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2023年12月22日 20時33分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/297687?rct=politics
政府は22日、武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定した。三原則本体の改定は約10年ぶり。武器輸出政策を大幅に転換し、ミサイルや弾薬など殺傷能力のある武器輸出の解禁に踏み切った。国際紛争を助長する懸念は否定できないが、三原則は閣議で、運用指針は国家安全保障会議(NSC)で決定され、国会での議論はなかった。(川田篤志)
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防衛装備移転三原則 日本は1970年代に武器の原則禁輸を定めた武器輸出三原則を確立。安倍政権下の2014年に策定した防衛装備移転三原則で一部容認するルールに転換したが、国際共同開発品を除き殺傷武器の輸出は禁じてきた。2022年末に閣議決定された安全保障関連3文書が「防衛装備移転の推進」を掲げたのを受け、自民、公明両党の実務者が原則非公開の協議を経て、12月13日にルール緩和の提言をまとめた。
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◆「ライセンス生産品」の輸出を容認 戦闘中の国へは認めない
外国企業に特許料を払って日本で製造する「ライセンス生産品」について、米国などライセンス元の国へ完成品の輸出を容認することなどが柱。ライセンス生産品は現在、米国や英国など8カ国の79品目あり、迎撃ミサイルや大砲、弾薬などが含まれる。
ライセンス元の国から第三国への輸出も解禁するが、殺傷武器に関しては戦闘中の国へは認めないとした。政府は第三国輸出の場合、ライセンス元の国に日本の事前同意を義務づけ、厳格に審査することで紛争国への流出の歯止めになると説明する。ただ輸出された後に適正に管理・処理されたかを確認できる仕組みは担保されておらず、相手国任せになる。
殺傷能力のない武器の輸出を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」に限定した5類型については、本来業務に必要な武器の搭載は認める。ただ、類型自体の拡大は自公両党の折り合いが付かず、議論を続けることになった。
岸田文雄首相は22日、「国際秩序を守るために貢献したい。平和国家としての基本的な理念は変わらない」と強調した。
学習院大の青井未帆教授(憲法学)は今回の改定について、平和主義にのっとり国際紛争を助長しないとしている「憲法の精神に反する」と批判。当初の武器輸出三原則が国会審議を通じて確立されたことを挙げ、「与党の『密室協議』で国のあり方が変えられてよいのか」と指摘した。
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◆パトリオット輸出は間接的にウクライナの戦闘支援
政府は22日の国家安全保障会議(NSC)で、自衛隊が保有する地上配備型の迎撃ミサイル「パトリオット」を米国へ輸出する方針を決めた。この日改定された防衛装備移転三原則で緩和された武器輸出ルールを、早速適用した。2014年の三原則策定以降、殺傷能力のある武器の完成品の輸出は初めて。
米国の在庫を日本が補塡(ほてん)することで、米国内にあったパトリオットをウクライナへ供与しやすくなり、間接的なウクライナの戦闘支援につながる。
パトリオットは米国企業に特許料を払って国内生産する「ライセンス生産品」で、米政府から要請があった。NSCの審議では、「米軍の在庫を補完することは、日本とインド太平洋地域の平和と安定に寄与する」として輸出を認めた。
具体的には、弾道ミサイルの迎撃に特化したPAC3と旧式のPAC2が対象で、財政法に基づき有償で売り払う。数量や売却額、輸出時期は今後調整するが、売却額などを公表するかどうかは未定という。売却額が明らかにされない場合、日本防衛のために税金で購入されたパトリオットが適正価格で売却されたか検証できない恐れがある。
日米両政府は今回、日本から輸出したパトリオットを米国から第三国へ輸出しないことも確認した。ただ、米軍の在庫が補塡されることで、新たに米側のパトリオットをウクライナに供与できる余地は広がる。9月に来日したウクライナ最高会議(議会)議長が、PAC3の提供を日本に要望していた経緯もある。
◆迎撃ミサイルは4割不足…なぜ輸出が優先?
一方で、防衛省は昨年10月、防衛力強化が必要な理由として、迎撃ミサイルが必要量の4割不足していると試算。改善が必要だと説明していた。試算の前提条件は明らかにしていない。輸出による日本防衛への影響について、防衛省は「自衛隊の防空体制の運用を工夫していく」と説明するにとどめた。
拓殖大の佐藤丙午教授(安全保障論)は「アジア太平洋地域に展開する米海兵隊などに今回の輸出分を配備して、この地域の抑止力を高める狙いがあるのでは」と分析。その上で「なぜ日本の在庫に余力がない中で米国への輸出を優先したのか、政府は国民に丁寧に説明するべきだ」と指摘した。(川田篤志)
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