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「日本学術会議」法人化の“真の狙い”とは…どうしても軍事研究をさせたい政府の本音
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/333777
2023/12/22 日刊ゲンダイ
任命理由を明かさなかった菅前首相(2020年10月)/(C)共同通信社
政府は、科学的な根拠に基づいて政府に助言・勧告を行う日本学術会議を、国の特別機関から法人化する方針を示した。一見、独立性を尊重するようでいながら、会員選考、運営、活動評価に外部有識者による委員会が関与し、その一部のメンバーは担当大臣が任命する。現状より、むしろ独立性が危うくなる。
学術会議の問題は、2020年に菅義偉前首相が学術会議会員候補のうち6人の任命を拒んだことが発端である。政府は、その拒否理由を具体的に説明しないまま、むしろ逆襲に出て、学術会議を法人化して財政的に締め上げる組織見直し作戦に動いたのである。
任命拒否リストは、当時の杉田和博官房副長官の手書きの文書がもとになっているといわれる。
同副長官は、警察庁警備局公安第一課長や内閣官房内閣情報調査室長の職歴もあるので、その種の情報は入手しやすいのだろう。日本学術会議の会員ともなれば「政治的中立性」を要求され、特定秘密保護法案や安保法案などの過去の発言や活動をチェックし、リストを作成したらしい。
政府の政策に批判的な意見を表明したことがある研究者の日本学術会議への任官を、拒否したのが真相だ。この政府の決定には、学問の自由、言論・思想の自由の侵害になるという批判が全国の各学会から沸き上がった。
ところが、政府の狙いは別のところにあった。当時の井上信治科学技術担当大臣は、日本学術会議はデュアルユース(民生としても軍事としても利用できる科学技術)を検討すべきだ、と表明していた。
平和憲法のもと、1950年に学者や研究者の集まりである日本学術会議が「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」を、1967 年にも「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を出しており、一部の例外を除いて、基本的に学術研究者は軍事研究を避けるべきという共通理解ができていた。これをつぶそうというのが政府の今回の組織見直しの狙いだったのだ。
学術会議法人化を伝える夕刊フジの記事で、経済安全保障アナリストの平井宏治氏が、「軍事・防衛研究に反対している『悪の巣窟』は人文系のグループで、ここに不要な国費が流れないようにしないといけない。日本の科学技術発達のため、生物学系や工学系のグループには適切な研究費を与える必要があり、それぞれ独立させるのがいいのではないか」とコメントしている。
まさに政府の本音を代弁しているのではないだろうか。
(木村誠/大学教育ジャーナリスト)
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