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「税」で「乱」が起こる2024年
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2023年12月12日 植草一秀の『知られざる真実』
今年1年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表され、「税」の文字が選ばれた。
「今年の漢字」は京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」が、一年の世相を表す漢字一文字を一般から募集し、最も多かった字を選定するもの。
今年は14万7878票のなかで最多の5976票を集めた「税」の文字が選ばれた。
「今年の漢字」は「日本漢字能力検定協会」が1995年に始めた。
これまでに最も多く選ばれたのは「金」の4回。
いずれもオリンピック開催年に選出されている。
「税」が選ばれたのは2014年に次いで2回目。
2014年は消費税率が5%から8%に引き上げられた年。
2023年に消費税増税は行われていないが、2022年末に岸田首相が大型増税の方針を掲げ、また、10月にはインボイス制度が発足した。
日本経済は長期低迷を続けている。
労働者の実質賃金は1996年以来、減少し続けている。
労働者一人当たりの実質賃金指数は1996年から2022年までの26年間に14.4%も減少した。
内閣府の2022年度版「年次経済財政報告」資料によれば、全世帯の所得分布における中央値は1994年が505万円だったが、2019年には374万円になった。
25年間で世帯所得の中央値が131万円も減った。
このなかで何が行われてきたか。
「税」の変化の核心は「消費税」である。
消費税は1989年度に導入された。
当初の税率は3%だった。
この3%税率が1997年に5%に、2014年に8%に、2019年に10%に引き上げられた。
消費税の最大特徴は逆進性。
消費税は、所得の少ない人ほど過酷な税、所得の多い人ほど負担感の少ない税である。
消費税大増税の裏側で実施されたのは何であったか。
所得税負担と法人税負担の軽減だ。
1989年度から2023年度までの35年間に消費税で約510兆円のお金が吸い上げられた。
その同じ期間に、法人の税負担は約320兆円、個人の所得税・住民税負担は約290兆円軽減された。
税負担軽減の恩恵を受けた中核は大企業と高額所得者である。
消費税がなぜ悪魔の税制と呼ばれるか。
消費税は所得の少ない者に情け容赦のかけらもない税制なのだ。
消費税の税率は所得の少ない人と超富裕層で差がない。
まったく同じ税率なのだ。
所得の多い人は所得の一部しか使わない。
所得の少ない人は所得のすべてを使う。
所得に対する消費税の負担率に激烈な差が生じる。
年収10億円の人が年に1億円消費する場合、収入に対する消費税負担率は1%。
年収200万円の人が年に200万円消費する場合、収入に対する消費税負担率は10%になる。
所得税の場合は、収入が少ない人は税負担額がゼロになる。
例えば夫婦子二人で片働き世帯の場合、子の年齢等の条件にもよるが、年収350万円程度までは所得税負担がゼロになる。
財政の最重要の機能は所得再分配。
経済力の大きい人に大きな負担をしてもらい、経済力の弱い人の所得環境を支える。
ところが、消費税は真逆の効果を持つ。
富裕層には限りなく優しく、所得の少ない層には限りなく厳しい。
日本経済は30年にわたる長期停滞を続けているが、超富裕層だけは増加している。
世界のなかでも超富裕層の比率は日本が一位との検証結果もある。
資本主義が暴走して禁断の領域に足を踏み入れている。
そのひとつが「逆所得再分配」である。
12月15日刊行の新著
『資本主義の断末魔』(ビジネス社)
https://x.gd/aILOt
に断末魔の叫びを上げる資本主義の暴走形態を詳述した。
ぜひ、ご高覧賜りたく思う。
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