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※紙面抜粋
※2024年1月4日 日刊ゲンダイ2面
改めて国民は戦慄 活断層ばかりの国でまだ原発を動かしている狂気
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/334244
2024/01/04 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
目を覆いたくなる惨状(石川県輪島市のビル倒壊現場)/(C)共同通信社
2024年の元日早々、石川県能登地方を中心に最大震度7の巨大地震が襲った。地震のエネルギーを示すマグニチュードは7.6。いずれもM7.3だった1995年の阪神・淡路大震災と2016年の熊本地震の本震と比べても40倍以上の大きさだ。能登半島地震は改めて、この国が地震大国だという現実をまざまざと思い知らせた。
発生直後には11年の東日本大震災以来となる大津波警報が発令。NHKも民放も緊急特番に切り替わり、アナウンサーは「東日本大震災を思い出してください」「高台に逃げてください」と絶叫調で呼びかけたが、現地の人々は大いに戸惑ったことだろう。震度7を観測した石川県志賀町の高台にあるのは、原子力発電所だ。日本海に面した北陸電力・志賀原発の敷地周辺は、なだらかな丘陵地である。「3.11を思い出せ」と連呼されるほど、あの原発事故の悪夢がよぎる。はたして避難してよいのか──。
実際、能登半島地震は志賀原発にもダメージを与えていた。燃料プールから1号機で約95リットル、2号機で約326リットルの水がこぼれ、放射能の総量は約1万7100ベクレルと約4600ベクレル。さらに1号機では、プールの冷却ポンプが約40分間停止し、使用済み核燃料を冷やせない状態となった。
また、1、2号機では外部電源を受け入れる変圧器計2台の配管が壊れ、絶縁や冷却のための油漏れが発生。電気が受けられない状況になったが、別系統の外部電源を利用してプールの冷却などは維持できているという。
異常ナシと涼しげに言い放つ「隠蔽したい病」
志賀原発は1、2号機とも福島第1原発と同じ沸騰水型と呼ばれるタイプで、未曽有の事故が起きた11年に運転を停止。今も1号機の燃料プールに672体、2号機に200体の使用済み核燃料が貯蔵されているが、運転停止から13年近くが経ち、核燃料の発する熱は大幅に下がっていた。
おかげで事なきを得たが、稼働停止中でもこれだけのトラブルに見舞われたのだ。稼働中に巨大地震に襲われていたら、どうなっていたのか。想像するだにゾッとする。
「原発立地地域で震度7の巨大地震が発生すれば、まず誰もが知りたがるのは『原発は大丈夫か』ということです」と言うのは、これまで原発の問題を縷々指摘してきた元経産官僚の古賀茂明氏だ。こう続ける。
「ところが、地震発生当日の会見で、林官房長官が発した言葉は『現時点で異常がない』でした。程なく行われた原子力規制庁の会見で、志賀原発に冷却ポンプの一時停止などの異常があったと伝えたにもかかわらずです。規制庁が発表したトラブルは当然、林氏の耳にも入っていたはず。本来なら『重大事につながるような不具合の報告は受けていない』と真摯に説明し、国民の不安解消に努めるべきでした。ましてや、広大な敷地内にある巨大な原発関連建造物と、その中にある設備や配管・配線を一つ一つ点検するのは大変な作業です。今なお全てのチェックは終わっていない可能性が高い。規制庁の発表だって、北陸電力の報告をうのみにしただけで『原発に関して電力会社は平気で嘘をつく』という福島原発事故の教訓を生かし切れていない。どう考えても『異常はない』とは軽々に言えない状況で、林氏も政府の一員として原発の不具合を過少に報告する『隠蔽したい病』に毒されていると疑わざるを得ません。原発を動かすためなら、大事に至らない限り『異常はない』と涼しげに言い放つ。無責任極まりない態度です」
地震大国の原発回帰はもってのほか
能登地方では、22年6月に震度6弱、23年5月に震度6強を観測するなど3年以上にわたって「群発地震」の状態が続いていた。ただ、今回の地震の規模は桁違い。ずれた断層は能登半島西端から新潟県・佐渡島近くの日本海まで長さ150キロに及んだ可能性がある。
日本海側は「原発銀座」と称される原発の密集地。今回の揺れは震源地から離れた新潟県の東電・柏崎刈羽原発にも影響を与え、志賀原発と同様に燃料プールから水がこぼれた。
気象庁は今後1週間、震度7級の地震再発への注意を喚起しているが、政府も電力会社もお構いなし。昨年末に柏崎刈羽原発の運転禁止命令を事実上、解除し、福井県の関西電力・大飯、美浜両原発は稼働中だが、その方針をいずれも見直すそぶりすら見せやしない。
そもそも志賀原発も再稼働へ動き出した矢先だった。原子炉建屋直下に活断層がある懸念を拭えず、16年には原子力規制委員会の有識者調査団も「活断層と解釈するのが合理的」との見解をまとめた。しかし昨年3月に規制委は2号機の安全審査で、敷地内を走る10本の断層は「活断層ではない」とする北陸電力の主張を容認。審査申請から8年半で、2号機は26年1月までの再稼働を目指すことになったのだ。
昨年11月末には経団連の十倉会長が志賀原発を視察し、「カーボンニュートラル実現とエネルギー安全保障の確保を両立するため、原子力の積極的活用が不可欠」とあいさつ。「核エネルギーは科学の力で得た貴重な財産」「人類の英知」と強調し、「一刻も早く再稼働できるよう心から願っている」と言い放った。
十倉会長の怪気炎は、脱炭素を旗印に原発政策を大転換させ、「原発回帰」にカジを切った岸田政権と表裏一体だ。政府も財界も巨大地震が原発密集地を直撃しようが、あくまで経済効率を最優先。安全性など度外視で、原発無理やり再稼働の姿勢を崩そうとしない。
列島全体が1000年に一度の活動期入り
冷静に考えれば、活断層だらけの日本で原発推進なんて正気の沙汰ではない。武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学)はこう警告する。
「東日本大震災以降、日本列島は500〜1000年に一度、巨大地震が連鎖的に発生する活動周期に入ったとみられる。ここ十数年、列島全体が地震被害に見舞われているのも、そのせい。日本には少なくとも2000の活断層があり、場所が不確定の活断層も無数にある。南海トラフはもちろん、いつ、どこで今回のような巨大地震が発生してもおかしくない」
しかも、日本の原発は驚くほど地震に弱い。民間の耐震住宅だって3000ガル以上の耐震性があるのに、原発の耐震設計基準は1000以下が大半だ。いざ直下で地震が発生すれば、ひとたまりもないが、各地の運転差し止め訴訟で電力会社は「原発の直下で地震は起こらない」と非科学的なロジックを繰り返すのみ。原発事故の可能性を完全に無視しているのだ。
気象庁は震度7を観測した志賀町の揺れの最大加速度が2826ガルと発表。一方、北陸電力は志賀原発1号機の原子炉建屋地下2階の計測震度は5強で、最大加速度は399.3ガルだったという。ちなみに、志賀原発の耐震基準は1000ガル。この範囲内で収まったのは偶然なのか。前出の古賀茂明氏はこう言った。
「今回の能登半島地震は、この国の原発施設の巨大地震への備えが不十分であることを改めて浮き彫りにしました。地震大国・日本の原発回帰なんて、もってのほかという『神の啓示』と受け止めるべきです。普通の感覚なら原発再稼働は『やっぱり、やめておこう』となりますが、何としても原発を動かしたい政府の手にかかれば『あれだけの巨大地震にも耐えられた』と再び安全神話の材料にしかねません。再び重大事故が起きない限り、後戻りできないような姿勢は常軌を逸しています。事故が起きてから間違いに気付いても手遅れなのです」
この国でまだ原発を動かしているのは狂気の沙汰だ。国民の不安に岸田首相はどう答えるつもりなのか。
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