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事件適正捜査は人権侵害しない
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2023年8月10日 植草一秀の『知られざる真実』
全国会議員が冷静にこの問題を考えるべきだ。
木原誠二官房副長官の妻X子さんの元夫である安田種雄さんが2006年4月に変死した問題。
警察は自殺として処理したが自殺ではない疑いが濃厚である。
実際に捜査を担当した殺人事件捜査のプロフェッショナルである佐藤誠元警視庁警部補が、
「自殺であることを裏付ける証拠品は存在しない。
事件性はある。
誰が見ても、あれを見て事件性がないという警察官はいないと思う。」
と明言する事件。
2006年に警察が自殺で処理したことが極めて不自然。
2018年4月に警視庁大塚警察署の女性刑事が12年前の事件捜査資料に目を留めて、
「自殺にしては、ナイフへの血の付き方がおかしい」
と違和感を持ったことで再捜査が始まったと週刊文春が伝えている。
再捜査で上記の佐藤誠氏が各種証拠を精査した。
しかし、いよいよ捜査が佳境に入るタイミングで捜査にストップがかかった。
2018年10月のこと。
国会が開かれるため、一時的に捜査が停止されたとの理解だった。
しかし、捜査は再開されず現在に至っている。
問題を発掘したのは週刊文春。
安田民雄さん死亡について事件性がある疑いを鮮明に示した。
民雄氏死亡当日に木原氏妻X子さんから電話を受けた、当時の愛人とされる男性Y氏が、X子さんから自分が殺害したと打ち明けられたと証言したことが報じられた。
これに関連して警察庁の露木康浩長官が7月13日の定例会見で、
「法と証拠に基づき、適正に捜査、調査が行われた結果、証拠上、事件性が認められないと警視庁が明らかにしている」
と述べた。
露木警察庁長官会見に反応したのが佐藤誠氏。
佐藤氏は週刊文春の取材に応じるとともに自ら記者会見を開いた。
佐藤氏は、
「警察庁長官が記者会見で、この事件を事件性がないとか自殺とか言っているんで、そのときカチンときたんですよ。
被害者に対して火に油を注ぐような発言だと思いました。
証拠品であるとか、各供述であるとか、(捜査官である自分に)集中するんですよ。
それをずっと吟味してたんですよね。
正式な発表では、適正な捜査で証拠品をもとに自殺だと(判断したという)。
しかし、そんな(自殺であることを裏付ける)証拠品は存在しないんですよ。
それは断言します」。
と発言した。
実際に捜査を担当した捜査官は事件性がある=他殺であると発言している。
同時に、自殺を裏付ける証拠は何一つ示されていない。
このような事案を自殺として処理して、捜査を打ち切ることが適切であるのかという問題。
捜査当局が「事件性がない」と結論を示したら、それが「絶対不可侵」になるのかという問題だ。
札幌のホテルで首のない死体が発見された。
このような場合でも警察当局が「自殺であると判断して矛盾はない」と断定したら、それが「絶対不可侵」になるのかという問題。
死亡した状況等から「事件性があるのではないか」との声があったとして、それを完全に無視するのが正しいと言えるのか。
「人権」が叫ばれるが、事実関係が判明しないなかで、特定の人物を犯人視した報道を展開するなら人権侵害の問題が発生する。
しかし、「事件性を否定できない以上、適正に捜査を尽くすべきだ」と外部が声を上げることは適正である。
メディアはかつて「社会の木鐸」と呼ばれた。
木鐸とは古代中国で法令などを人民に示す時に鳴らした木製の舌のある鈴のこと。
転じて「覚醒させる人」の意に用いられる。
真実が殺人事件であるのに警察が自殺だとして処理して、捜査を打ち切ることが何を意味するのかを考える必要がある。
それは、殺人犯人を無罪放免にすることを意味する。
日本の警察・検察=刑事司法の闇の一端を示す重大事案。
殺人事件である疑いが濃厚に存在する本事案を自殺として処理し、闇に葬ることは許されない。
テレビメディアが社会に警鐘を鳴らさないのは警察・検察との癒着だと指弾されて反論できないだろう。
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