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「マイナ保険証」利用促進へ“暗証番号なし”マイナカード導入の悪あがき…カード・紙が4枚並存
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/332463
2023/11/25 日刊ゲンダイ
デジタル化のはずがビラ配り…(河野デジタル相と武見厚労相=中央左)/(C)共同通信社
デジタル化もへったくれもなくなってきた。
総務省が来月中にも、暗証番号が不要なマイナンバーカードを導入する方向で検討している。当初は、主に暗証番号の設定・管理に不安を抱える高齢者や認知症患者らを想定していたが、希望者全員に対象を拡大するという。
マイナカードを保険証として利用する際、カードリーダーによる顔認証もしくは暗証番号の入力が求められる。暗証番号の設定・管理に対する不安に応えるため、総務省は今年7月、11月にも「暗証番号なしカード」を導入する方針を示していた。
暗証番号なしカードでは、「マイナポータル」の閲覧やコンビニでの住民票交付などのサービスは受けられない。用途は、本人確認かマイナ保険証としての利用に限られる。すでに交付済みのカードでも、暗証番号なしに切り替えられるようにするという。
政府の狙いは、カードの普及とマイナ保険証の利用促進。「暗証番号なし」を希望者全員に認めるのは、現在4.49%にとどまっているマイナ保険証の利用率を押し上げたい悪あがきだ。
待ち受けるのはアナログな未来
顔認証も、他人の顔でも認証できてしまうトラブルが発生…(C)共同通信社
保団連の竹田智雄副会長(竹田クリニック院長)がこう言う。
「マイナ保険証は、本当に使い勝手が悪い。顔認証で本人確認できるとはいえ、他人の顔でも認証できてしまうトラブルが発生しています。完璧な『なりすまし防止』にはなりません。顔認証できなかった場合はスタッフが目視で顔を確認する必要があり、逆に医療事務の手間が増えます。医療DX(デジタルフォーメーション)を進めるにあたって患者の不安に寄り添うことは当然ですが、暗証番号をなくした結果、マイナ保険証としてしかほぼ使い道がないのなら、わざわざ現行の保険証を廃止する意味とは何なのか。理解できません」
政府はデジタル化の名の下にマイナカードの普及を進めてきたが、待ち受けるのはアナログな未来だ。
将来的に健康保険証は、「暗証番号あり」のマイナカード、「暗証番号なし」のマイナカード、マイナ保険証を持たない人向けの「資格確認書」、マイナ保険証が使えない医療機関で診療を受ける際に必要な「資格情報のお知らせ」──の計4枚のカードもしくは紙が世の中に並存することになる。
「患者にとっても医療機関側にとっても、複雑怪奇です。シンプルで分かりやすく、安心・安全な現行の保険証を残せば、こんなことにはなりません。希望する人だけがマイナ保険証を選択できる仕組みにすればいいだけです」(竹田智雄氏)
政府の弥縫策で、マイナ保険証の利用率が上がるはずない。いい加減、諦めるべきだ。
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