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※紙面抜粋
※2023年8月18日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
17日、木原誠二官房副長官とともに岸田首相は訪米(C)日刊ゲンダイ
高校3年生の息子宛てに、突然ダイレクトメールが届く。差出人は防衛省。封をあけると、自衛隊への勧誘の文言。どうして就職・進学年齢の息子がいることが分かったのか? まるで戦前の赤紙じゃないか──。そんな経験をして驚き、背筋が寒くなった人がいることだろう。
というのも、リクルート活動を活発化している自衛隊に対し、若者の個人情報を提供する自治体がどんどん増えているからだ。
16日付の「しんぶん赤旗」によると、2022年度に自衛官募集のために、若者の個人情報を記載した名簿を自衛隊に提供した自治体が、全国1747自治体中1068に上り、初めて6割を超えたという。21年度比で約1割増加した。
提供されている個人情報は、住民基本台帳に記載されている氏名、生年月日、住所、性別で、対象は高校を卒業する18歳と大学を卒業する22歳だ。自治体が紙や電子媒体の名簿で提供する。この名簿が、自衛官勧誘のダイレクトメールなどに使われているというわけだ。
従来は、多くの自治体が名簿を提供せず、閲覧・書き写しにとどめていた。ところが、ここ数年は自治体が名簿データを積極提供する姿勢に変わり、閲覧は減っている。
きっかけは安倍晋三首相(当時)が2019年2月の自民党大会で、「都道府県の6割以上が新規隊員募集への協力を拒否している」と発言したこと。個人情報を本人の同意なく第三者に提供することに躊躇する自治体もあったろうが、菅首相時の20年12月、「市区町村長による住民基本台帳の一部写しの提供は可能」だと閣議決定で明確化して“お墨付き”を与えたことで、自治体は安心して自衛官募集への全面協力に転じたのだ。
SNSで「#徴兵制」拡散
こうまでして政府がシャカリキになるのは、慢性的な自衛官不足が背景にある。2023年版の防衛白書によると、22年度の自衛官などへの応募者数は約7万5000人で、前年比1万人近く減った。過去10年で8万人を割ったのは初めてのことだ。定員割れも続いているうえ、中途退職者も増えている。
ただでさえ若年人口が減少していく構造的な要因があることに加え、自衛隊特有の集団行動の息苦しさやセクハラ・パワハラ体質も影を落とす。
「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している」と岸田首相が繰り返すほど、戦場に行かされる不安が高まり、ますます応募者は集まらなくなる。
岸田は、日米韓首脳会談のための19日までの訪米で、東アジア地域の防衛強化策を話し合うとともに、日米の首脳会談では極超音速兵器を迎撃する新型ミサイルの共同開発で合意する見通しだ。岸田政権は昨年末の安全保障3文書の改定で敵基地攻撃を解禁し、防衛費を5年間で43兆円にまで増額した。巡航ミサイル「トマホーク」400発など、米国からの兵器爆買いの延長線上に今度の訪米もある。
だが、いくら兵器があっても、自衛隊員が足りなけりゃどうしようもない。そうなると、行き着く先は……。防衛費の大幅増が決まって以降、SNSで「#徴兵制」のワードが拡散され続けているのは、それだけ懸念が広がっているということだ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「そもそも、住民基本台帳を閲覧・書き写しするのはギリギリ許容範囲としても、本人の承諾なく、個人情報を自治体が自衛隊に提供するのは憲法違反ですよ。岸田政権が安保3文書を改定し、先制攻撃となる敵基地攻撃を認めたことは明確な『戦争準備』に入ったことを意味する。麻生氏が台湾で発言した『戦う覚悟』も同様です。そうした状況下で、自衛隊が18歳前後の若者のリストを作りたがる理由をよく考えてみる必要があります」
格差社会の「経済徴兵制」とマイナカード普及の不気味
そこで出てくるのが「経済徴兵制」だ。
2001年の同時多発テロ後の米国では「落ちこぼれゼロ法」を作って貧しい子供の成績を米軍に流させる仕組みを整備したと、ジャーナリストの堤未果氏が日刊ゲンダイに語っている。経済困窮層を狙って、入隊特典の健康保険やボーナスをちらつかせて自主的な入隊を促したという。
自治体が全面協力して若者の個人情報を自衛隊に流している現状を見れば、日本でもやがて米国のようになるのだろうと想像せざるを得ない。実際、今だって、自衛隊はリクルート活動で「民間の年収より自衛官の方が有利」とか「駐屯地で生活すれば毎月の生活費がかからない」とアピールしているのだ。この文言は、自衛隊の帯広地方協力本部のホームページに現在、記載されているもので、それによれば、20代前半の年収は全国平均264万円に対し、自衛官は374万円と100万円も多い。
自衛官確保策を検討していた防衛省の有識者会議が7月にまとめた報告書では、幹部自衛官となる前提で理工系学生に奨学金を貸与する「貸費学生制度」の対象者拡大も提言された。
格差社会で二極化がますます加速する中、「経済徴兵制」が現実味を帯び、そんな中で今、大きな問題となっているのが個人情報を何でもかんでもひも付けようというマイナンバーカードである。これほどトラブルが頻発しても、岸田政権はなぜマイナカードの普及拡大を諦めないのか。
ロシアでは今やデジタル赤紙がスマホに送られてくるという。日本もいずれそうなるのではないか。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。
「マイナカードに個人情報を集約して国民の管理を徹底した先に何があるのか。保険証と一体化すれば、健康な男子を瞬時に峻別できる。軍拡を進める岸田政権のことだから、現代の『赤紙』を想定している可能性だって考えられます。異次元の少子化対策だって『産めよ増やせよ』を想起させる。多くの自治体が若者の名簿作成で自衛隊に全面協力に転じたタイミングで、全国知事会の会長が陸上自衛官出身の村井嘉浩宮城県知事に交代したことも不気味です」
憲法破壊で「苦役」も取っ払う
「軍事同盟は血の同盟だ。アメリカの若者は血を流す。しかし、今の憲法解釈では、日本の自衛隊は血を流すことはない」──かつてこう主張していた安倍は、集団的自衛権の行使容認で日米同盟を強化し、菅、岸田の両政権はその路線を引き継いできた。菅はマイナカードの総元締のデジタル庁立ち上げに躍起となり、岸田は43兆円の防衛費で日本を世界第3位の軍事大国に引き上げる。
兵器爆買いは自衛隊員増強とセットであり、政府はマイナで国民の個人情報をガッチリ握り、行き着く先は徴兵制。その時になって国民が気づいても、もう遅い。
「憲法18条に『何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない』とあり、国民を強制的に軍隊に入れる徴兵制は『苦役』に当たるため許容されない、というのがこれまでの政府見解です。しかし、岸田首相は憲法96条の改正手続きを使うことなく、閣議決定で先制攻撃を是として憲法の精神を破壊した人。『戦争は公益であり、国を守ることは公共の福祉である』として人権を制限して、徴兵制にまで踏み込みかねません。すでに内閣法制局にそうした案を作らせているのではないか。でなければ安保3文書の改定はできなかったでしょう。そんなことを考えてしまいます」(金子勝氏=前出)
安倍、菅、岸田政権は悪辣で巧妙だ。この10年、嫌というほど見せつけられてきた。徴兵制なんてあり得ない、と笑っていたらヤバい。
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