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吉村府知事どないすんねん?350億円“万博リング”に手間もカネもかる移設・保存案が急浮上
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/332164
2023/11/17 日刊ゲンダイ
思いつきで「残すべき」と言っても…(会見する大阪の吉村洋文府知事=16日) /(C)日刊ゲンダイ
めっちゃ思い付きやん──。2025年大阪・関西万博の会場に建設される大屋根(リング)を移設・保存する案が急浮上している。
リングはいまのところ、万博後に解体・再利用される方針だが、350億円もの巨額費用が費やされることに批判が殺到。大阪府の吉村知事や万博協会が軌道修正を迫られている。
吉村知事は16日の会見で、リングの移設・保存の可能性を問われ、「現時点でのコンセンサスは解体・再利用」「(方針が)何か変わっているということはない」などと説明。その上で、「(万博に)訪れる2800万人の方がリングを体感されると、技術も含めて、国内外から高い評価を得る可能性が高い」「後世に残すべきではないかという意見も多く出るだろう」と主張した。
いくら吉村知事が希望的観測を並べたところで、問題は、リングの移設・保存は可能なのかどうかだ。
リングは高さ12メートル(外側20メートル)、直径約615メートルの世界最大級の木造建築物。東京ドーム6個がすっぽり収まる大きさだ。外周は約2キロに及ぶ。こんなバカでかい建築物をどこかに移設するだけでも一苦労だが、そもそも、置ける場所がほとんどない。
「残す価値は…正直ありません」と専門家
350億円もかけてつくり…(巨大環状屋根「リング」の完成予想図=日本国際博覧会協会提供)
大阪市は処分検討地や継続保有地として計353件の土地を所有している。リング内の面積を含め約36万平方メートルがすっぽり収まる土地は、市が三重県伊賀市に所有している「伊賀青少年の家」の跡地だけ。塩漬けの土地に移そうにも場所が限られるばかりか、大阪万博の“遺産”が府外では何だか格好が付かない。
では、動かさず、そのまま保存できるのか。しかし、万博跡地にはIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の開業が控えている。建築エコノミストの森山高至氏がこう言う。
「パビリオンをリングで囲むアイデアは良いとしても、残す価値があるかと問われれば、正直ありません。リングに使われている木材は、無垢材よりも強度を上げた『構造用集成材』と呼ばれるもの。大型木造施設の骨組みなどに使われ、決して珍しい素材ではありません。リングを保存するとしても、雨ざらしでは劣化していくため、維持費や管理の手間がかかり、木材としての風合いが維持されるとは限りません。費用がかかるのは間違いないでしょう。リングに対する批判をかわすため、思い付きで移設・保存案が出てきたのでしょうが、費用面も含め新たな困難が生じるのは明らかです」
移設も保存も現実的ではない。吉村さん、どないすんねん?
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