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※紙面抜粋
※2023年10月2日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
社名変更すればテレビ局も使い続けられるという出来レース(東山紀之新社長とジュリー景子前社長)/(C)日刊ゲンダイ
創業者の故ジャニー喜多川元社長の性加害問題で揺れるジャニーズ事務所が2日、記者会見。先月7日に続く2度目の会見で、前回は性加害を認め、藤島ジュリー景子氏が代表取締役社長を引責辞任、被害者への「法を超えた救済・補償」の意思を発表し、事態を収束させるつもりが、「ジャニー」の名を冠した社名の存続など到底「解体的出直し」とは言えない方針に風当たりは強くなるばかり。企業側も「対応が不十分」と反発し、所属タレントのCM打ち切りが相次いだ。
猛批判を受け、社名変更の方針を固めたジャニーズが2日の会見で、今後の組織体制や具体的な再発防止策について、何を説明するのか。NHKと民放4局が一斉に生中継するなど注目を集める中、会見の発表内容をスッパ抜いたのが、普段は芸能ニュースとは無縁の日本経済新聞である。
9月30日夜に電子版で「【日経特報】ジャニーズ事務所、被害者補償と経営分離 新会社社名は公募へ」と報道。記事を要約すると▶新会社を立ち上げ、所属タレントのマネジメントなどの業務を移管▶現在の事務所は性加害の被害者への補償に専念▶新会社にはジュリー氏は出資せず、業務にも携わらない▶新会社の社名はファンから公募で決める方向で検討──というもの。
ジャニーズ側の事前リークかどうかは不明だが、ハッキリしているのは、「社名の変更」も「補償とマネジメントを行う組織の分離」も、民放各局からの要望に従った内容であることだ。フジテレビの港浩一社長や日本テレビの石沢顕社長が共に9月の定例社長会見で、ジャニーズに社名変更の検討と、救済会社とタレントのマネジメント会社に分離する案などを申し入れたと明かしていた。
依存と忖度が「沈黙」を生んだ温床
視聴率獲得が至上命令の民放各局にとって、絶大なファンの数を誇るジャニーズのタレントは「数字」を期待できるドル箱だ。新社名の別会社で再生を期すようにと声高に訴えていたのは、取引継続に向けた呼び水ではなかったか。この条件さえ事務所側がのんでくれれば、ほどなく、これまで通りジャニタレを使い続けられるという算段である。
どうにも出来レースのにおいがプンプン漂うが、こうした日本最大のエンターテインメント企業であるジャニーズへの依存と忖度こそ、事務所側が設置した再発防止特別チームから指摘された「メディアの沈黙」を生み出す温床ではなかったか。
ジャニー氏の性加害は足かけ半世紀以上、被害者は数百人とも数千人ともされる大罪だ。新会社の新社長に就任する東山紀之氏も「人類史上、最も愚かな行為」と称していたが、その事実を長年、ジャニーズに忖度して握り潰し「なかったこと」にしてきたのが、NHKや民放各局をはじめとする日本の巨大メディアだ。
ジャニー氏の性加害は過去に数々の暴露本で世に明かされるとともに、2000年代初頭には週刊文春との訴訟で裁判所による事実認定もされていた。にもかかわらず、今年3月に英BBCが特集番組を放送し、その後、元ジャニーズJr.のメンバーが被害を告白する会見を開くまで、正面から取り上げる大手メディアは皆無だった。
それでも沈黙を破ったのは少数派だ。8月末に再発防止特別チームが調査報告書を公表し、ジャニー氏の性加害を認定するまで多くのメディアは腫れ物に触るように、この問題をマトモに報じず、被害者を黙殺し続けてきたのである。
メディアの条件さえのめば従来の癒着を継続
この国の主だったメディアはジャニー氏の性加害の事実をタブー視し、報道しないことで「史上まれにみる大罪」を放置。ジャニーズの隠蔽体質を増長させてきた責任は重い。いわば共犯のメディアが、その事実と向き合わず、2日の会見をもって一段落。喉元過ぎればナントカで、以前と同じようにジャニタレを起用するつもりなら、決して許されない。
ジャニーズ問題について情報発信を続ける元博報堂社員で作家の本間龍氏はこう言う。
「なぜ、テレビ局はジャニー氏の性加害に沈黙を貫き、共犯関係を続けてきたのか。いまだ、その検証や総括は十分になされているとは言えません。あれだけ再発防止チームから『沈黙』について断罪されたのに、どうして民放各局は検証番組ひとつ作らないのか。とにかくジャニーズ事務所には厳しい注文をつけるポーズを取り、その条件さえ満たせば従来通り癒着関係を継続しましょうと『手打ち』をほのめかしているようにしか映りません。事態の沈静化を望んでいるのは、視聴率が取れるジャニタレを番組に起用したいメディア側も同じ。そのためにも、ジャニーズ側だけに一方的に悪者になってもらって、大罪の責任を押し付けたい。ジャニーズとの共犯関係にフタをしているようなものです」
そもそも、日刊ゲンダイに〈社名を募集し「新会社」だとさ〉と書かせてしまう感覚自体が、世間をナメきっている。
「新社名をファン投票で決めるとは、どうかしています。社名の変更を迫られた経緯を度外視して、ファンを巻き込んだイベントに仕立てて、性加害という大罪を覆い隠す狙いだとしたら、あまりにも世論をバカにしています。テレビ局も社名変更のイベントを盛り上げ、大罪隠しのキャンペーンに加担するのでしょう。新社名が公募で決まったら決まったで『注目の新社名の発表です』とニュースでタレ流す様子が、今から目に見えます」(本間龍氏=前出)
驚くほど小児性愛に寛大な国として信用失墜
ジャニーズ事務所側に「新規の出演、依頼は極めて慎重に判断する」との方針を掲げたテレビ東京は民放キー局で唯一、2日の会見の生中継を見送り。注目の会見にバカ騒ぎする他局を尻目に、同じ時間帯でニコラス・ケイジ主演のアクション映画を放送した。テレ東の独自路線の方がむしろ、意図せずともジャニーズ依存を断ち切ろうとする潔さすら感じるくらいだ。
ジャニタレの人気目当てに長年の癒着と沈黙の構造から抜け出せない腐敗メディアは、2日の会見を機にジャニーズと共に「二度死ぬ」予感がする。
1度目の死は性加害とその共犯によって訪れ、そして2度目の死は長年にわたって人権侵害を行ってきた組織の無反省な温存によって迎えることになるだろう。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。
「あれだけ極めて悪質な人権侵害を続けてきた企業として、ジャニーズ事務所は今後、一切の取引を許されず、企業の命脈を絶たれてしかるべき立場です。ところが、その取引先でもあるメディアが、あろうことか、ジャニーズ事務所を存続させる手助けをわざわざ買って出て、社名を変えればOKという軽いノリで、悪質な人権侵害企業を温存させたがっているように見えます。その時点でメディアの自殺行為に等しい。取引先やサプライチェーンでの人権侵害を把握し、対策を講じる『人権デューデリジェンス』が進んだ欧米社会では、あり得ません。ジャニーズの大罪におとがめナシとは、日本はペドフィリア(小児性愛)に驚くほど寛大な国だとして、海外には奇異な目で見られるだけです。日本のメディアに国際社会における自国の信用を地に落としていることへの自覚はあるのか。結局BBC報道という『黒船の外圧』がなければ変われなかった自浄能力なきメディアは、自壊の道を歩むしかなさそうです」
時の政権への忖度だらけの政治報道で、すでにテレビ局は死んだも同然。マトモな報道機関だとは誰も思っていないが、今回のジャニーズへの大甘対応は崩壊に向けた決定打となるに違いない。
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