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※2023年10月31日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2023年10月31日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
国連決議になぜ棄権するのか(9月の国連演説での岸田首相、空爆を受けたパレスチナ自治区ガザ地区) (C)ロイター/Sipa USA
さすがに、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダなど世界各地で大規模な抗議デモが起きている。国連総会も27日、「人道的休戦」を求める決議案を採択した。
イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの空爆は、どう考えても限度を超えているのではないか。29日は過去24時間に450カ所を空爆したという。しかも、病院の周囲に集中させている。これでは世界で抗議デモが起きるのも当然だろう。
ガザは福岡市ほどの広さに220万人が暮らす、世界有数の人口密集地である。しかも、周囲を高さ8メートルの壁に囲われて逃げ場がない。封鎖された空間に一方的に爆弾を落とされたらどうなるか。現地はこの世の地獄だ。ガザ側の犠牲者は、すでに8306人に達している。
「無差別な空爆が20日以上続き、住民の恐怖と疲労は限界に達していると思います。決定的なのはどこにも安全な場所がないということです。建物の中が安全なのか、外にいた方がいいのか誰にも分からない。ガザの犠牲者は子どもが多い。8306人のうち3457人が子どもです。小さな子どもを抱え、身動きが取れない住民も相当数いるはずです」(軍事評論家・前田哲男氏)
しかも、住民は劣悪な環境下に置かれている。イスラエルがガザを「完全封鎖」しているため、電気がストップし、食料も水も不足し、通信も断たれた状況だ。
空爆によって、多くが家を失い、ガザ内に設置された約150カ所の避難所に60万人が身を寄せている。逃れた先のシェルターは、水不足でトイレを流すことができず、衛生状態の悪化が深刻だという。
医療体制も崩壊。ガザには保育器に入っている未熟児が少なくとも130人いるが、電気が止まっているため、このままでは救える命も救えない状況だ。
地上戦なら死者数はハネ上がる
アメリカのブリンケン国務長官は、「イスラエルには、自衛のためにできることはなんでもする権利と義務がある」と、擁護しているが、いまイスラエルがやっていることは、自衛ではなく、戦争ですらなく、ただのジェノサイド、虐殺なのではないか。
もちろん、今回、先に攻撃を仕掛けたのはガザを支配している武装組織「ハマス」だ。イスラエルには自衛権もある。しかし、この空爆は、いくらなんでも自衛を超えているのではないか。無抵抗な住民を一方的に殺しているだけだ。
しかも、イスラエルのネタニヤフ首相は28日、「戦争は第2段階に入った」と、地上戦に突入すると宣言している。
ガザは狭い地域に220万人が暮らす人口密集地である。ハマスの戦闘員は、せいぜい2万5000人だ。そこに、36万人もの予備役を招集した世界屈指の兵力が地上侵攻したらどうなるか、容易に想像がつくはずである。
「地上戦が始まれば、凄惨な市街戦になり、死者の数は桁がひとつ上がる恐れがあります。ハマスは人口密集地に攻撃拠点を置いている可能性があるだけになおさらです。住民の巻き添えは避けられないでしょう。恐らくイスラエル軍は、ガザ地区の北部を殲滅させるつもりなのだと思う。北部に残っている住民は危険です。容赦なく殺される恐れがある。たとえ住民が大量虐殺されても、イスラエル側は『事前に南部に退避せよと警告したはずだ』と釈明するつもりなのでしょう」(前田哲男氏=前出)
2014年にもイスラエル軍は地上侵攻している。あの時は、約1カ月間だった。今回、イスラエル軍の元情報局長は「数週間から5カ月かかる」と予測している。
このまま地上戦に突入させたら恐ろしいことになる。
国際社会から孤立したアメリカ
国際社会からはイスラエルに対する批判が噴出し、イスラエルを全面支援するアメリカにも冷ややかな視線が向けられている。いまや、アメリカとイスラエルは世界から孤立しつつある状況だ。
象徴的だったのが27日に国連総会で採決にかけられた2つの「休戦」決議案を巡る、各国の動きだ。
G7の一角を担うカナダ提案の決議案には、ハマスを非難する文言が盛り込まれ、アメリカが支持するよう訴えたが、賛成票が規定に達せず、採択されなかった。一方、ハマス非難が盛り込まれなかったヨルダン案は賛成多数で採択された。
193カ国中、ヨルダン案に賛成したのは121カ国で、反対はアメリカとイスラエルを含め、わずか14カ国にとどまったのだ。アメリカが少数派に転落したのは、イスラエルに一方的に肩入れするアメリカへの嫌悪感が、加盟国間で広がった結果だろう。
アメリカが孤立しているのには理由がある。現代イスラム研究センター理事長の宮田律氏はこう言う。
「歴史的にアメリカのイスラエルびいきが著しく、国際社会から反感を買ったということです。過去4回の中東戦争では、イスラエルが領土占領や入植地拡大という安保理決議違反を犯してきたにもかかわらず、アメリカは黙認し続けてきた。そうした状況に対して、中東諸国やグローバルサウスと呼ばれる各国には、パレスチナへの同情論が根強くあったのでしょう。いまもウクライナに侵攻するロシアには厳しい態度を示しているのに、イスラエルには甘い。そうしたアメリカの二重基準が各国の不信を招いたと言えます」
なぜ「休戦案」に賛成しなかった
世界から孤立しつつあるアメリカに相変わらずベッタリと寄り添っているのが、岸田政権だ。27日の国連総会での日本の立ち回りは、あまりに情けないものだった。
多くの国が賛成したヨルダン案の採決には「棄権」した一方、アメリカが支持を呼びかけたカナダ案には賛成票を投じてみせたのだ。なぜ、ヨルダン案に賛成しなかったのか。G7メンバーでありながら、両方の「休戦案」に賛成したフランスとは大違いである。
岸田首相はX(旧ツイッター)に〈事態の早期沈静化、ガザの人道状況の改善に向け、外交努力を全力で続けます〉と投稿していたが、本気でそう思っているのなら、フランスのように両方の「休戦案」に賛成するのが当然なのではないか。
なのにアラブ諸国を代表したヨルダン案の採決を棄権し、アメリカが推したカナダ案にだけ賛成するとは、アメリカに盲従したとしか思えない。どこが「外交努力」なのか。
アメリカ追従は日本の国益にとってもマイナスだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「アメリカの意向を気にした採決棄権は、最悪の選択でした。アラブ諸国から不信を買った恐れもある。武力衝突が激化し、第5次中東戦争に発展した場合、日本はどこから原油を調達するのか。アラブ諸国に寄り添う姿勢を示すことが『資源確保』のために重要だったはずです。有事の際に困ってアラブ諸国に助けを求めても、『日本はパレスチナを見捨てたじゃないか』とソッポを向かれてしまう恐れもあります」
このままでは、日本も孤立してしまう可能性もある。
プーチンロシアを非難する大メディアもイスラエル批判には腰が引けている。岸田政権も大メディアも、あまりに無定見だ。イスラエルの空爆をどう見ているのか。これは、自衛なのか、虐殺ではないのか。一刻も早い停戦が必要なはずだ。
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- イスラエル軍のガザでの虐殺の怒りは世界に広がり、OHCHR幹部が抗議の辞職(櫻井ジャーナル):戦争板リンク 赤かぶ 2023/11/02 01:30:05
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