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金融帝国を構成するアメリカ、イギリス、イスラエルはガザで大虐殺を実行中
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202312120000/
2023.12.12 櫻井ジャーナル
イスラエル軍は「ハマス」を口実にしてガザを廃墟にし、「民族浄化」とも表現される大量虐殺を続けている。殺された住民はすでに1万8000人を超え、その約4割は子どもだ。イスラエルは情報が外へ漏れないようにするため、通信を遮断するだけでなくガザに入っているジャーナリストを狙い撃ちし、10月7日から2カ月間に68名を殺した。その前にもイスラエル軍はジャーナリストを殺しているので、合計すると今年だけで犠牲者は94名に達するという。
そうした報道管制が敷かれているにもかかわらず、がざの惨状は外部へ漏れ、12月8日には安保理理事国へアラブ首長国連邦が停戦を求める決議案を提出、15カ国のうち13カ国が賛成した。イギリスは棄権、アメリカは拒否権で決議案を葬り去った。その翌日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はアメリカの拒否権使用を「評価」し、「正義の戦争を継続する」と宣言している。
本ブログでは繰り返し書いてきたが、イスラエルはイギリスがスエズ運河を守り、中東を支配する拠点として作った。その仕組みを引き継いだのがアメリカ。イギリスとアメリカは金融資本によって深く結びついている。この両国を中心とするアングロ・サクソン系国はオフショア市場で結びついた金融帝国にほかならない。
イギリス労働党党首の座から2020年4月に引きずり下ろされたジェレミー・コービンは今回の決議に賛成しなかったイギリス政府を批判したが、そうした人物だからこそ排除されたのだ。
コービンを排除する際、重要な役割を果たしたインテグリティ・イニシアチブは2015年に創設された団体。イギリス外務省が資金を出している。「偽情報から民主主義を守る」としているが、その実態は偽情報を発信するプロパガンダ機関だ。
2020年4月4日に労働党の党首はコービンからキア・スターマーに交代。新党首はトニー・ブレアと同様、イスラエルに接近した。自分の妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピールしている。彼女の父親の家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるという。
イスラエル、アメリカ、イギリスはパレスチナの歴史を無視、ハマスに全責任があるかのように主張しているが、そのハマスがイスラエルと深く関係していることは有名で、西側の有力メディアさえ、その事実を伝えてきた。
第3次中東戦争で中東のイスラム諸国が傍観する中、唯一イスラエル軍と戦ったのがファタハであり、その指導者がヤセル・アラファトだった。それ以来、アラファトはイスラエルにとって目障りな存在になり、そのアラファトの力を弱めるためにイスラエルはムスリム同胞団のメンバーだったシーク・アーメド・ヤシンに目をつけたのだ。
イスラエルの治安機関であるシン・ベトの監視下、ヤシンは1973年にムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を、そして76年にはイスラム協会を設立。ハマスは1987年にイスラム協会の軍事部門として作られる。
シーモア・ハーシュによると、2009年に首相へ返り咲いた時、ネタニヤフはPLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした。そのため、ネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。
10月7日にハマスの戦闘部隊がイスラエルへ攻め込んだのだが、ガザはイスラエルが建設した一種の強制収容所であり、その収容所を取り囲む壁には電子的な監視システムが張り巡らされ、人が近づけば警報がなる。地上部隊だけでなく戦闘ヘリも駆けつけることになっている。ところがハマスはイスラエルへ突入できた。
しかも突入の数時間後、2隻の空母、ジェラルド・R・フォードとドワイト・D・アイゼンハワーを含む空母打撃群を地中海東部へ移動させている。そうしたことから、ネタニヤフ政権やアメリカのジョー・バイデン政権はハマスの攻撃を事前に知っていたのではないかと疑う人が少なくない。
攻撃の際、約1400名のイスラエル人が死亡したとされた。その後、犠牲者の人数は1200名だと訂正されたが、イスラエルの新聞ハーレツによると、イスラエル軍は侵入した武装グループを壊滅させるため、占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊したという。イスラエル軍は自国民を殺害したということだ。ハーレツの記事を補充した報道もある。さらに、停戦にともなって解放された人質もイスラエル軍にイスラエル市民が攻撃された実態を当事者として証言しはじめた。
ガザへの攻撃が始まった際、「ガザをドレスデンや広島のように破壊」すると宣言したモーシェ・フェイグリン元議員は議員時代の2014年、ガザは未来永劫イスラエルの土地だと宣言、無差別攻撃で破壊し、住民を消し去ってユダヤ人が住むと主張していた。
また、ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における『旧約聖書』と重なる)」を引用、パレスチナ人虐殺を正当化した。聖書の中でユダヤ人の敵だとされている「アマレク人」を持ち出し、「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を口にしたのだ。「アマレク人」を家畜ともども殺した後、イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたという。彼はパレスチナ人をアマレク人とみなしている。パレスチナ人を皆殺しにすると言っているのだ。
彼はサムエル記上15章3節の話もした。そこには「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだというのだ。
ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民だ」としたうえで、イザヤの預言を理解しなければならないと主張する。「われわれ」とはイスラエル人、「彼ら」とはパレスチナ人、イスラム教徒、あるいはイスラエル以外の人びとを指しているのだろう。
また、ギラド・エルダン国連大使は10月8日に安全保障理事会で「これはイスラエルの9/11だ」と演説、ヨアブ・ギャラント国防相はパレスチナ人を「獣」だと表現した。
インターネットには、95歳になるイスラエル陸軍の退役兵、エズラ・ヤチンがユダヤ人に対してパレスチナ人を殺して彼らの記憶を消し去れと呼びかけている映像が流れている。
イスラエルの神憑った人びとはナイル川とユーフラテス川に挟まれた地域、つまりパレスチナのほかレバノン、ヨルダン、クウェート、シリア、さらにイラクの大半、エジプトやサウジアラビアの一部を「約束の地」だと主張している。「大イスラエル構想」とも呼ばれている。
こうした神懸った理由だけでなく、イスラエル、アメリカ、イギリスは地政学的な理由からもガザを制圧しようとしている。
9月8日にニューデリーで開かれたG20サミットの席上、インドのナレンドラ・モディ首相が発表したIMEC(インド・中東・欧州経済回廊)プロジェクトはインド、UAE(アラブ首長国連邦)、サウジアラビア、イスラエルを結び、さらにギリシャからEUへ伸びる輸送ルート。そのIMECはガザの北で地中海に出る。このルートは中国のBRI(一帯一路)に対抗する目的で計画された。後ろ盾はアメリカだ。
19世紀以来、海軍力で世界を支配してきたアングロ・サクソンの戦略においてスエズ運河の果たす役割は大きい。ところが現在、その運河はエジプト領にある。そこで「ベン・グリオン運河」が計画された。この運河はアカバ湾のエーラト港からヨルダンとの国境沿いを進み、ガザの北側から地中海へ出る。
また、エジプトからギリシャにかけての海域で9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が発見されたことも大きい。ガザ沖にも天然ガスは存在、そこからキプロスを経由してイタリアへパイプラインで輸送する計画がある。そのライバルになるロシアの天然ガスを運ぶパイプラインはすでにアメリカが止めたり破壊した。
バラク・オバマ大統領は2010年8月、ムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使った体制転覆作戦を始動させるため、PSD-11を承認した。そして始まるのが「アラブの春」にほかならない。この反乱は地中海東岸の国々に広がった。シリアへ軍事作戦が失敗、この計画は挫折したが、仕掛けた国々はまだ諦めてはいないだろう。その延長線上にガザへの軍事侵攻がある。
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