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尖閣中国漁船衝突事件の真実
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2023年9月 7日 植草一秀の『知られざる真実』
2010年9月7日、尖閣海域で中国漁船と海上保安庁巡視船が衝突した。
日本政府は中国漁船船長を逮捕、勾留。
日本政府は9月13日に、船長以外の船員を中国に帰国させ、中国漁船も中国側に返還したが、船長に関しては勾留を続けた。
中国政府は日本政府の対応に強く反発。
結局、9月24日、那覇地方検察庁の鈴木亨次席検事が、船長の行為に計画性が認められないとしたうえで、日中関係を考慮し、中国人船長を処分保留で釈放すると発表した。
中国人船長は9月25日、中国側が用意したチャーター機で中国に送還された。
日中関係が劇的に悪化する契機になった事件。
この事件の経緯と背景についての『知られざる真実』を知る必要がある。
インターネット上に漁船衝突の動画が公開されたが、すべてはあらかじめ計画された事件であったと考えられる。
事件が「創作」される直接の契機になったのは2010年6月8日の菅直人内閣の発足。
この日に重大な閣議決定が行われている。
菅直人内閣が質問主意書に対する答弁書を閣議決定した。
答弁書に次のように記述された。
「尖閣諸島に関する我が国の立場は、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないというものである。」
この閣議決定を受けて尖閣海域の中国漁船に対する海上保安庁対応方式が変更されたと見られる。
従来は海保巡視船が中国漁船を追い払うだけだったが、9月7日は1隻の中国漁船を接触するほど追い上げ、あげく漁船と他の巡視船がぶつかり、さらに、接触から3時間も中国漁船を追い回した末に中国漁船と乗組員を確保し、船長を逮捕した。
このことによって日中関係が一気に悪化した。
日本国内では「中国の脅威」が喧伝(けんでん)されることになった。
事件が「創作」された決定的背景が6月8日閣議決定。
日本政府は「尖閣諸島をめぐる領有権問題は存在しない」と宣言。
これは従来の日本政府の立場を根底から覆すもの。
これまで、日本政府は尖閣諸島領有権問題が存在することを認めてきた。
この点の経緯については孫崎享氏の新著『同盟は家臣ではない』(青灯社)に詳しい。
https://x.gd/ub1Ce
本ブログ、メルマガでも尖閣諸島領有権問題の詳細を記述してきた。
1972年の日中国交正常化、1978年の日中平和友好条約締結時に尖閣諸島領有権問題が話し合われた。
その際、この問題については解決を将来に委ねることで決着がついた。
いわゆる「棚上げ合意」が成立した。
このことを明確に述べているのが以下に示す1979年5月31日付読売新聞社説。
「尖閣諸島の領有権問題は1972年の国交正常化の時も、昨年夏の日中平和友好条約の調印の際にも問題になったが、いわゆる「触れないでおこう」方式で処理されてきた。
つまり、日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が存在することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた。
それは共同声明や条約上の文書にはなっていないが、政府対政府のれっきとした「約束ごと」であることは間違いない。
約束した以上は、これを遵守するのが筋道である。」
日中両国政府は尖閣諸島領有権問題が存在することを認め、その解決を将来に先送りした。
この「棚上げ合意」に基づき「日中漁業協定」が締結された。
日中漁業協定では北緯27度以南に位置する尖閣海域での漁船への対処について次のように定めた。
「北緯27度以南は、新たな規制措置を導入しない。現実的には自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行う。」
日中漁業協定に基づき、海保巡視船は、従来は中国漁船を追い払うだけだったが、9月7日には1隻の中国漁船を接触するほど追い上げ、あげく中国漁船が他の巡視船と接触し、さらに、接触から3時間も海保巡視船が中国漁船を追い回した末に中国漁船と乗組員を確保し、船長を逮捕した。
日本政府が一方的に「棚上げ合意」を破棄して中国漁船への対応を変更して事件を引き起こし,中国漁船船長を逮捕した事案である。
事件創作の主導者は前原誠司国交省(当時)であると考えられる。
目的は日中関係の悪化、「中国の脅威論」創出にあったと考えられる。
前原氏の行動は指令者の命令を受けたものと見られる。
その指令者とは言うまでもない。
米国(米国支配者)である。
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