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インボイス増税不況がすぐそこに…物価高騰下のスタート、インフレ加速で日本経済大打撃
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/329943
2023/10/02 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
増税1兆円との試算も(C)日刊ゲンダイ
消費税のインボイス(適格請求書)制度が1日からスタートした。物価高が長期化し、企業も消費者も悲鳴を上げる中、年間約2480億円が政府に吸い上げられる。この2480億円は事業者と消費者が新たに負担することになる。インボイス増税不況はすぐそこだ。
◇ ◇ ◇
これまで消費税の納税義務がなかった年商1000万円以下の零細事業者やフリーランスは苦渋の選択を迫られている。制度に参加し、課税事業者になるか、発注先からの取引停止を覚悟して免税業者のままでいるか──。どちらの選択もいばらの道。対応を決めかねている事業者も少なくない。
課税事業者になると、新たな税負担が生じるが、問題は売値に転嫁できるかだ。もし、多くの事業者が新たな税負担を価格に転嫁したら、インフレがもう一段進むことになる。
インボイス制度に詳しい立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)が言う。
「もともと、年商1000万円以下の事業者は価格交渉力が弱く、消費税を売値に転嫁できないとの理由で免税事業者にされてきました。インボイス制度により、課税事業者になったからといって、増税分をスムーズに価格転嫁できるようにはならないでしょう。受注が減るのを避けるため、自社で負担する業者も少なくないと思われます」
課税事業者にならないと、発注元が消費税を負担することになるので、免税業者は発注元から取引を避けられる恐れがある。免税業者との取引を続ける場合、発注元は新たな税負担を価格に転嫁するか、できなければ、コスト増の負担を強いられることになる。
「消費税の増加分は、誰が負担するにせよ、確実に税収を得られるため、政府にとっては都合のよい制度だと言えます。政府は増税とわからないように進めてきたわけですが、スタートが近づくにつれ、正体が明らかになり、反対の声が広がっています」(浦野広明氏)
政府は2019年の国会答弁でインボイス制度導入により、約2480億円の税収増になるとの試算を示しているが、近年のフリーランスの急増が反映されていないため、増税金額は2480億円では済まないとみられている。
元静岡大教授で税理士の湖東京至氏はクラウドソーシング大手「ランサーズ」が発表した21-22年のフリーランス実態調査などをもとに試算。少なく見積もっても約1兆円(平年度)の増税になるという。
「このままでは、税負担を価格に転嫁できない事業者の廃業が相次ぐ恐れがあります。かなり難しいでしょうが、仮に税負担の転嫁が進めばインフレが加速する。消費の低迷など日本経済に壊滅的な打撃を与えることになるでしょう」(浦野広明氏)
インボイス増税不況に苦しむ事業者や消費者には、税収増にウハウハの岸田政権はどう映るのか。
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