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※紙面抜粋
※2024年1月6日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
あり得ない人選(C)日刊ゲンダイ
「ダメだ、こりゃ」
ドリフのコントを思い出してしまう。それほどアングリなのが、岸田首相自らが本部長になって来週発足させるという自民党の「政治刷新本部」とやらの顔ぶれである。
「刷新本部ってありますけど、顔が古くないですか」
「裏金づくりが常態化したのが20年って言われてる。この20年の間に総理大臣をやった人が2人顧問になってるんですけど」
情報番組のコメンテーターがそう言って呆れたのも納得だ。派閥政治にどっぷり漬かった麻生副総裁と安倍政権時代を含め長らく権力の座にいた菅前首相を「刷新本部」の最高顧問に充てるというのだから、国民愚弄にも程がある。
政治資金パーティー収入の収支報告書不記載での刑事告発は主流5派閥にわたる。中でも安倍派は、パー券販売ノルマ超過分のキックバックや中抜きでつくられた裏金が、実に6億円規模になるとみられる。東京地検特捜部の強制捜査で永田町の議員会館に家宅捜索が入った。官房長官ら、つい最近まで岸田政権の閣僚だった連中が、任意とはいえ次々と特捜部の聴取を受けるという異常事態。膿のたまった自民党政治への国民の不信は頂点に達し、愛想を尽かしているというのに、マサカの人選なのである。
元テレビ朝日の政治部記者で政治ジャーナリストの細川隆三氏はこう言う。
「2人の総理経験者を顧問に据え、顔を立てた形ですが、この一大事に、そうした気を使う必要があるのか。麻生さんは主流派として岸田政権を支える屋台骨のひとり。菅さんは非主流派のリーダーであり、政権が弱体化している今、協力を仰ぎたい。そうした思惑があっての人選でしょう。岸田首相にどこまで危機感があるのか疑問です」
4日の年頭記者会見で“刷新本部長”に就く岸田が口にした改革案は、党としてパーティーを監査するだの、現金ではなく銀行振り込みにするだのショボイ話ばかりで、本気度が見えなかった。そのうえこの人事では、「ああ、しょせん、やる気がないのだろう」とハッキリ分かる。
刷新本部は党執行部に外部有識者を加え、今月中に中間的な取りまとめを行う予定。必要なら関連法案を国会に提出するとしているが、テキトーにお茶を濁すのが関の山だ。既に自民党の重鎮が「派閥解消に向かうような議論をするんじゃないよ」とクギを刺しているというから、驚くべき茶番。ホントにこの党には付ける薬がない。
党の衆知を集めたさらなる抜け穴づくり
政権を支える主流3派から裏金事件の本丸の安倍派が脱落、岸田は麻生派と茂木派に頼るしかない。だが、「ポスト岸田」に虎視眈々の茂木幹事長とは微妙な関係で、ますます“麻生依存”が強まっている。特捜部の捜査が本格化し、裏金問題が火を噴いた昨年12月には3日連続で麻生と会談。一掃した安倍派閣僚の後任人事も麻生が牛耳ったとされる。
だが、麻生ほど「党刷新」にふさわしくない者はいないのではないか。麻生は2008〜09年の首相在任中も派閥会長を辞めず、その後もずっと派閥会長であり続けている。12年からの第2次安倍政権を“骨格”として支える中で、派閥の所属議員はどんどん増え、いまや堂々の党内第2派閥。自民党きっての派閥政治の権化のような人物だ。
政治資金を使って銀座の高級クラブなどへ数十万円単位の支出を繰り返し、散々批判されてもやめない厚顔と金銭感覚の持ち主でもある。
岸田が4日の会見で、「本来は若手育成や政策論議の場だった派閥が、カネやポストを求める場になったという国民の疑念がある。深刻に受け止める」と語ったが、まさに派閥を「カネやポストを求める場」にしてきたひとりが麻生なのではないのか。
〈自民幹部は「麻生さんに相談して、これまで良いことがあったのだろうか」とクビをひねる〉と昨年12月の朝日新聞が書いていた。それでも麻生頼みとは岸田もあまりにおめでたい。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「麻生さんこそが派閥の親分ですよ。党刷新と言っても、泥棒が泥棒を捕まえるための縄を綯っているようなものです。刷新本部に若手を入れるという話もありますが、子分が強い縄を綯うわけがない。30年前の政治改革で掲げた党幹部や閣僚の派閥離脱は形骸化し、政治資金集めは法の抜け穴だらけで、今回、大きな問題になった。岸田首相が今やろうとしているのは、党の衆知を集めたさらなる抜け穴づくり。どうしたら国民を欺くことができるか、ということです。自民党が自己刷新の能力を失っていることがはっきりしました」
菅にしても、無派閥とはいえ、安倍元首相のブン投げ辞任後に首相になれたのは、総主流派体制を敷いた5派閥に担がれた結果だった。麻生との上下関係はクッキリだし、派閥離脱を表明した自見万博担当相に「恩知らず」とカンカンだった二階元幹事長を袖にして「派閥政治刷新」なんてできるわけないのである。
またしても“やってる感”と目くらまし
もっとも、最高顧問の麻生と菅は刷新本部の“重し”みたいなもので、実際に取りまとめ役となるのは事務総長に起用される見通しの木原誠二幹事長代理とみられる。官房副長官時は「陰の総理」とまで呼ばれた岸田の最側近だ。妻の元夫の不審死事件に絡むスキャンダルなどで副長官を辞任したが、岸田の木原重用は変わらず、首相動静にも頻繁に登場する。
「岸田首相は身内しか信用しない」(岸田派関係者)と揶揄されているが、昨年の正月に「異次元の少子化対策」という“やってる感”を岸田に提案したのは木原だとされる。またしても木原頼みで目くらましを図ろうということなのだろう。
「官房副長官を外れた木原氏を、この一大事に要職に就けるという人事も信じられません。ここまで政治不信が広がっているのですから、もっと改革意欲のある若手が出てきてもいいのに、誰も声を上げない。そういう空気もない。これで自民党は大丈夫なのか、と思いますよ」(細川隆三氏=前出)
結局、自民党にとって政治資金パーティーは裏金もつくれる“カネのなる木”であり、派閥は「ポストとカネと選挙」のための“互助会”。「数は力」と「寄らば大樹」の自民党議員らが、そうした便利なシステムを簡単に手放すはずはないのだ。
それにしても、同じ茶番劇でももう少しやり方があるだろう。「麻生・菅・木原」では本気の改革じゃないことが国民に丸分かりなのに、センスがないのか、無能なのか。
「岸田さんが具体的な党改革を打ち出せないのは、そんなことをしたら党内から総スカンを食らうことが分かっているからでしょう。正しいことがまかり通らないような腐った政党には、一刻も早くお引き取り願いたい」(五十嵐仁氏=前出)
防災服を“やってる感”で着用し、テレビ出演時はスーツに着替えて、被災地そっちのけで総裁再選をアピールしているようなフザけた宰相である(関連ページ)。内閣支持率はさらに下落するだろう。
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