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※2023年11月27日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2023年11月27日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
得意満面で講演披露(馳浩石川県知事)/(C)共同通信社
「発言内容のどの部分が事実誤認なのか」「すべて事実無根なのか」「撤回するような発言をなぜしたのか」「五輪のさらなるイメージ悪化への懸念をどう考えるか」「昨年の知事選でアピールした国政との強いパイプへの影響は?」──。
来月の石川県議会定例会で審議される今年度補正予算案を説明するため、馳浩知事が22日に開いた会見。報道陣の質問は馳の例の講演内容に集中したが、何を聞かれても「東京五輪招致に関する発言については、すでに全面撤回しておりますし、その内容についても一切発言することはありません」の一点張り。およそ対話というものは成立せず、我慢比べの様相だった。
国会でも取り上げられている馳の発言は、2021年に開催された東京五輪の誘致活動をめぐるものだ。17日に都内で開かれた「NITTAIDAI×自治体フォーラム2023」で基調講演を行った馳が、官房機密費(内閣官房報償費)を使ってIOC(国際オリンピック委員会)の委員への贈答品として1冊20万円のアルバムを作ったなどと、内幕を暴露。
当時の馳は衆院議員で、自民党の東京五輪招致推進本部長だった。プレゼントの授受はIOCの倫理規定違反の可能性があるし、汚職と談合まみれだった五輪を政府がカネで引っ張ったとなれば、まさに疑獄。機密費の金庫番は官房長官だ。馳はその晩に県を通じて「誤解を与えかねない不適切な発言であり、全面的に撤回する」とコメントを出し、火消しに走ったものの、後の祭り。生々しい馳発言に「事実誤認」を疑う余地はない。意気揚々とこう話していたのだ。
「当時総理だった安倍晋三さんからですね、『国会を代表して五輪招致は必ず勝ち取れ』と。ここからしゃべること、メモ取らないようにして下さいね。『馳、金はいくらでも出す。官房機密費もあるから』と。それでね、私は作戦を練って、大して英語もしゃべれませんが、IOC委員の投票で決まるから、五輪招致、アルバムを作ったんですよ。IOC委員が選手の時に、各競技団体の役員の時、各大会での活躍の場面を撮った写真がわが国は(中略)ゴマンとあるんですよ。それ、105名のIOC委員の全員のアルバムを作って、お土産はそれだけ。だけど、そのお土産の額、今から言いますよ。外で言っちゃダメですよ、官房機密費使ってるから。1冊20万円するんですよ」
「20万円の土産はあり得ない」
元プロレスラーの馳は、「五輪のドン」と呼ばれながら女性蔑視発言で大会組織委員会会長の座を追われた森喜朗元首相の子飼い。同郷の森にスカウトされて政界デビューし、清和会(安倍派)入り。参院1期、衆院7期を務め、五輪招致後には文科相で初入閣した。
会見では五輪関連の質問への回答を一切拒否していたのに、森が懇意にする地元紙・北國新聞の記者から「20万円の手土産は高いと思いますか、安いと思いますか」と問われると、スパッと回答。「相手によりけり、形態にもよると思いますが、お土産としてはあり得ないですね」とよどみなく応じた。であれば、馳の感覚からしても機密費で高額アルバム贈答は完全にアウトだ。ブログ「はせ日記」にも招致活動のあれこれを書き込んでいる。
スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう言う。
「馳氏の発言やブログによって、政府主導の招致活動の一端が垣間見えた。五輪は巨額の開催経費もさることながら、招致費用も多額です。失敗した16年大会には149億円、20年大会は89億円が投じられた。しかし、内訳は不明のまま。招致委理事長を務めたJOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和前会長が約2.3億円の裏金を使い、票の取りまとめを依頼した疑いは仏検察当局の捜査によって浮上したものの、活動内容はブラックボックスです。
安倍氏の『必ず勝ち取れ』という発言は示唆に富んでいる。なぜ莫大なカネがかかる五輪を国を挙げて招致したのか。背後にどんな動きがあったのか。安倍氏は五輪を国威発揚と国民統合に利用し、悲願の改憲につなげようとした。そういう意味ではカネに糸目をつけずに引っ張るメリットがあったのでしょう。一方で、安倍氏を動かしたのは、16年招致活動から深く関わってきた森氏です。五輪の主役である森氏は、なぜそうまで執着したのか。馳発言をひとつの手がかりとして本丸に迫り、追及していく必要がある」
立件免れた「本丸」は政権の後継人ヅラ
東京大会が恥ずべき汚れた五輪だったのは、周知の通り。東京地検特捜部は昨年夏、複数回にわたって森を任意で事情聴取。組織委の意思決定プロセス、会長や理事の職務権限、汚職の中心人物とされる元理事の高橋治之被告が理事になった経緯などを確認したというが、森は立件を免れた。いまや領袖を失った安倍派の会長気取りで、岸田政権の後見人のごとく振る舞っている。北國新聞の名物連載「総理が語る」(電子版=26日配信)で馳をこうクサしていた。
〈馳浩知事の発言は軽率も軽率、極めて軽率です。知ったかぶりをして言ったんでしょう。すぐに全て撤回したのはよかったですがね。だいたい馳さんは、スポーツだとか五輪だとか得意分野で調子に乗りすぎるところがあります。「俺はこんなこともしてきたんだ」と誇示したかったのでしょう。私に言わせれば、幼いというか、いまだに学生気分、選手気分が抜けていない、かわいらしさがあります〉
足りない手下の虚栄心でコトを丸めて幕引きを図ろうという思惑が透けて見えるが、世にもふざけた馳浩こそ、上から下まで金まみれの自民党の象徴と言っていい。自民党をめぐる「政治とカネ」の問題は火を噴き続けている。
金権腐敗で財政民主主義破綻
自民党5派閥の政治団体が18〜21年の政治資金収支報告書に政治資金パーティーの収入を過少記載したとして刑事告発された問題は、判明しているだけでも計4000万円に上る。特捜部が捜査に乗り出し、派閥の担当者を任意で聴取。手口を同じくする5派閥はそれぞれ事務的ミスだと説明し、収支報告書を訂正したという。
しかし、24日に公表された22年分の収支報告書についても、5派閥などで少なくとも計228万円の記入漏れが指摘されている。派閥のノルマ以上のパー券を売った分を議員にキックバックし、裏金づくりの温床としてきた構図が浮かび上がる。安倍昭恵氏が元首相の政治資金を管理する政治団体「晋和会」の代表を引き継いだ後、関係する5つの政治団体から計約1億8700万円が移されていたことも判明。政治団体や政治資金の親族間の継承は課税対象外だ。
官房機密費という財布、パーティー券という打ち出の小槌、政治団体という脱税装置。税金の私物化、買収、賄賂・土産物バラマキと、何でもありの腐敗堕落政党に一体いつまで悪さを続けさせるのか。有権者はいよいよ真剣に考えなければダメだ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「政党交付金を受け取らない共産党を除き、ほぼすべての政党本部が税金を原資とする交付金に収入を依存しています。交付金は献金を通じた企業や団体との癒着を断ち切る目的で導入されたのに、自民党は誰でも購入できるパー券をカネのなる木として悪用している。結果、金権腐敗の元が見えなくなってしまった。
憲法が保障する国民の知る権利に基づく情報公開を徹底し、政治団体は1円でも収入を得たら公開するのが筋です。機密費もしかりで、一定の期間を置いてでも使途を公開する。税金の使い道を明らかにしなければ、財政民主主義は機能しません。カネの流れを透明化しなければ、今の政治状況は変えられない。世論をバックに野党が一体となって法整備を推進すべきです」
岸田政権はそうでなくてもヨタヨタ。検察が本腰を上げるのを待つことなく、国民が鉄槌を下さなければ、自民党の悪政にどこまでも引きずられることになる。
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