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※2023年11月11日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
不倫、選挙違反、税滞納…動物園のようになってきた岸田「増税メガネ」内閣
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/331889
2023/11/11 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
解散できない(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
この内閣のガバナンスはどうなっているのか。タガが外れているとしか言いようがない。
不倫パパ活疑惑を報じられた山田太郎参院議員が10月26日に文科政務官を辞任したと思ったら、31日には公選法違反の疑いで柿沢未途衆院議員が法務副大臣を辞任。こんどは神田憲次財務副大臣が税金を滞納して資産の差し押さえを受けていたと、今週の「週刊文春」が報じた。
この問題は国会でも取り上げられ、神田は9日の参院財政金融委員会で、2013年から22年にかけて自身が代表取締役を務める会社の固定資産税を滞納し、4回も差し押さえを受けていたことを認めた。
12年初当選の神田は、いわゆる“安倍チルドレン”。かつては「魔の2回生」と呼ばれ、4回生になった今でも「魔」に変わりはない。滞納期間は国会議員になってからの時期と重なる。しかも、神田は20年以上も税理士として活動していた“税のプロ”だから悪質だ。
税を滞納しても、いきなり差し押さえを受けるわけではない。それまでには督促状が来るし、普通は無理してでも支払う。4回も差し押さえされるなんてよほどのことだ。
この問題は10日の衆院内閣委員会でも追及されたが、神田は「精査中」と繰り返すばかり。4回の差し押さえ以外にも滞納や督促はあったのか質問されても「精査中」で、「ない」と言い切れないあたり、常習犯と言っていい。
そういう人物が、税を納めてもらう側の財務省の副大臣に座っている。これがブラックジョークでなくて何なのか。
「この問題は、ただのスキャンダルではありません。税金滞納で何度も差し押さえされた財務副大臣、法律違反を犯す法務副大臣、道徳に反する文科政務官。それぞれ所管する役職に最もふさわしくない人物が就いていたわけです。岸田首相はいつも人事は適材適所と言いますが、どう考えても“不適材不適所”でしょう。泥棒に金庫番をさせるようなものです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
どいつもこいつも、政治家以前に社会人としてどうなのかという低レベルだが、こんなロクデナシたちが議員バッジをつけて威張っている岸田内閣は、まるで吉本新喜劇を見ているようだ。そして、こんな政務三役の給料を上げる法案が今月中に成立しそうなのだから、納税者としては怒り、呆れるほかない。
政務三役の給与アップ法案が成立の見通し
岸田首相と閣僚、副大臣、政務官の政務三役の給与を増額する国家公務員特別職の給与法改正案が10日の衆院内閣委で自民、公明、国民民主の3党の賛成多数で可決された。立憲民主党は首相らの給与を据え置く修正案を提出したが、否決された。14日にも衆院を通過し、参院に送付される見通しだ。岸田の年収は約46万円、ほかの閣僚は約32万円アップすることになる。
物価高の影響もあり、実質賃金は18カ月連続で下がり続けている。国民生活の厳しさをどこまで分かっているのか。経団連の十倉会長が出席した6日の経済財政諮問会議で、岸田は「私が先頭に立って賃上げを働きかけていく」と言っていたが、真っ先に自分の給与を上げてどうする。
「政府側は増額分を国庫に返納する方針を強調していますが、だったら最初から政務三役は除外するなどの対応をすればよかった。国民の反発に慌てて返納と言い出すようでは、まったく世論が読めていません。この内閣は、すべてが状況任せで場当たりなのです。税金滞納の常態化が発覚した神田副大臣の問題にしても、不適格が明らかになった時点で岸田首相はすぐに更迭すべきだった。本人の説明に任せて様子見をしているのでしょうが、ズルズル決断できずにいたら、神田副大臣が居座っている間は野党だってこの問題を追及せざるを得ない。他にも議論すべきことはあるのに、決断できない岸田首相が国会審議を妨げることになります」(五十嵐仁氏=前出)
内閣支持率が20%台に落ち込んでいる現状で、立て続けに政務三役の辞任が3人目となればダメージは大きい。岸田の任命責任も問われ、さらなる支持率低下は避けられない。それで神田のクビを切る判断ができないのだろうが、岸田の事なかれ主義には、自民党内からも疑問の声が上がっている。
「官邸はこれ以上の辞任は避けたいと考えていて、神田副大臣の件は『法に触れるわけではない』とかばっているようだが、世論は納得しないでしょう。負担増や納税をお願いする立場の財務副大臣が税金滞納でおとがめなしでは示しがつかない。ただでさえ、総理は『増税メガネ』と呼ばれ、インボイス導入もあって有権者の税に対する意識は高まっています。臨時国会が終わるまで持ちこたえられるわけがない。どうせ辞めるなら、早くして欲しいというのが本音です」(自民党中堅議員)
国会審議で自らの進退について問われた神田は、9日までは「引き続き職務に全うしたい」と言っていたが、10日は「私が判断することは控えたい」とトーンダウン。いずれ辞任は避けられないだろうが、今さら辞めさせたところで、岸田はまた「後手後手」と批判されるだけだろう。
昨年の臨時国会でも閣僚の辞任ドミノが続いたが、問題が発覚した当初は「本人が説明責任を果たす」とか言って他人事のような態度を取り続け、世論に抗しきれなくなってようやく辞任させるのが岸田流だった。そういう姿勢が支持率下落を招いたことを忘れたのだろうか。
自業自得のスキャンダルは今後も続く可能性
「今国会でも政務三役の辞任ドミノが続けば、低迷する支持率がさらに下がりかねない。政権運営はますます厳しくなります。このタイミングで『年内解散見送り』の報道も出てきましたが、もはや岸田首相には解散を打つ力がないということです。おそらく、この先も支持率の上がり目はない。旧統一教会への解散命令請求も、減税策も支持率アップにつながらなかったのは、岸田首相が来年の自民党総裁選で再選を決めることしか考えていないことが国民に見透かされてしまったからです。再選のための解散戦略であり、そのための支持率アップ目当てで場当たりを続けている。国民の方を見ないで、自分のことしか考えていない首相が支持を得られるはずがありません」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
政務三役の不祥事は今後も何が飛び出すか分からない。数日前から、東京地検特捜部が自民党の大物議員を狙っているという真偽不明の情報も流れている。政権に力があれば暴かれなかったスキャンダルが、弱体化した途端に明るみに出ることもある。
来年の総裁選における岸田の再選戦略は、総裁選前に解散・総選挙に打って出て勝利するか、他に誰も立候補しない無投票再選だった。9月の内閣改造ではライバル候補を閣内に留め置くなど、再選に向けた万全の人事に心を砕いたが、その姑息と慢心に足をすくわれたとも言える。各派閥から支持を得るために、ろくに身辺調査もせず政務三役に派閥推薦を受け入れた。その結果、問題が続出し、岸田は窮地に追い込まれている。自業自得だ。
「総裁再選どころか、自民党内では来年の通常国会で3月に予算案が成立したら総辞職という見立てまで流れ始めています。来年9月の総裁選まで岸田政権が続けば、自民党が持たないというのです。ただ、“ポスト岸田”に衆目の一致する人材はいない。自民党の崩壊が始まっているのかもしれません」(山田厚俊氏=前出)
このまま行けば、追い込まれ解散で政権を失った麻生内閣か、解散権を封じられて総裁選出馬を断念した菅内閣の二の舞いになりそうだが、なにしろ税金滞納常習者が財務副大臣という常軌を逸した内閣だ。理性も統制も利かない動物園のようになってきた内閣には、前代未聞の喜劇的崩壊の予感しかない。
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