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※紙面抜粋
※2023年7月21日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
資質の問題(左から木原誠二官房副長官、河野太郎デジタル相)/(C)日刊ゲンダイ
マイナンバーをめぐる底なしトラブルは、ついに前代未聞の事態に発展したのに、責任者は不在。一体、どうしたことか。
19日、政府の個人情報保護委員会(個情委)がマイナンバー制度を所管するデジタル庁への立ち入り検査に踏み切った。マイナンバー法に基づくもので、給付金などの公金受取口座に別人の情報が紐づけられた問題の詳細な調査が目的。個情委は既にデジタル庁から報告書を受け取っているが、それでは「不十分」ということで立ち入りとなった。
マイナ制度やマイナカードに対する国民の不安は高まるばかりなのだが、この立ち入り検査の当日には、とうとう“実害”のある全国初のトラブルが発生したことが明らかになった。埼玉県所沢市で、他人の口座への誤入金が起きてしまったのだ。80代女性に支払われるはずの「高額介護合算療養費」約5万7000円が同姓同名の別人に振り込まれた。
女性の家族が、支給決定通知書に記載されていた見覚えのない口座番号に気づき連絡したから発覚したものの、こうした事例は氷山の一角なんじゃないのかと心配になる。
デジタル庁への立ち入り検査後に会見した個情委の幹部は、紐づけトラブルについて「単純なミスと見るのではなく、運用体制や組織的な要因をしっかり調べることが重要だ」と、厚労省や国税庁、地方自治体などへ調査範囲を広げる可能性に言及。デジタル庁に対しては、行政指導も視野に入っている。
ところが、である。マイナ制度の根幹を揺るがす重大事態なのに、デジタル庁トップの河野大臣はのんきに外遊中。北欧からいったん帰国したものの翌日には中東へ飛び、10日以上も留守にして、22日まで戻らない。立ち入り検査については「個情委の求めに応じて適切に対応してまいります」と通り一遍のコメントを出しただけなのだ。
呆れた「俺様大臣」だが、河野の“上から目線”は今に始まったことじゃない。国会答弁では自治体に責任を押し付け、マイナカードの自主返納を「その程度の数」と切り捨てたのがいい例だ。だいたい、今は政府を挙げて「マイナ総点検中」じゃないのか。身内の自民党内から「大事な時に大臣が不在とは無責任すぎる」との声が上がったほどである。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「立ち入り検査があるから逃げ出したんでしょう。そう見えてしまいますよ。検査は“予告”されていたのだから、『マイナ制度の責任者として外遊を中止します』と言えば国民の評価も高まるのに、そういう判断ができない人物であることを自ら示した形です。今は、外国のデジタルの実態調査より、日本の実態調査をする時でしょう。無責任というだけでなく、取るべき行動を政治判断できない。これは資質の問題です」
危機感なく、発信力もなく、行き当たりばったり
国会閉会中の夏休みに閣僚や与党幹部がこぞって外遊する。毎年の光景で、物見遊山だと批判されてきた。それがコロナ禍が収束し、完全復活。弱小野党で1強政権が続き、やりたい放題の先祖返りだ。
河野に限らず、岸田首相も外遊三昧を続けている。NATO(北大西洋条約機構)首脳会議出席で欧州を訪問した後、サウジアラビアなど中東3カ国から19日に帰国した。
「外交の岸田」ぐらいしか、アピールできるものがないから必死なのだろうが、その間、九州北部と秋田の記録的な豪雨と重なった。数十年に一度という大雨で、大きな被害が出る恐れがあると事前に気象庁などが呼びかけていたのに、岸田は信じられない対応だったから驚く。松野官房長官や谷防災担当相らに「緊密に連携し、万全な対策を」と指示して、自身は外国へ。国民の生命と財産を守ることより、サウジで「法の支配」を訴えることが緊急を要するのか?
<広島サミットの時、イタリアのメローニ首相はイタリアでの洪水被害の対応のため会議を残して早めに帰国したのに>という批判がSNSで拡散されてしまうのは当然で、ただでさえ落ち目の岸田内閣の支持率はますます下落だ。
大雨に慣れていない秋田県では、水没した車内で男性が亡くなった。秋田市内では、3万世帯以上が床上や床下浸水するなど被害は広範囲にわたっている。秋田県の佐竹知事などの求めに応じる形で、岸田は18日に外遊先で、大雨の被災地に「激甚災害指定」を検討する考えを表明した。世論の批判に慌てたのは想像に難くない。
あわせて「私自身も被災地の状況を踏まえ、要望を聞く機会をもうけたい」と語り、被災地を視察する考えも示したが、後づけの“やってる感”にしか聞こえない。21日から岸田は全国行脚で車座対話を始める。この2年弱ですっかり錆びついた「聞く力」に、誰が期待するのだろうか。
政治評論家の野上忠興氏はこう言う。
「岸田首相はパフォーマンスばかり。政治は言葉で人を動かすものです。発信したことを実現していくものです。しかし岸田首相は、危機感なく、行き当たりばったりのうえ、発信力もないから、何がしたいのかよく分からない。首相がそんなだから、内閣全体も推して知るべし。多くの国民にとって、今の閣僚の中で顔が分かるのは河野大臣と松野官房長官ぐらいでしょう。防災担当大臣は誰だっけ、と首をかしげてしまうんじゃないですか。存在感の薄い、陽炎みたいな内閣です」
これほど緊張感がないのに「岸田降ろし」がなぜ起きないのか
無責任といえば岸田内閣にはもうひとり。「週刊文春」の報道でさまざまな疑惑を報じられている木原官房副長官だ。
20日は木原の妻の前夫の「不審死」をめぐり遺族が会見した。前夫が死亡したのは2006年だが、18年に再捜査が始まったものの、1年も経たないうちに突然、捜査は縮小。遺族は17日付で、再捜査を求める上申書を所轄の警視庁大塚警察署長宛てに提出したという。
文春は再捜査時に木原の妻も事情を聴かれていたことを報じ、木原の愛人が木原本人から「俺がいなくなったらすぐ(妻が)連行される」と聞かされたことを知人に打ち明ける音声もネットに公開した。捜査が縮小されたのは、「妻が自民党の政治家の家族ということでハードルが上がった」としている。
これに対し、木原は「事実無根」と主張。代理人弁護士が司法記者クラブに「刑事告訴する」と宣言する文書を出しているが、文春報道から2週間以上経っても、木原本人の口からは何も語られていない。
木原は「陰の総理」と呼ばれるほどの岸田の最側近である。疑惑に口をつぐんだままで岸田内閣はこの先、成り立つのか。
世論を無視した汚染水放出を進めようとしている西村経産相も問題だ。「地元の理解を得る」の約束を反故にしたまま突っ切るつもりなのか。岸田に負けず劣らずの“棒読み”官房長官も存在感ゼロ。よくぞスポークスマンを続けていられるものだが、とにかく岸田内閣はあり得ないような面々ばかりである。史上空前の無責任内閣と言っていい。
前出の五十嵐仁氏が言う。
「『魚は頭から腐る』ということですよ。岸田首相は秘書官に就けた長男もきちんと制御できなかった。首相としても父親としても問題がある。トップがこれほど緊張感がなく、範を示すことができないのですから、下が緩むのは当然です。首相は木原官房副長官に対しても、『丁寧な説明』を指示すべきでしょう」
もはや自民党内で「岸田降ろし」が起きないことが不思議ですらある。
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