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※紙面抜粋
※2024年1月15日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
能登半島地震の視察は2カ所訪問併せてたった90分(岸田首相=左)、右は安倍派5人衆(左上から時計回りに松野、西村、萩生田、高木、世耕5議員)/(C)日刊ゲンダイ
さすがに、心ある国民は納得いかないのではないか。まさに大山鳴動してネズミ一匹。最悪の結末である──。約6億円にのぼる安倍派の裏ガネ事件の捜査は、大物幹部は誰一人立件されず、とがめナシで決着することになりそうだというのだ。大手メディアが次々に報じている。
政治資金集めパーティーを利用した安倍派の裏ガネづくりが、派閥主導、組織ぐるみで行われたのは間違いない。98人いる安倍派議員のうち80人が裏ガネづくりに手を染めていたというのだから前代未聞だ。本来、全員、立件すべきだろう。少なくとも、派閥の実務を担い、裏ガネづくりの実態を把握していたはずの歴代の事務総長経験者は、刑事処分されるのが当たり前なのではないか。
ところが、昨年末から検事50人という大規模体制を敷いて捜査していた地検特捜部は、事務総長経験者の立件を断念。会計責任者である事務方だけを「政治資金規正法違反」(不記載・虚偽記載)で立件する方針だという。時効にかからない過去5年間に事務総長を務めた国会議員は、下村博文、松野博一、西村康稔、高木毅の4人。全員、安倍派の中枢幹部である。
裏ガネを受け取っていた議員側の立件も、金額の多かった池田佳隆(4800万円)、谷川弥一(4000万円超)、大野泰正(5000万円超)の3人で打ち止めとなるらしい。元東京地検検事の落合洋司弁護士はこう言う。
「もともと、政治資金規正法違反で政治家を立件するのはハードルが高い。収支報告書への記載義務は会計責任者に課されているからです。政治家を立件するためには、会計責任者との共謀を立証しないといけない。しかも、共謀は、報告を受け、了承していた程度では成立しない。具体的な指示、命令があったと立証する必要があります。
そのうえ、事務総長経験者は、いわゆる裏ガネについて『会長事案であり、自分は報告や相談を受けていない』と検察に答えているといいます。会長だった細田博之前衆院議長と安倍晋三元首相は、2人とも亡くなっている。まさに死人に口なし。こうなると事務総長経験者の立件は、かなり難しくなります」
安倍派と検察の手打ち説
しかし、派閥ぐるみで約6億円も裏ガネをつくっていたのに、派閥幹部が誰も立件されないなんて、おかしいのではないか。事務方の職員が、派閥のカネを勝手に違法処理するはずがない。
しかも、産経新聞によると、安倍派は裏ガネスキームがバレないように偽装工作までしていたという。
安倍派は議員一人一人にパー券販売のノルマを課し、ノルマを超過した分は派閥の収支報告書に記載せず、そのまま議員にキックバックする慣例をつづけていた。しかし、2022年は、超過分の端数は切り捨ててキックバック。超過分と違う金額にすることで、キックバックがパー券の販売と連動していることを隠す意図があったという。
例えば、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで逮捕された池田佳隆容疑者の場合、18〜21年のキックバックの金額は、608万〜1378万円と端数が含まれていたが、22年は500万円と端数は省かれていた。
いくらなんでも、ここまで手の込んだ偽装工作は、さすがに事務方の職員だけではやれないのではないか。大物幹部の指示があったと考えるのが自然だろう。しかも、この偽装工作は、安倍が亡くなり会長が不在だった時期に行われている。「死人に口なし」も通じないはずである。
なのに、なぜ地検特捜部は安倍派幹部の立件を断念してしまったのか。いま政界で流れているのは、安倍派と検察との“手打ち説”だ。安倍派が検察に恭順の意を表すという。
「近々、安倍派と安倍派議員は、収支報告書を一斉に訂正する予定です。派閥側は、裏ガネ化していた分を派閥の収入として全額記載し、議員に還流した分も支出として記載する。議員側も還流分を記載する。裏ガネを表ガネにするということです。要するに、すべて正直にオープンにするから許して欲しいというメッセージです。検察も行政の一組織だから、矛を収めるだろうとみられています」(政界関係者)
検察審査会が待っているぞ
安倍派内には「捜査はヤマを越した」と安堵の声が広がっているという。事実、捜査は今週中に一段落する見込みだ。しかし、これで逃げ切れると思ったら大間違いである。たとえ東京地検が不起訴処分にしたとしても、「検察審査会」に持ち込まれる可能性があるからだ。
すでに安倍派の4人の事務総長経験者と、萩生田光一、塩谷立、世耕弘成の計7人は、刑事告発されている。国民から選ばれた検察審査員が「起訴相当」の議決を2回出せば、強制起訴となる。市民感覚を考えたら「起訴相当」となっておかしくない。
実際、有権者に違法なカネを配っていた自民党の菅原一秀元経産相は、検察の判断は「罪に問わない」と不起訴だったが、検察審査会が「起訴相当」と議決したため、起訴され、裁判所から罰金40万円と公民権停止を言い渡されている。
「裏ガネを受け取っていた議員側の立件について東京地検は金額が4000万円以上だった3人に限定するようですが、国民の多くは、なぜ4000万円で線引きするのか、と考えているはずです。一般社会では、たとえ1000万円でも会社のカネを横領したら罪に問われますからね。裏ガネの額が1000万円を超えた議員は、この先、刑事告発される恐れがありますよ。場合によっては、検察審査会にかけられることもあるのではないか」(自民党関係者)
いまから安倍派議員は、検察審査会に持ち込まれることを覚悟しておいた方がいい。
だったら有権者が決着つける
さらに、安倍派の議員には、選挙で鉄槌が下されるに違いない。
なにしろ、いまや安倍派だけでなく、自民党というだけで有権者から毛嫌いされ、とてもじゃないが自民党を名乗って選挙はやれない状況だからだ。ある無派閥の自民党議員は、駅前で被災地支援の義援金を呼びかけていたら、通行人から「裏ガネでやれよ」と冷たく言われたそうだ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「国民の多くは地検特捜部に対して、腐敗議員の一掃を期待していたはずです。もし、捜査が期待外れに終わったら、一時的に失望が広がるでしょうが、その分、だったら自分たちの一票でカタをつけるしかない、という機運も高まると思う。刑事責任は問えなくても、政治責任は問えますからね。国民は岸田首相の対応にも不信感を募らせているはずです。
党に設置した『政治刷新本部』のメンバーに安倍派の議員を10人も入れ、そのうち9人が裏ガネづくりに手を染めていたというのだから信じられない話です。よくも、メンバーに加えたものです。しかも、岸田首相は『特定の人間を排除する排除の論理は適切ではない』と開き直っている。過去、大きなスキャンダルがあった後、自民党は選挙で議席を大きく減らしている。次の国政選挙、自民党は予想以上の敗北を喫する可能性がありますよ」
選挙となったら、最大派閥・安倍派の98人は苦戦必至だろう。それだけで自民党は相当数の議席を減らすことになる。
たとえ検察捜査の手が安倍派幹部に及ばなくても、安倍派の中でなにが行われていたのか、多くの国民はとっくに理解しているに違いない。自民党議員は首を洗って待っていることだ。
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