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※紙面抜粋
※2023年8月31日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
メディアも苦言…(ジャニーズ事務所性加害問題再発防止特別チーム記者会見、左から飛鳥井望、座長の林眞琴、齋藤梓の3氏)/(C)日刊ゲンダイ
ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川前社長による性加害問題を巡り、事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が29日、調査報告書を公表した。
特別チームは、前社長が1970年代前半から2010年代半ばにかけ、事務所のジャニーズJr.に「広範に性加害を繰り返していた」と認定。「少なく見積もって数百人の被害者がいるという証言が得られた」と報告した。
事務所がこれまで適切な対応を取れなかった背景として、前社長と姉の故メリー喜多川氏に権力が集中する「同族経営の問題があった」との見方を示した上で、姉が性加害を知りながら「徹底的な隠蔽」を図り、事務所も「見て見ぬふり」をして「被害の拡大を招いた」と批判した。
特別チームの報告を受け、30日の新聞紙面やテレビのワイドショー番組は前社長による性加害の詳細を報じ、「ここまで踏み込むのか」などと驚いていたようだが、この報道姿勢に鼻白んでしまう読者、視聴者は少なくないだろう。
なぜなら、報告書では被害を拡大させた理由として大マスコミの責任にも言及していたからだ。
事なかれ主義、忖度が今の大マスコミの姿
報告書では、多くのメディアが性加害問題を真正面から取り上げなかったため、「事務所は隠蔽体質を強化していったと断ぜざるを得ない」と指摘。結果として「性加害も継続されることになり、さらに多くの被害者を出すことになったと考えられる」「メディアはその影響力を行使することにより、人権侵害を即時にやめさせるべきであったし、できたはずであった」と書いていたが、この苦言は当然だろう。 報告書が示していた通り、前社長の性加害は70年代から始まっており、芸能界では以前から周知の“事実”だったにもかかわらず、大マスコミは知らぬ存ぜぬを続けていたからだ。90年代後半に「週刊文春」が記事で前社長をめぐる性加害の実態について連載し、ジャニーズ事務所は名誉毀損で同社を提訴。2004年に最高裁で「性加害はあった」と確定しても、大マスコミはそろって「沈黙」を貫いた。
本来は特別チームに調査をゆだねるのではなく、とっくに大マスコミが調査、報道するべきだったわけで、その仕事、役割を放棄しながら、今さら大騒ぎしているのだからクラクラしてしまう。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「事なかれ主義、忖度。それが今の新聞、テレビの姿です。とりわけ、テレビは酷い。今年初めに放送法の政治的公平の解釈をめぐる総務省の行政文書が漏洩した件がありましたが、テレビ報道における言論の自由という重大な問題にもかかわらず、淡々と報じていただけ。まるで権力側と一体化しているようでした。ジャニーズ事務所の性加害問題も同じ。長い物には巻かれろ、という姿勢が如実に表れています」
メディアが腐るから政治も腐る「リアル戦前」
ジャニーズ事務所の性加害問題は、大マスコミがコトの重大さをきちんと受け止め、問題意識を持って報じていれば、少なくとも「数百人の被害者」を出す事態にはならなかったに違いない。
そもそも今回だって、英公共放送BBCが3月に同事務所をめぐる性加害のドキュメンタリー番組を制作しなければどうなっていたか分からない。
元ジャニーズJr.カウアン・オカモト氏が日本外国特派員協会で会見を開いて被害を告発したのを機に、次々と元Jr.メンバーが実名告発。実態を調べるために国連人権理事会の作業部会の専門家が来日するなど“大事”になったため、大マスコミとしては、いよいよ取り上げざるを得なくなった、のが本音ではないのか。いわば「黒船」に突っつかれた「鎖国メディア」が渋々、重い腰を上げたと言っていいだろう。
それなのに堰を切ったように正義漢ヅラして報じている“臆面のなさ”。ご都合主義。手のひら返しという言葉がふさわしく、ぶったまげてしまう。
大マスコミのこうした姿勢を見ていると、戦時中の従軍記者と変わらない。従軍記者は「国策に関与している」などと勘違いの高揚感を抱き、戦意をあおる記事を書き続けたが、その結果、多くの市民と軍人を死なせたわけで、ジャニーズ事務所という“大本営”の言いなりに報じてきた従軍メディアは今、どう考えているのか。
福島原発の問題も政府、東電の言い分を垂れ流し
つくづく、この国のメディアは戦前と同じだが、さあ、彼らが今、口をつぐんでいる問題も今後、果たしてどうなるのか、けだし見ものだろう。
東電福島原発からの処理水海洋放出だって、大マスコミは政府、東電が言う「安全」を垂れ流すばかりだが、長期間の海洋放出がもたらす環境への影響について、どう考えているのか。ALPS(多核種除去設備)で処理するとはいえ、通常の原発排水とは異なり、メルトダウン(炉心溶融)した核燃料に直接触れるなどした水だ。それを30〜40年にわたって海に流せば、何が起きるのか。それを冷静に分析して伝えるのがメディアの役割だろう。
日本産水産物の輸入を全面禁止した中国の対応についても、政府内から「想定外」なんて声が出ていると報じられているが、だからこそ、地元漁協などは海洋放出に反対していたのではないか。日本政府は事前に中国側にどう説明し、どう理解を得ようとしたのか。その外交努力はしたのか。メディアであれば厳しく問うのが当たり前ではないか。それなのに「食べて応援」などと言って福島県産の刺し身を食べる政治家の子供じみたパフォーマンスを喜々として報じているから呆れてしまう。
振り返れば黒田日銀の異次元緩和だって、副作用を懸念する有識者の声はほとんど伝えず、株高になった、輸出が増えた、と大はしゃぎしていたのが大マスコミだった。
そうしたら今や、懸念されていた通り、円安が進行し、あらゆるモノの価格が高騰。すると今度は、シレッと苦しい家計事情などと報じているから何をかいわんや。
岸田政権が前のめりになっている敵基地攻撃能力の保有も武器輸出もスルーしているが、再び悲劇を繰り返すことになったらどうするのか。
元NHK政治部記者の川崎泰資氏がこう言う。
「ジャニーズ事務所の性加害問題で、メディアは特別チームから、これまでの報道姿勢を厳しく問われたわけですが、それに対して何ら反論できないということは指摘が『その通り』だからでしょう。つまり、今のメディアというのは権力の言いなり、商業至上主義ということ。全く情けない限りです」
メディアが腐るから政治も腐る。まさに「リアル戦前」ではないか。
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