパの植民地支配の歴史そのものだ
<記事原文寺島先生推薦>
Israel’s War on Gaza Encapsulates the Entire History of European Colonialism
https://libya360.wordpress.com/2023/12/29/israels-war-on-gaza-encapsulates-the-entire-history-of-european-colonialism/
筆者:ハミド・ダバシ (Hamid Dabashi)
出典:Internationalist 360° 2023年12月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年1月8日
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2023年12月25日、ガザ地区中央部のマガジ難民キャンプに対するイスラエル軍の空爆で死亡した親族を悼む男性(Mahmud Hams/AFP)
シオニストがヨーロッパやアメリカの指導者たちから全面的な支持を得ているのは、「すべての獣を絶滅させる」という大量虐殺の衝動が彼らの精神の奥深くに埋め込まれているからだ。
ガザに閉じ込められた何百万人ものパレスチナ人が飢餓と大量虐殺に直面しているとき、イスラエルの侵攻軍は、「コンサートやマッサージチェア、ビュッフェ、その他」で贅沢をする「若返り複合施設」を楽しむ自分たちの姿を必ず撮影した。
自分たちの祖国でパレスチナ人を虐殺しながら、ちやほやされるイスラエル人を見るのはシュールだ。
これは、少なくともバルトロメ・デ・ラス・カサスの『インド諸島の破壊に関する簡潔な報告(A Short Account of the Destruction of the Indies)』(1552年)以来続いている入植植民地主義の種族ジェノサイドだ。彼はその中で、スペイン人の残忍な暴力行為を後世のために記録し、「野蛮なインド人」を大量虐殺する光景を詳細に記述した。イスラエルもパレスチナ人に対して同様のことを行なっている。
北アメリカや南アメリカ、オーストラリア、アジア、そしてアフリカなどに、ヨーロッパの入植植民者たちは、その病的ジェノサイドの痕跡を残している。
ヨーロッパの大西洋横断奴隷貿易によって、アフリカの人口は半減したと考える歴史家もいる。アメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、そして多くのアフリカ植民地はすべて、原住民の組織的な絶滅や強制退去、そして強制収容の上に築かれた。
現在、ガザや他のパレスチナ地区で激しく展開されているイスラエルの入植者=植民地主義において、ヨーロッパ植民地主義は、その殺人的悪名に従って行動しており、復讐心をもって世界の舞台に戻ってきた。
数十年にわたり、ヨーロッパ植民地主義の研究者たちは、世界中の先住民の計画的大量虐殺の事例を文書化し、アーカイブ化し、つなげるために精力的に働いてきた。
しかし、ガザやヨルダン川西岸では、そのような丹念な研究は必要ない。そこでは、イスラエル軍と入植者たちの蛮行が、ソーシャル・メディアやグローバル・サウスの主流メディアで、自分の目で確かめようとする人なら誰でも見られるように、十分に公開されているからだ。
イスラエルは、ヨーロッパ系アメリカ人による入植植民地主義の全歴史とその大量虐殺本能を、余すところなく全世界さらけ出した。
西側メディアは、イスラエルの殺人行為をごまかすために、たゆまず、恥知らずに働いている。「別の事実」を提供し、パレスチナ人を悪者にし、イスラエル人を尊崇し、シオニズムを浄化して、イスラエルが「最も道徳的な軍隊」であることを世界に保証している。しかし、世界は概して、彼らの悪質なジャーナリズムから解放されている。
入植者植民地主義ジェノサイド
イスラエルがパレスチナ人に対するジェノサイドを進める一方で、アメリカ議会はイスラエルの行動に反対する者を迫害し、ユダヤ人に対する架空の脅威を追及した。その動きは大富豪たちによっても支援されている。彼らは(大学にはもう金を出さないぞと)大学の学長たちを恫喝して正気を失わせているのだ。
数十年にわたり、先駆的な反植民地主義者やポストコロニアル*思想家による批判的思考は、ヨーロッパ人やアメリカ人によって世界中で行われた野蛮行為に対する私たちの認識を根本的に変えてきた。
*経済や文化、政治に残存する植民地主義の影響を明らかにし、現状を変革するための思想。「ポスト」という接頭辞は、様々な地域が解放された後に、現在もなお植民地主義の影響のもとにあることを強調するために用いられている。(知恵蔵)
米国では、批判的な人種理論家や横断的フェミニスト*が、「既成の」世界史に対して画期的な挑戦を行っている。
*全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人
イスラエルはその植民地支配の歴史の縮図であり、すべてがシオニストの殻の中に詰め込まれている。
「数週間も経たないうちに、ガザでのイスラエルの軍事作戦によって殺された子どもの数は、私が事務総長になって以来、紛争当事者によって殺された子どもの数よりもはるかに多くなります」と、アントニオ・グテーレス国連事務総長は2023年11月30日に述べた。
しかし、パレスチナ人は一貫して非人間化され、彼らの運命は非歴史化され、イスラエル人はいわれのない攻撃に報復する犠牲者に仕立て上げられている。シオニストが欧米の支援を受けてパレスチナを征服した歴史は、一貫して抹消されている。パレスチナ人には歴史も人間性も文化もない。イスラエル人は天地創造の時からパレスチナにいた。福音的シオニズムは世界全体で最も重要な物語だった。
イスラエル人がパレスチナでやっていることは、フランス人がアルジェリアで、イギリス人がインドで、ベルギー人がコンゴで、アメリカ人がベトナムで、スペイン人がラテンアメリカで、イタリア人がアフリカで、ドイツ人がナミビアでやったことであり、ヨーロッパのジェノサイド史の新たな章である。
エッセイ『入植者植民地主義と先住民の抹殺(Settler Colonialism and the Elimination of the Native)』(2006年)の中で、「ヨーロッパ人の行なったジェノサイドと入植者植民地主義が、人種の文法を組織化することを典型的に用いてきた」経過をパトリック・ウルフは明示した。
さらに痛烈に、マルティニーク島(カリブ海の島)出身の作家で政治家であるエメ・セザール(Aime Cesaire)は、彼の1950年の重要な著作『植民地主義論(Discourse on Colonialism)』で、植民地主義者が先住民を奴隷化し、人間性を奪い、彼らの土地を奪い、労働を搾取し、資源を荒らすという悪質な動機を描写した。
マニフェスト・デスティニー(明白な運命)
どうしてある民族が他の民族にこんなことをするのか。もちろん、それは自分たちが神によって運命づけられたと思っているからだ。
シオニズムは、人種差別主義者の米国の教義 「明白な運命(manifest destiny)」のユダヤ版である。「マニフェスト・デスティニー」とは白人の人種的優位性を信じ、彼らが絶滅させたネイティブアメリカンや他のグループに対する米国の植民地支配の決定的な拠り所となっている。
「マニフェスト・デスティニー」と同様、シオニストたちは、パレスチナは彼らの約束の地であり、そこは彼らの神によって運命づけられ、約束されたものであり、先住民は残酷に排除されるべき厄介者であると信じている。
イスラエル軍がガザで行なっていることは、シオニスト版の「偉大な交代」理論である。その理論の主張は、有色人種が白人に取って代わりつつあり、そのプロセスは逆転させなければならないというものだ。
米国でこのような意見が出ると、真面目な新聞コラムニストたちはそれを嘲笑し、陰謀論だと一蹴する。しかし、そのような見解がイスラエルで表明されると、彼らはそれを支持し、支持し、イデオロギー的に武装し、武器にする。
アメリカの「マニフェスト・デスティニー」のイデオロギーの根底には、キリスト教の熱狂主義があった。これは現在、福音主義のシオニズムに変容しており、その目的は「聖地」を征服し、彼らのメシアの再来に備えることだ。(彼らが言うメシアは、パレスチナのイエス・キリストやラテンアメリカの解放神学とは何の関係もなく、アメリカの帝国主義的な想像力の完全な架空の構築物だ)。
「すべての野獣を根絶やしにせよ」
歴史家フレデリック・ジャクソン・ターナーは、1893年に発表した古典的なエッセイ『アメリカ史におけるフロンティアの意義』の中で、アメリカの入植植民地主義者たちは、自分たちが後に残したヨーロッパ文明と、「新世界」で直面する野蛮さによって、自分たちの運命が決められていると見ていたと説いた。
ターナーは、アメリカ人の性格はこれらの信念によって形成されていると信じていた。福音主義のシオニズムを通じて、あのフロンティア、「野蛮」に対するあの戦いが、イスラエルの入植植民地プロジェクトをパレスチナの抵抗に対して駆り立てているものだ。
ジョセフ・コンラッドの1899年の小説『闇の奥(Heart of Darkness)』では、アフリカのコンゴ自由国と思われる無名の土地にベルギーの怪しい会社から送り込まれた象牙商人カーツが、「すべての獣を根絶やしにせよ」とささやく。
スウェーデンの作家スヴェン・リンドクヴィスト(Sven Lindqvist)は、1992年に出版した本のタイトルにこの言葉を使った。この本は、アフリカにおけるヨーロッパの植民地主義、人種差別、大量虐殺の根源について道徳的に考察したものである。
ハイチ出身のドキュメンタリー映画監督ラウル・ペック(Raoul Peck)は、リンドクヴィストの著書の一部を基に、2021年にHBOのミニシリーズ『Exterminate All the Brutes(すべての野獣を根絶やしにせよ)』を制作した際、ヨーロッパ植民地主義の蛮行を記録するために世界中を回ったが、パレスチナの状況は「複雑」であるというリベラル・シオニストの陳腐な言及を除いては、あえてパレスチナには近寄らなかった。
だが、パレスチナの状況は複雑ではない。征服、植民地化、ジェノサイドという悪質なヨーロッパ人入植者の狂気が、私たちの目の前で繰り広げられているのだ。
シオニストの背後には、ヨーロッパやアメリカ、カナダ、そしてオーストラリアの入植者たちの忠実かつ無条件の支援がある。
そのため、歴史的にヨーロッパの残忍さによって長らく苦しめられてきた世界全体が、パレスチナ人のようになったということだ。
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筆者のハミド・ダバシは、ニューヨーク市のコロンビア大学でイラン研究と比較文学のハゴップ・ケヴォーキアン・センターの教授で、比較文学、世界映画、ポストコロニアル理論を教えている。最近の著書に『二つの幻想の未来:西洋の後のイスラム』 (2022) などがある。最後のイスラム知識人:ジャラル・アル・エ・アフマドの生涯と遺産 (2021年);『植民地の視線の逆転:ペルシャの海外旅行者』 (2020年) 、『皇帝は裸である:国民国家の不可避な終焉』 (2020年) 。彼の本やエッセイは多くの言語に翻訳されている。
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