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※紙面抜粋
※2023年9月28日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
国民生活ないがしろ、解散・総選挙画策ばかりの岸田自民(岸田首相)/(C)共同通信社
通常国会会期末の6月と同じような「変な空気」が永田町に漂い始めている。
岸田首相が10月に経済対策を取りまとめた後、衆院解散・総選挙に踏み切るのではないか──との観測が与野党の間に広がっていることだ。
「10月をめどに経済対策を取りまとめる。その後、速やかに補正予算の編成に入る」
唐突に吹き始めた「解散風」の理由は、臨時国会の召集日が固まっていないことに加え、岸田が経済対策の財源の裏付けとなる補正予算案の提出時期を明かさなかったことだ。
経済対策の取りまとめは早くても10月中旬以降。そこから3週間程度必要とみられる補正予算案の編成作業を考えると、国会提出は11月上旬になるが、岸田が具体的な政治日程に踏み込まなかったため、与野党内で臨時国会冒頭の解散を警戒する声が広がったのだ。
岸田が「成長の成果である税収増を国民に適切に還元すべき」などと、賃上げに取り組む企業への減税措置をにおわせたことも「変な空気」を押し上げた一因だ。安倍元首相が2017年9月、消費増税の先送りや使途変更を掲げて「国民に信を問う」と臨時国会の冒頭解散に踏み切ったケースがあったためで、安倍の“猿真似ばかり”していると揶揄されている岸田であれば、同じ手法で解散してもおかしくないとみられているわけだ。
柱があっても土台や基礎がダメならば家は建たず
大新聞では早くも「秋解散」との文言も飛び交っているが、果たしてそうなのか。
そもそも、補正予算案の提出時期うんぬんの前に、岸田が今回の経済対策で解散を打てると本気で考えているのであれば笑止千万だ。
岸田が26日の閣議で閣僚らに指示した対策(5本柱)は、「物価高対策」「持続的賃上げと地方の成長」「国内投資促進」「人口減少対策」「国民の安心・安全」だ。
コロナや物価高対策のために用意した予備費の使途を変更し、賃上げ促進に使えるよう見直す方針も示したが、どれも当たり前のことばかりで、ハッキリ言って目新しさは乏しい。
高止まり状況が続く物価高で実質賃金は減り続け、国民生活は苦しくなるばかり。そんな中で「柱」などと大げさにアピールし、国民生活にとって実効性ある政策なのかも分からないメニューをぶち上げることにどんな意味があるというのか。
岸田が会見を開き、大型モニターを使って仰々しく説明する姿を見た国民の多くは、これが経済対策と言えるのか? とビックリ仰天したに違いない。大体、新たな対策を示す前に、岸田が自民党総裁選で掲げていた「令和版所得倍増」や「金融所得課税」の「柱」は一体、どこに消えたのか。
「柱」を何本も立てたところで、肝心要の土台や基礎が腐っていれば家が建つはずがないではないか。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「本気で経済対策を打つのであれば、まずは物価高対策でしょう。円安が要因なのだから異次元緩和を見直す。ところが異次元緩和はそのままで対症療法的な場当たり策を小出ししているだけ。最大派閥の安倍派の機嫌を損ねたくないからでしょうが、これでは話にならない。国民生活のことよりも自分が総理総裁であり続けることが最優先になっている。解散など冗談ではありません」
国民愚弄の政権が解散を口にするブラックジョーク
それにしても、岸田自民は解散権を何だと思っているのか。
解散とは国民に信を問うこと。国民生活を良くするための政策を打ち出し、自分たちに政権を託してほしいとお願いする。それが総選挙だ。
しかし、岸田政権の発足後を振り返ると、積極的に取り組んできたのは国民生活を良くする政策ではない。戦後の日本が築き上げてきた平和主義を捨て去り、専守防衛を放棄。敵基地攻撃能力の保有や殺傷力のある武器輸出を認めるといった軍拡化だ。
物価高と低賃金で苦しむ国民そっちのけで米国に言われるまま武器を爆買い。内政で聞こえてくるのは庶民狙い撃ちとも言える増税の話ばかりだ。
これじゃあ支持率下落が続くのは当然で、起死回生を狙った内閣改造も空振り。常識的に考えれば、そんな国民愚弄の政権が解散を口にすること自体がブラックジョークなのだ。
メディアもメディアだろう。通常国会の時と同様、解散をめぐって党内から流れてくる雑音を垂れ流し、解散風をあおりまくっているからだ。「衆院解散は首相の専権事項」なんて、もっともらしく解説しているが、しょせんは「永田町ルール」に過ぎない。
繰り返すが、「今なら勝てるから」と政局判断を優先して解散するのは解散権の乱用と言っていい。本来であれば、メディアは「解散権を弄ぶな」と批判的に報じるべきなのに、国民の反応を確かめるかのごとく率先して解散話を報じているからクラクラする。
国民は「今、解散している場合なのか」が本音
解散について、岸田は「経済対策をはじめ先送りできない課題に一意専心に取り組んでいく。現在、それ以外は考えていない」ととぼけていたが、おそらく本音は違う。
弱小派閥を率いる岸田にとっては、来年秋の総裁選で再選するためには何が何でも次期衆院選を勝って党内勢力をまとめたい。立憲民主や国民民主、日本維新の会といった野党がバラバラな今のタイミングで解散すれば、たとえ支持率が3割台のヘナチョコ政権であっても勝てると考えているのだろう。
だが、冷静に考えて今、本当に解散できるのか。例えば衆院長崎4区補欠選挙(10月10日告示、22日投開票)の前に解散となれば、補選中止で有権者は大混乱するのは避けられない。自分勝手な岸田政権に対する世論の怒りは今以上に高まるのは確実だ。
さらに永田町ではこんな真偽不明な話も飛び交っている。自民党などが全国で票読み調査したところ、岸田が今、解散に踏み切った場合、「現有議席を大幅に割り込むのは確実」「30〜40議席減」といった結果が出たというのだ。これでは解散したくても出来ない。
6月に示された政府の「骨太方針」で、コロナを機に膨らみ続けた歳出構造を平時に戻す方針が示されたにもかかわらず、今回の補正予算をめぐって自民党内から「15兆〜20兆円程度」などと、これまでの規模と変わらない金額を求める声が公然と出始めたのも、世論調査の結果に慌てふためき、解散前にバラマキが必要だと考えたから、との話もある。
いずれにしても、解散権を弄ぶ岸田自民に「勝つタイミング」などないのが実情ではないのか。
政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう言う。
「解散話が当たり前のように報じられていますが、一体、解散の大義は何なのか。国民の多くは今、解散している場合なのかと思っているでしょう。まさに岸田首相は解散権を弄んでいると言っていい。物価高など待ったなしの政治課題は山積しているのです。いい加減、国民生活を重視した本来の政治の在り方を考えてほしいと思います」
大マスコミの政局報道もうんざりだ。
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