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処理後汚染水海洋投棄は信義則違反
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2023/08/post-81b2f7.html
2023年8月26日 植草一秀の『知られざる真実』
“Windy”サイトはECMWF(”European Centre for Medium-Range Weather Forecasts”= 欧州中期予報センター)ならびにGFS(” Global Forecast System”= アメリカ海洋大気庁世界予報システム)による10日先までの気象予測を提供してくれる。
この予測によると今後発生が予想される台風11号が9月3日前後以降に日本列島に接近する恐れがある。
ECMWF予測(9月4日正午)
GFS予測(9月4日正午)
太平洋上の気象変化は目まぐるしく、現時点での予報は大きく変化し得るものだが、台風シーズンの到来に備えることが重要。
線状降水帯の発生による集中豪雨では短時間に深刻な土砂災害が発生させる。
土砂災害発生が警戒される地域の住民の早期避難が極めて重要。
予報を正確に入手して早めに備えることが被害の縮小につながる。
さて、東京電力が処理後汚染水の海洋投棄を始めた。
海洋投棄しない代替手段を検討もせず、薄めて投棄すればよいとの安易な発想で行動している。
濃度だけを問題にするなら、サリンでも放射性物質でも海洋投棄できないものはなくなる。
IAEAの調査報告書が錦の御旗に用いられているがIAEAは海洋投棄するとされる処理後汚染水のトリチウム濃度が「国際的な安全基準に合致している」としただけのこと。
調査報告書は、海洋放出の方針を「推奨するものでも承認するものでもない」と記載しており、IAEAが海洋投棄を推奨しているかのような説明は事実に反する。
「タンクに貯蔵されている水の7割近くに、トリチウム以外の放射性核種が排出濃度基準を上回って残存している」、
「海洋放出を実施した場合、放出を開始してからも増え続ける汚染水と放射性物質の総量が今後どこまで膨れ上がるのかが明らかにされていない」
等の指摘もある。
海外でもトリチウムを含む処理後汚染水が海洋投棄されているというが、核燃料が解け落ちた燃料デブリに直接接触した水を投棄しているわけではない。
汚染水をセメントと砂でモルタル化し、半地下の状態で保管するという「モルタル固化処分」という方法も存在する。
小出裕章氏は「海の深層に流せば表層に出てくるまで1000年かかるので、私は放出を仮にするにしても、深層に放出すべきだと主張している」
と指摘するが、代替案が真剣に検討された痕跡もない。
政府と東電はこれまで「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」と確約してきた。
全漁連の反応はあいまいになったが、それでも「海洋放出に反対であることには変わりない」としている。
岸田首相は福島を訪問したが、地元の漁業関係者と面談していない。
地元の漁業関係者が「理解できない」と述べれば海洋投棄できなくなることを恐れての行動であったと見られる。
「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」と確約してきたなかで、関係者の理解を得ずに海洋投棄を強行することは明らかに「信義則」に反する。
権力者は自分である。
国民など足蹴にしてもどうにでもなると考えているなら、必ず、報いを受けることになるだろう。
こうしたなかで改めて特記しておくべきことは、インターネット情報空間が著しくゆがめられていること。
テレビ離れが進むなかで、多くの国民がインターネットを主たる情報源にしている。
時事問題に関する情報を得るために多くの市民が利用するのがニュースポータルサイト。
最重要の情報源がサイトに掲載される記事になる。
その情報が著しく歪んでいる。
橋下徹、ホリエモン、高橋洋一、太田光など、著しい偏りを持った人物の論評が連日のように掲載される。
彼らがどのような見解を持とうと彼らの自由。
それを非難する考えはない。
しかし、多くの事象=時事問題については多種多様な人々が多種多様な論評を発信している。
それらの論評を過不足なく情報源として取り込まなければ問題の全体を捉えることはできない。
大手のニュースポータルサイトは大手資本が運営する。
その運営に財政資金が投下され、また、大手資本が運営を経済的に支える。
人心を統制する極めて重要なツールとして大手ニュースポータルサイトが利用されている事実を知っておく必要がある。
したがって、こうした偏向サイトに対抗し得る市民の側の情報サイト=ニュースポータルサイトを創設することが極めて重要になっている。
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