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和平協議拒絶するゼレンスキー
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2023年11月23日 植草一秀の『知られざる真実』
11月22日、主要20か国・地域(G20)首脳会議がオンライン形式で開かれ、ロシアのプーチン大統領が出席した。
米国のバイデン大統領、中国の習近平国家主席は欠席。
プーチン大統領が「ウクライナ戦争の「悲劇」を止める方策を考える必要がある」と述べたと報じられている。
報道によると、プーチン大統領は
「軍事行動は常に悲劇だ」と指摘し、
「この悲劇を止める方法を考えるべきだ」と述べた上で、
「ロシアはウクライナとの和平交渉を拒否したことは一度もない」
と強調したと伝えられている。
ウクライナ戦乱が拡大して1年9ヵ月が経過する。
本年5月以降、ウクライナが本格反攻を展開したが、戦況はほとんど変化していない。
ウクライナは米国を筆頭とする欧米の資金・武器支援で戦争を遂行している。
文字通りの代理戦争。
ウクライナでは国家総動員体制が敷かれ、言論・出版その他すべての表現の自由が剥奪されている。
成人男子は国外退去も許されない。
このなかで海外に逃亡する国民が激増している。
ゼレンスキー大統領は独裁者と化し、市民の声は完全に封殺されている。
ロシアは当初より停戦協議に積極的だったが、米国の指令を受けたウクライナが停戦協議を拒絶し続けてきた。
ロシアがウクライナ国内での軍事作戦に踏み切った理由は、ウクライナ国内のロシア系住民の生命を守る必要が生じたからである。
ウクライナ東部のドネツク・ルガンスク両州はロシア系住民の比率が圧倒的に高い。
2014年の暴力革命による政権転覆でネオナチ勢力主体の極右政権が樹立された。
この非合法政府樹立と同時に東部ロシア系住民支配地域に対する人権侵害、虐待・虐殺行為が展開された。
東部2州のロシア系住民が抵抗し、内戦が勃発した。
この内戦を収束させるためにミンスク合意が締結された。
2015年制定のミンスク2には、東部2州に高度の自治権を付与することが盛り込まれた。
ミンスク2は国連安保理で決議され、国際法の地位を獲得した。
ウクライナ政府が誠実にミンスク合意を履行していれば問題は解決したはずである。
ところが、ゼレンスキー率いるウクライナ政府はミンスク合意を踏みにじった。
その上で、ロシアに対する軍事挑発を続けたのである。
ウクライナ政府は東部2州に対する軍事攻撃を激化させた。
東部2州は共和国の独立を宣言し、ロシアがこれを承認した。
その上でロシア系住民の安全を確保するために集団安全保障条約に基づくロシアの行動を要請し、これに応じてロシアが特別軍事作戦を始動させた。
特別軍事作戦の結果としてロシアがウクライナ東南部を制圧した。
ウクライナは軍事反攻を展開したが、戦況にはほとんど変化が生じていない。
ウクライナ国内においても厭戦気運が高まっている。
しかし、ウクライナでは言論の自由が剥奪され、政党活動も禁止されている。
国家総動員体制が敷かれ、市民は国家権力によって基本的人権を奪われる状況に置かれている。
国民の支持を失っているゼレンスキー大統領の再選は困難な情勢。
そのため、ゼレンスキー大統領は2024年春に予定されている大統領選挙を実施せずに先送りする構えを示している。
戦乱はロシアの領土的野心が原因で生じたものでない。
ウクライナで2014年に違法な暴力革命が実行され、極右民族主義政権が樹立され、ウクライナ国内のロシア系住民の人権が深刻に侵害されてきたという事実がある。
2022年2月の戦乱拡大後の早い段階で停戦協議が呼びかけられた。
ウクライナ政府もこれに応じる姿勢を示したが、横やりが入り、停戦協議が一蹴された。
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