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ウクライナの敗北を隠しきれなくなり、大統領を軍の最高司令官にすげかえる動き
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202312010000/
2023.12.01 櫻井ジャーナル
ウクライナのテレビ局「1+1」は先日、自国軍の戦死者と行方不明者の合計を112万6652人だと画面に表示、話題になった。局はすぐに間違いだと訂正したが、隠していた本当のデータを流してしまったと推測する人もいる。現在、ウクライナでは政権に批判的なメディアは活動できないので、このテレビ局も政権に従属しているとウォロディミル・ゼレンスキー大統領は判断していたのだろう。
イギリスのベン・ウォレス前国防相は10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。「学徒動員」や「少年兵」を前線へ送り出せというわけだ。前線では妊婦のウクライナ兵も見つかっている。それだけ戦死者が多いということだ。
アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部では住民がクーデター政権を拒否、クリミアはロシアの保護下に入り、ドンバス(ドネツクやルガンスク)では内戦が始まった。
ところが、ウクライナの軍や治安機関では約7割がネオ・ナチ体制を嫌って離反、その一部はドンバス軍へ合流したと言われている。そこでアメリカ/NATOはCIAやFBIのメンバーのほか傭兵を送り込み、内務省の下にはネオ・ナチを主体とする親衛隊を創設、それと並行して武器を供給、兵士を訓練している。
また、ソレダルには全長200キロメートルという岩塩の採掘場を利用した地下要塞を建設、アゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリにも地下要塞を整備し、要塞線を築いた。
2022年3月にはガザと同じようにドンバスを破壊、住民を虐殺してロシアを挑発、ロシア軍を要塞線の内側に誘い込んだうえでクリミアを別働隊に攻撃させる計画をアメリカ/NATOは立てていたとも言われているが、その直前にロシア軍がドンバス周辺に集まっていたウクライナ軍を壊滅させ、航空基地、レーダー施設、あるいは生物兵器の研究開発施設を攻撃したとされている。
つまり、この段階でウクライナの敗北は決定的。そこでイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットを仲介役として停戦交渉を開始、双方とも妥協して停戦は実現しそうだった。
ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛び、プーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつける。その足でベネットはドイツへ向かい、シュルツと会うのだが、その3月5日、ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺している。クーデター以降、SBUはCIAの下部機関になったとされている。
停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われた。アフリカ各国のリーダーで構成される代表団がロシアのサンクトペテルブルクを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と6月17日に会談しているが、その際、プーチン大統領は「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案を示している。その文書にはウクライナ代表団の署名があった。つまりウクライナ政府も停戦に合意していたのだ。こうした停戦合意を壊す上で重要な意味を持つ出来事がブチャでの虐殺問題。
停戦交渉の進展でロシア軍はウクライナ政府との約束通りにキエフ周辺から撤退を開始、3月30日にはブチャから撤退を完了した。31日にはブチャのアナトリー・フェドルク市長がフェイスブックで喜びを伝えているが、虐殺の話は出ていない。
ロシア軍が撤退した後、ウクライナの親衛隊が現地に入るが、その後に西側の有力メディアはロシア軍が住民を虐殺したとする宣伝を始めて停戦交渉を壊した。
その間、4月9日にイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込んで停戦交渉の中止と戦争の継続を命令、4月21日にはウクライナ南部のミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と国民を脅し、4月30日になるとナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。
この情報を裏付ける証言を「1+1」が11月24日に放送している。与党の有力議員でトルコを仲介役とした停戦交渉でウクライナ側の中心にいたデビッド・アラカミア議員は、ボリス・ジョンソンが停戦交渉を挫折させる上で重要な役割を果たしたと語っているのだ。
ジョンソンが首相を務めていたイギリスの支配層はゼレンスキーに見切りをつけ、情報機関MI6が動き始めていると言われている。来年3月に大統領選挙が行われればゼレンスキーは破れる可能性が高いが、本人は選挙を実施するつもりがないようだ。裏で画策するか、場合によってはクーデターが実行される可能性もある。
イギリスが後釜として考えているのはバレリー・ザルジニー最高司令官だと見られている。イギリスの有力誌エコノミストは11月1日付けでザルジニーの意見を掲載している。キエフではゼレンスキー派とザルジニー派が対立している。2014年のクーデター直後、ネオ・ナチでNATOと緊密な関係にあるドミトロ・ヤロシュがウクライナ軍最高司令官の顧問に就任、軍をコントロールしていたが、その仕組みが崩れているかもしれない。
そのザルジニー最高司令官の補佐官を務めていたゲンナジー・チェスチャコフ少佐が11月6日に自宅で死亡した。「贈り物の箱」に入っていた手榴弾が爆発したと言われている。この事件の真相は不明だが、黒幕と噂されているひとりがキリロ・ブダノフ情報長官。その妻、マリアナ・ブダノワが何者かに毒を盛られたと伝えられている。毒物は「ヒ素と水銀」だとする証言もある。状況が明確でなく、本当に殺害を目的としていたのかどうかも不明だ。
キエフで権力闘争が始まり、その背後には米英の支配層がいることは間違いないだろう。イギリスはゼレンスキーに見切りをつけたが、アメリカではイギリスに同調している勢力とゼレンスキーをあくまでも支えようとしている勢力がいるようだ。
そうした抗争が始まった原因はウクライナの戦闘でアメリカ/NATOが傀儡として使ってきたゼレンスキー政権の軍隊の敗北が隠せなくなってきたことにある。アメリカ/NATOはウクライナに「総玉砕」攻撃を命令、ロシアを少しでも疲弊させようとしたが、失敗に終わった。膠着状態にあるわけではない。
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