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※紙面抜粋
※2023年9月19日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
西側諸国に緊密さを誇示するロシアのプーチン大統領(上・左)と北朝鮮の金正恩総書記(上・右)。隠された真意を岸田首相(下)は読めていたのか(C)J M P A
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が6日にわたるロシア極東訪問の日程を終え、特別列車で帰国の途に就いた。滞在中はプーチン大統領と宇宙基地で首脳会談を開き、戦闘機工場やロシア太平洋艦隊の拠点などを見学。両国の軍事協力強化を西側諸国に見せつけるセレモニーが続いた。
2019年の前回訪問では予定を切り上げ、3日間で帰国した金正恩だったが、今回は1週間近くロシアに滞在。13日の首脳会談では、極東ウラジオストクの東方経済フォーラムに出席したばかりのプーチンが、約1000キロ離れたアムール州ボストーチヌイ宇宙基地に駆けつけ、金正恩をお出迎え。自ら宇宙基地を案内したほか、行く先々で政府高官を同行させるなど最大限にもてなした。
破格の厚遇の背景にあるのは、ロシアの弾薬不足とされる。昨年2月のウクライナ侵攻開始前の2倍に当たる年間200万発まで増産できる体制にあるものの、消耗のペースに追いつかず、北朝鮮から協力を得ようとしているというのだ。
北朝鮮との武器取引は、国連安保理決議に抵触する。常任理事国の一角を占め、影響力を行使できるロシアにとって国連は外交のよりどころ。安保理決議をあからさまに無視するわけにはいかないはずだ。それでもプーチンは首脳会談後、ロシア国営テレビのインタビューに「協議、検討は可能で、展望がある」と答えた。制裁をかいくぐる抜け道づくりのため、金正恩との間で何らかの密約が交わされたのか。
北朝鮮が弾薬供与の見返りにロシアから得られるのは、高度な軍事技術とみられる。表向きは「人工衛星」の発射技術支援と称して、邁進する核・ミサイル開発に生かすのは間違いない。
米国やその同盟国と対立し、国際的な経済制裁下で孤立する「ならず者」同士が、急速に関係を深めて大接近。ロシアの弾薬不足を北朝鮮がカバーすれば、長期化の一途をたどるウクライナ戦争の泥沼が、さらに深みにはまるのは必至だ。
ましてや、朝ロと同じ東アジアに位置している日本にすれば、両国の大接近は軍事的な脅威にほかならない。核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮にロシアの軍事技術が加われば、確実に安全保障における潜在的なリスクは増していく。北朝鮮が軍事的圧力を強めれば、日本の保守層が危惧する台湾有事よりも先に、朝鮮半島有事が勃発しかねない。
はたして、岸田首相はこの最悪シナリオを読めていたのだろうか。
分断を煽るほど強まる権威主義国同士の絆
岸田は19日、国連総会に出席するため米ニューヨークへ出発。同日午後(日本時間20日午前)に行う一般討論演説で法の支配の重要性を訴え、安保理決議に違反する可能性がある朝ロの軍事協力の強化・拡大を牽制するらしい。いくら岸田が力んだところで、金正恩やプーチンにすれば「どこ吹く風」だろう。
ロシアのウクライナ侵攻から1年半が過ぎ、これだけ安全保障環境を悪化させている国は、日本くらいなもの。その責任を岸田はどう取るのか。地政学的リスクは欧米とは大いに異なるのに、ウクライナ戦争を巡る対応は西側諸国に右倣え。中国と覇権争いを演じる米バイデン政権の言いなりとなり、完全に一体化。ウクライナ戦争を通じて中国・ロシアを孤立させようとする米国の「民主主義VS権威主義」なる戦略構想に乗っかり、この国を危険にさらす結果を招いてしまった。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「日本も西側諸国に同調し、ロシアに対する経済制裁に打って出ましたが、結果的にロシアは中国との連携を強め、同じく制裁を受ける北朝鮮とは冷戦終了後、最も緊密な軍事協力強化に動いたのです。世界に視野を広げれば、実は自由民主主義は衰退し、独裁化が加速しています。代表的な民主主義の指標であるスウェーデンの『V-Dem』指数によると、世界に占める独裁国の人口割合は過去10年間で7割近くまで増加しているのです。米国を中心に『民主主義VS権威主義』などと分断を煽るほど、権威主義国同士の結束は強まる一方です」
実際、国連総会を前に、新興国で形成する国連の枠組み「77カ国グループ(G77)プラス中国」が16日、キューバで首脳会議を開催。先進国への不満や要求を盛り込んだ共同声明を採択した。
「米国の裏庭にあたる中南米のキューバやベネズエラなどの反米勢力が、中国との結束をアピール。米国に対抗し、発言力を高める狙いがある。こうした権威主義国同士の結び付きに、日本の外交当局は鈍感すぎる印象です。今回の朝ロ大接近も、8月の米キャンプデービッドでの日米韓首脳会談への対抗措置の側面がある。米国主導による3カ国の安保協力強化に対し、権威主義国同士が軍事協力を強化したまでです。ところが、岸田政権は米国におもねるだけで、自国の安全保障に重大な影響を及ぼすことを深く考えず、東アジアの緊張を高めてばかりいる。あまりにも危うすぎます」(五野井郁夫氏=前出)
覇権を巡る世界の転換期にひたすら米国追従
ウクライナ戦争を巡り、日本の対応はずっと、欧米諸国に同調してきたが、その選択は正しいのか。そろそろ国民も考えた方がいい。
米バイデン政権は当初、ウクライナ戦争を通じてロシアのプーチン体制を疲弊させ、あわよくば崩壊させるつもりだった。だが、プーチンが核戦力の使用も辞さない構えを示したことで、すっかり及び腰に。ロシアを追い詰めない程度に、ウクライナに武器を供与するという「戦力の逐次投入」で、どちらも生かさず殺さず。紛争の固定化を続けているようなものだ。
侵攻開始から1年半で、米国がウクライナの軍事支援に投じた額は計430億ドルに上る。先月末にも2.5億ドルの追加支援を発表。日本円にして6兆円を軽く超え、日本の年間の防衛費に匹敵する巨額拠出によって、まず喜んでいるのは戦争で大儲けの武器商人だ。
戦争の長期化で生き延びている独裁者プーチンも、喜ぶ奴らに加えられるだろう。ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターによると、直近の支持率は8割以上を維持。来年3月のロシア大統領選でも圧勝間違いなしだ。
中国、ロシア、北朝鮮の結束は戦争前よりも強固となり、「民主主義陣営」の圧勝をもくろんでいた米国の戦略構想は今や、完全に破綻。分断された世界で日本はひたすら米国に同調し、東アジアにおける対中国・ロシア・北朝鮮との代理戦争の最前線に立たされているのである。元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言った。
「世界は今、米国の覇権を巡り、大きな転換の時を迎えているのに、日本政府はその流れを理解しているのでしょうか。台頭する新興・途上国からなるグローバルサウスには、中国との連携を強める国も多い。岸田首相も参加したインドでのG20サミットでは、ロシアに対する『非難』の文言を首脳宣言に盛り込むことを回避。民主主義陣営の中心となるG7も決して一枚岩ではない。
フランスのマクロン大統領は、米国の同盟国は『属国』ではないと語り、米国と覇権を争う中国に融和的です。そのマクロン氏と密接な関係を持つサルコジ元大統領は『われわれはロシアを必要とし、彼らもわれわれが必要だ』と発言。侵攻以前の状態を回復できると考えるのは『幻想』とし、ウクライナに和平のための譲歩を求め、物議を醸しています。日米韓首脳会談での安保連携強化に、韓国の野党は反発。世界を見渡しても追従一辺倒の親米国は日本だけです」
米国に盲従した結果、日本の周りは敵だらけ。それを軍拡予算の根拠にし、防衛増税にまっしぐらなんて、たまらない。
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