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※2023年12月18日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2023年12月18日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
言うに事欠いて(鈴木淳司前総務相)/(C)共同通信社
異例の捜査態勢だ。自民党安倍派の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑で、東京地検特捜部が同派議員への任意聴取を開始。派閥ぐるみで裏金をつくったとみて、近く政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで安倍派側の強制捜査に乗り出す。
特捜部の「本気度」は陣容からもうかがえる。全国から経験豊富なベテランを集め、応援を含めた検事の数は50人規模。事務官と合わせて100人規模に拡充して捜査に臨む。派閥側と議員側の2チームに分かれ、年明けの通常国会召集までをめどに短期集中で全容解明を進めるもようだ。任意聴取の対象となる国会議員は数十人に及ぶ見通し。裏金の額が多い議員から順次聴取し、裏金の認識の有無を調べる。
安倍派幹部も例外ではない。特捜部は立件を検討している派閥の会計責任者からの報告内容を確認するため、実務を取り仕切った歴代事務総長からも事情を聴く方針だ。安倍派の裏金は時効前の2018〜22年だけで総額5億円、不記載額は収支を合わせて10億円に上る疑いがある。この5年間、事務総長は下村元文科相、松野前官房長官、西村前経産相が務め、昨年8月から高木国対委員長が担っている。
松野、西村、高木に加え、裏金の額が1000万円超とされる世耕参院幹事長と数百万円とされる萩生田政調会長まで聴取対象となれば、いわゆる「5人衆」は総崩れ。存亡の機にある安倍派は壊滅的なダメージを被る。
ノルマ超過分を派閥の収支報告書に記載していなかったのは安倍派だけではない。二階派の不記載額は直近5年間で1億円超、岸田派は2000万円超。刑事告発されているのは安倍派を含む5派閥であり、聴取対象者が他派閥に及ぶほど、自民党全体が燎原の火のごとく燃え広がるのは必至。はたして議員何人が司直の手に落ちるのか。特捜検事ら100人との攻防が今週から本番を迎える。
世界にも例のない異常な政治文化
驚くのは、この期に及んでも安倍派議員の大半が裏金疑惑に口を閉ざしていることだ。認めたのは宮沢博行前防衛副大臣や堀井学前内閣府副大臣ら一握り。ほとんどの議員が「刑事告発されているため、慎重に事実関係を確認して対応する」の決まり文句でゴマカし、反省の色ナシ。口を割った数少ないひとり、鈴木淳司前総務相も無反省の極みである。
大臣在任中は「派閥から受け取ったことはない」と一貫してキックバックの裏金化を否定してきたのに、辞表提出後の14日に「秘書と話したところ、ほんのわずかにあるようだ」と説明を一転。翌15日に昨年までの5年間で計60万円を受け取ったと白状した。「派閥から交付された『活動費』との認識」「裏金という意識はなかった」とアッケラカンとした態度で、キックバックについて耳を疑う発言まで飛び出した。
「この世界では文化と言えば変だが、そういう認識があった」
かつて「不倫は文化」と言って大ヒンシュクを買ったトレンディー俳優がいたが、言うに事欠いて裏金化したキックバックも「文化」とはア然だ。こんな人物がたった数日前まで政治資金を所管する総務省の大臣を務めていたのだ。またもや「不適材不適所」人事が明るみに出た格好である。
「確かに安倍派の裏金づくりは、25年ほど前から組織的に行われていると報じられ、長年続く『悪しき伝統文化』とは言えますが」とあきれ気味に語るのは、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)だ。こう続けた。
「パーティー収入など政治資金の不透明さも、日本固有の文化です。欧米諸国では到底、考えられません。英国や米国では、政治と距離を置く監督機関が政治資金をチェックしており、透明度は非常に高い。米国は大統領選をはじめ、金権選挙がはびこっているとはいえ、資金の出入りはフルオープン。日本のように政治家になると儲かったり、選挙を支援する地方議員がお金を無心する文化も存在しません。
そもそも、企業、団体、個人のパー券購入もワイロ性を帯びています。自民党政治による利権構造のおこぼれ欲しさが動機であり、政治家側も『利権の構図からハブられたくないよな』と暗に脅して売りつける。日本の政治文化は、先進民主国とは思えない異常な低レベルです」
ことごとく不問に付し私物化はエスカレート
自民党にとって政治は利権漁りの手段であり、金儲けの道具に過ぎない。だから所属議員が「裏金は文化」などと言ってのけても平然としていられる。そんな腐敗堕落政党にすれば「政治とカネ」の問題は宿痾みたいなもので、自民党が自民党であり続ける以上、切っても切れない関係にある。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「今の自民党議員には、憲法が定める国権の最高機関である立法府の一員としての自覚がみじんも感じられません。公私の分別なく、ひたすら政治の私物化に邁進している。パー券購入も形を変えた献金で、政治資金という公金です。その党ぐるみの裏金化は最高度の政治の私物化。かつては政治資金を『皆さまから頂戴した浄財』と言っていましたが、聞かれなくなって久しい。
それだけ公私のタガが外れてしまった証拠で、黙っていても税金が原資の『政党交付金』が年約160億円も転がり込み、自民党の全収入約250億円の6割超を占めているのと無縁ではない。いくら公金だろうが、俺たちのカネをどう使おうが勝手と言わんばかりで、文句をつけるなら見返りはやらないぞという上から目線の態度です。そんな専制君主のような政治姿勢が税金の使い道にも及んでいるから、大問題なのです」
自民党の公私混同、政治の私物化は安倍政権下の7年8カ月でエスカレート。安倍元首相の「お友だち」優遇に多額の税金が費やされたモリカケ疑惑、税金を使って首相が開く「桜を見る会」には地元有権者ら「身内」を多数招待──。例を挙げればキリがないほどだが、その悪事を許してきたのが、自民党であり、ことごとく不問に付してきた検察でもある。
額の多寡を問わずキツく取り締まれ
「魚は頭から腐る」の例え通り、今の自民党は上から下まで政治の私物化が蔓延。今年7月下旬、自民党女性局がフランス視察中、SNSに投稿した写真に「まるで観光旅行」と批判が殺到した一件が、動かぬ証拠だ。
女性局長を務めていた松川るい参院議員は、エッフェル党の前でメンバーたちと塔をまねたポーズ写真をアップ。それでも松川は「どこが悪いの」と開き直ったような態度で大炎上。世間の常識からかけ離れた「エッフェル姉さん」みたいな連中が闊歩しているのが、今の自民党なのである。
ちなみに、松川も安倍派の所属だ。安倍の横死後、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着や政治資金パーティーの裏金化など「負の遺産」が噴き出しているが、やはり長期権力は必ず腐敗する。憲政史上最長政権の裏側で、反社会的宗教団体に肩入れし、子分が組織的な裏金づくりに精を出していたのである。
「報道によれば裏金を巡り、安倍派内には『戻し』や『中抜き』なる呼称が飛び交っていたようですが、これらの隠語は利権漁りでもよく使われます。そもそもキックバック自体、癒着企業に見返りを求める言葉で、それだけ利権政治が恒常化していることを物語っています。裏金という別サイフがあるのであれば、今の自民党に政党交付金を受け取る資格はない。裏金の額の多寡を問わず、全員お縄が当たり前で、特捜部は腐敗政治をキツく取り締まるべきです」(五野井郁夫氏=前出)
特捜部は麻痺した集団にどうメスを入れていくのか。今度の今度こそ、金権腐敗の膿を出し切れるのだろうか。
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