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※紙面抜粋
※2023年10月5日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
4日は、所得減税の検討も示唆した岸田首相(C)共同通信社
空虚な2年間だった。そればかりか、時計の針が巻き戻された2年間だった。
安保関連3文書の改定で推し進められる防衛費倍増、専守防衛を逸脱する敵基地攻撃能力の保有、紛争を助長しかねない防衛装備移転三原則の骨抜き。12年前に東京電力福島第1原発で発生した過酷事故を忘却したかのような原発回帰、漁業関係者を踏みにじる汚染水の海洋放出。そして、アベノミクスの負の遺産にほかならない異次元緩和の継続。ぬるま湯に漬かった企業は国際競争力を失い、経済は当然ヘタり、終わりの見えない円安物価高で国民生活はズタズタだ。「安いニッポン」を通り越し、外国人観光客以外には見向きもされない「激安ニッポン」に成り下がりつつある。反日カルト集団の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着が白日の下にさらされた安倍元首相を送る時代錯誤の国葬も強行された。
2021年10月4日の岸田政権発足からこの方、この国の劣化に拍車がかかるばかり。4日の朝刊各紙が「岸田政権の2年」を総括する特集を組む中、際立っていたのが朝日新聞だ。岸田首相の政治手法についてこう書いていた。
〈永田町の解散風は昨年末ごろから吹き続け、時に突風となって議員らを浮足立たせてきた。風速が最も強まったのは、今年6月の通常国会の最終盤だ。首相は野党を国会に集中させないよう、岸田派の議員らとともに解散の可能性を何度もにおわせた。風を背に、自民内の選挙区の候補者調整も一気に進めた。
「解散カードを使わずに残すことができた。秋も冬も来年だってまた使える」。通常国会を乗り切った首相は会期末、周囲にそう口にしていた。その「成功体験」が、いま臨時国会を前に形になって表れている〉
〈10月に入り、「補正提出表明」で解散風がやや収まると、首相は今度は周囲にこんな考えを口にしたという。「記者には補正を提出したいという思いを語っただけ。解散の選択肢の幅は、確保している」〉
〈当の首相は、3年目の新たな布陣に自信を深めているようにみえる。最近も周りにこう胸を張った。「政権運営を積み重ねていくなかで、体制ができてきた。強い官邸をめざしたい」〉
円安株高のアベノミクス破綻
いやはや、驚くべき記事だった。首相は政権運営に自信を深めているという奇々怪々。岸田の関心事は永田町の空気だけで、国民生活は度外視なのがよく分かる。生活保護申請が7カ月連続で増加していることを知っているのだろうか。読売新聞も「解散権の威力はすさまじい」と興奮気味に漏らしていたと報じている。
「『聞く力』がちっとも発揮されていないという批判は耳に入っているものの、総理はこのところ積極的に人と会おうとしません。1年後に迫る自民党総裁選での再選に向けた解散戦略で頭がいっぱいのようです。求心力をいかに高めるか。年内に解散が打てるかどうか。負け込んでしまったらどうなるか。総理が何かと意識する池田勇人元総理は、自身が率いる岸田派(宏池会)出身の歴代総理5人のうち、在任日数がトップ(約4年4カ月)。池田元総理を超えるには2期6年は必達です」(官邸事情通)
暴落株価を尻目に信じられない感覚だ。岸田は先月25日に「国民のみなさんは物価高に苦しんでいる」と言いながら経済対策の骨子をぶら下がり取材で発表したものの、弥縫策と財界へのバラマキからなる「5本柱」にマーケットはちっとも反応しなかった。自民党内からは「少なくとも15兆円、できれば20兆円ぐらいは必要になる」(世耕弘成参院幹事長)などと威勢のいい数字が飛び交っているが、日経平均株価は4日まで5日続落。とりわけ4日の売りは激しかった。日米の金利差拡大懸念から全面安の展開となり、終値は前日比711円06銭安の3万526円88銭に沈んだ。3万1000円を割り込んだのは、5月17日以来およそ5カ月ぶり。前夜の円相場は一時1ドル=150円台に下落し、1年ぶりの円安ドル高水準だった。この10年あまり、自民党政権が誇示してきた円安株高セオリーは破綻し、アベノミクスが詰んだのはアリアリだ。
空っぽ首相の見せかけ政治で補選全敗も
朝日などが報じた亡国首相の意気軒高が本当ならば、選挙で鉄槌を下すのが有権者の役目。22日に投開票を迎える衆参ダブル補選は、解散の判断材料となる重要な国政選挙だ。参院徳島・高知は5日、衆院長崎4区は10日告示。いずれも元々は自民党の議席で、与野党対決の構図だ。暴力沙汰による議員辞職に伴って実施される参院徳島・高知は自民に分が悪いが、衆院長崎4区は一種の弔い選挙。内閣支持率が高ければ勢いでグイグイ攻める手もあろうが、低支持率の上、保守分裂のシコリが残る選挙区事情もあいまって、情勢は混沌としている。
政治評論家の野上忠興氏はこう言う。
「物価高に対する世論の怒りは地方でも燃え盛っている。野党が事実上、候補を一本化したのも奏功し、自民が2敗してもおかしくありません。毎日新聞の世論調査(9月)では内閣改造・党役員人事、岸田政権の物価対策を8割近くが評価せず、岸田首相に〈早く辞めてほしい〉との回答は半数を超えていた。世間はよく見ていますよ。首相になってやりたいことを聞かれて〈人事〉と言い、小学生から首相を目指した理由を問われて〈日本で一番権限が大きい人だから〉と身もフタもなく答える。やりたいことがない空っぽ首相だから、やることなすこと空っぽ。要するに、見せかけ政治なのです。正式な記者会見を避け、短時間で一方的に発信しやすいぶら下がり取材を多用しているのも、そうした政治姿勢を象徴している。岸田政権の点数をつけるとしたら、100点満点中30点程度でしょうか。そんな首相が2期6年を堂々と目指すのは、党内にライバルが不在だからです」
野党とメディアも延命に加担
解散権を弄び、この株価と物価高に支離滅裂な経済対策と空疎な会見でいい気になっているのだとしたら、まさしく政権交代以外に打開策はない。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言った。
「岸田政権が延命している要因は4割が野党、2割がメディアにある。野党もメディアも岸田首相の本質を正確につかめず、リベラルで穏やかな人物として接し、そのイメージを垂れ流している。麻生副総裁が〈ある種の誠実そうに紳士そうに見えるあの顔、リベラルそうに見えるあの顔が世の中に受ける〉と表現したのは言い得て妙。安保政策を大転換させても、強引な印象をさほど持たれない。問題閣僚らの更迭が続いても、安倍元首相の強弁パターンのひとつだった〈責任は私にある〉〈結果で責任を果たす〉のコピペでウヤムヤにしている。岸田首相は本音のところでは、野党勢力は立憲民主党と共産党くらいで体制を脅かすほどではないし、たとえ低空飛行でも墜落しなければいいくらいの腹積もりなんじゃないか。弱者イジメのインボイス制度を中止する、予算膨張に反発が強まる大阪・関西万博を中止する。それくらいの政治決断を見せなければ支持率は反転しないでしょう。逆にインボイス導入の余地をつくったのは、消費増税の制度設計を詰め切れなかった野田政権なのですから、立憲民主が命がけで止めれば浮上するチャンスになる」
アンポンタン首相に国政を託したままでいいわけがない。政権を取りにいこうとしないビジネス野党もいらない。
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