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※紙面抜粋
※2023年8月14日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
岸田首相は夏休み前には富山県のリサイクル工場を視察(代表撮影)。ガソリン価格は天井知らず、渋滞で燃費も悪化(右)(C)共同通信社
帰省シーズンをガソリン高騰が直撃している。新型コロナが5類に移行してから初めてのお盆とあって、どこもかしこも大混雑。何とも間が悪いことにガソリン価格の上昇が止まらない。経産省によると、7日時点のレギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均価格は前週から3.6円上がり、180円30銭だった。
5月から12週連続の値上がり。180円超えは、2008年8月に記録した181円70銭以来で、15年ぶりの高値だ。高速道路のサービスエリアなどではすでに200円を突破している。リッター200円時代突入は時間の問題だ。
ガソリン急騰に歯止めがかからないのは、エネルギー価格の高騰を抑えるとして岸田政権が1月に始めた「激変緩和対策」の一部を段階的に縮小しているからだ。ガソリンに関しては政府が石油元売り各社に補助金を出し、その分を卸売価格から差し引く怪しげな仕組みなのだが、6月以降はそれが徐々に減らされ、10月にはゼロになる予定。
一方で原油価格は1バレル=80ドルを超え、円相場は1ドル=145円前後をうろうろしている。アベノミクスの異次元緩和が招く円安が資源高に拍車をかけ、ガソリン価格は天井知らず。無能政権の薄っぺらな物価対策をお盆休みに改めて思い知らされた格好だ。
財布とにらめっこの庶民をヨソに、岸田首相の夏休みはゆったりしたもの。日程は11日から17日で、13日まで1泊2日で静岡県の農山漁村に宿泊する「農泊」を計画していたが、台風7号の警戒のため中止。14日のAI関連の勉強会と、15日の全国戦没者追悼式に出席するほかはオフだという。
夏休みは2日連続ショッピング
初日は裕子夫人と連れ立って、東京駅に隣接する丸の内オアゾ内の書店へ。村上春樹氏が4月に上梓した長編小説「街とその不確かな壁」(2970円、672ページ)や元通産官僚の平田竹男氏の著書「世界資源エネルギー入門」(3740円、396ページ)のほか、実用書の「地図でスッと頭に入る世界の資源と争奪戦」(1760円、144ページ)や「まるわかりChatGPT&生成AI」(990円、256ページ)、神道などをテーマにした歴史ミステリー小説「アマテラスの暗号」(1760円、536ページ)など10冊ほどを購入。
資源高騰のあおりで書籍価格の値上がりも加速する中、気持ちのいい買いっぷりだ。岸田の書店訪問は昨年の大みそか以来。数カ月かけて読破するんだろうか。
2日目は裕子夫人と日本橋三越本店で洋服や食品などを買い込み、ショッピングをエンジョイ。広島市の原爆死没者慰霊式・平和祈念式に出席するために地元入りした折も、百貨店でワイシャツや靴下を買い求めていた。家計を気にしない素晴らしさといったらない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「岸田政権の物価対策は小手先で、全く本腰を入れていない。インフレが加速する中、10月にインボイス制度を導入したらどうなるか。消費税の軽減税率導入に伴い、事業者同士が取引する際に互いに税額を確認するためという触れ込みですが、これまで消費税納付を免除されていた個人事業主や中小事業者には税負担や事務処理増加が重くのしかかる。コスト高のさなかに徴税強化。事業を継続するか否かの地獄の選択を迫られることになります。
コロナ禍以降、世界の100カ国・地域が市民生活を守るため、何らかの形で消費税の減税を実施している。日本でも消費減税を求める声は強いのに、岸田首相は一顧だにしない。国の一般会計の2022年度の税収は約71兆1373億円。物価高の影響で消費税収などが伸び、3年連続で過去最高です。
にもかかわらず、物価対策を手厚くするでもなく、剰余金を防衛費倍増の財源に回そうと画策し、軍拡にシャカリキ。一体、どれほどの国民がそれを望んでいるのか。まずは消費減税し、インボイスは凍結。そうしなければ、景気は悪化の一途です」
24年度に「値上げを控える」企業たった4%
自民党女性局の面々がフランスのエッフェル塔前ではしゃいでいた問題が尾を引いているのは、庶民の暮らしがますます疲弊しているからだ。
実質賃金は15カ月連続のマイナス。食品の値上げラッシュは止まらず、帝国データバンクの調査では今月も1102品目が値上がり。共同通信社が主要企業114社を対象に実施したアンケートによると、ほぼ半数の49%が24年度にかけてさらに値上げするという。「値上げを控える」と回答したのは4%だけだった。
6月の有効求人倍率が2カ月連続で低下したのは、長引くインフレによる生活苦で仕事を探す人が増えたからだ。そうした中、国会議員は次から次へと海外視察に出かけている。23年度は衆参両院で計5億3000万円の関連予算を計上。渡航費は実費支給、宿泊費の上限は3万2000円の至れりつくせりで、衆院は約90人、参院は約60人が渡航を予定している。行き先は欧州が中心だ。優雅なものである。
帰省した庶民を直撃したガソリン代は今後さらに上がる。輸入物価高を助長させる円安は、自民党応援団の大企業にうまみたっぷり、富裕層は株高でウハウハゆえに放置。狂乱物価のインフレ増税で塗炭の苦しみをなめるのは、いつだって弱者だ。
国民全体の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合を指す「国民負担率」は、22年度の実績見込みで47.5%。江戸時代の「五公五民」並みだと批判が渦巻いているのは、お上が信用ならないからだ。
1年ぶりの為替介入という不毛
経済評論家の斎藤満氏はこう言った。
「その場しのぎの対症療法でインフレにブレーキをかけられるわけがありません。景気の冷え込みを犠牲にして需給を調整するマクロ施策を打ち、根源を絶たなければ、バンソウコウを何度貼っても治癒しない。円相場が1ドル=145円台後半に迫れば、政府と日銀による1年ぶりの為替介入が現実味を帯びる。アクセルとブレーキを同時に踏むのですから、本当にバカげている。不毛の極みです。
岸田首相はアベノミクス由来の『成長と分配の好循環』を掲げていますが、その発想が悪循環を引き寄せています。慎重だった企業の考え方はすっかり変わり、『赤信号みんなで渡れば怖くない』とばかりに賃上げし、コスト上昇分を価格転嫁。物価上昇を後押ししている。岸田政権は発足から2年になろうというのに、政策の統制が全く取れていない。バカなことはいい加減にやめろ、と言いたい」
国民民主党の玉木代表も追加の物価対策を求め、X(旧ツイッター)にこう書き込んでいた。
〈岸田内閣はガソリン値下げを速やかに実行せよ〉
〈6月20日に国民民主党が@現行補助の半年延長Aトリガー条項発動B暫定税率や二重課税の廃止を政府に提言してもう2ヶ月。そろそろ動け、遅い!〉
そういえば、野党第3党の国民民主が22年度予算案に賛成したのは、トリガー条項の凍結解除で合意したからじゃなかったのか。マトモな政党に一票を投じなければ、市井の人の暮らしは決して上向かない。
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