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ガザ地区へのイスラエル地上侵攻の今後 4つに分かれた国際社会の対応 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/332121
2023/11/16 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
果たして中国の動静は…(第1回中国・アラブ諸国サミットが開催、サウジアラビアのモハンマド王子〈中央〉と、左には中国の習近平国家主席) (C)ロイター/Saudi Press Agency
イスラエル軍が地上侵攻したパレスチナ自治区ガザを巡り、今、国際社会の対応は4つのグループに分類される。
1つ目は、武力による抵抗を続けるグループだ。レバノンのヒズボラ、ヨルダン川西岸のパレスチナ人の一部、イエメンのフーシ派(シーア派武装集団)、シリア、イラクの武装集団のことで、これらはいずれもイランとの結びつきが強い。
2つ目が、ガザのパレスチナに同情的姿勢を表明しているものの、軍事的な支援は行わないグループ。国連総会の停戦決議に賛成票を投じた121カ国の国々が該当する。
3つ目は、イスラエル寄りだが、国際社会の反発を恐れて中立を装うグループ。米国以外の日本を含むG7などがこれに当たる。
そして4つ目が、米国に代表される、明確にイスラエル支援を示し、軍事支援も行うグループだ。
こうした中で中国はどこに位置するのかといえば、2つ目のグループである。今の中国は経済面で中東と強い結びつきを持っている。外交面でもサウジとイランの外交関係の再開の仲介を担った。従って、中国がイスラエルのガザ地区への地上侵攻にどのような態度を取るのか強い関心が示されている。
カタールに拠点を置く衛星テレビ局「アルジャジーラ」は、「中国は慎重姿勢、中国と湾岸諸国との深い経済関係が中国の中東政策に影響を与え、イスラエルの軍事作戦後にこれら諸国から強い抗議が起こると、中国のレトリックは親パレスチナ寄りになっている」と報道。
また、英国紙「ガーディアン」は「中国には親パレスチナとしての歴史があるが、現在は外交上の難題に直面」と題し、「アラブおよびイスラム世界の大部分と並んでパレスチナ人に対する美辞麗句的な支援は、比較的コストをかけずに提供できる」「しかし、それ以上のことは、一連の厄介な結果を生み出すとみられ、中国が避けようとしていると思われる」と報じていた。
今回の地上侵攻がガザ地区以外の地に拡大するか否かの鍵は、イランの手にあるようだ。すでにレバノンのヒズボラとイスラエルの間には軍事的な小競り合いが生じているが、ヒズボラとイランは緊密な関係にある。
過去3週間の間に、イラクとシリアでイラン支援の民兵組織がイスラエルを支援する米軍に対し、少なくとも40回以上にわたってドローンやロケットによる攻撃を行っている。
ロイター通信は「シェンカー元米国務次官補は『イランとその同盟勢力も米国も直接対決を望んでいないようであるが、大規模な攻撃が米国を紛争に引き込む可能性は非常に現実的な懸念だ』と述べている」と報じている。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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