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※紙面抜粋
※2023年7月12日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
国民生活はそっちのけ(欧州に向け出発する岸田首相と裕子夫人)/(C)共同通信社
11日の日経新聞の朝刊1面を見て、驚愕した人は多かったのではないか。<中小に淘汰の波 23年上期倒産4000件 人手不足響く>と題した記事で、中小企業を襲い始めた“地獄の倒産ラッシュ”について詳述していたからだ。
記事の根拠となったのは、前日に東京商工リサーチが発表した2023年上半期(1〜6月)の企業倒産(負債1000万円以上)の衝撃データだ。同社によると、倒産件数は前年同期比32.1%増の4042件と2年連続で増加し、上半期としては18年(4148件)以来、5年ぶりに高い水準になったという。
産業別では、飲食業を含むサービス業が1351件で最多となり、人手不足に伴う人件費上昇が経営を圧迫。資材高に苦しむ建設業は785件、円安進行による原材料高がのしかかる製造業が459件と続いた。
倒産件数は25年ぶりに全10産業で前年同期を上回り、原材料費を価格転嫁できない「物価高」倒産は3.3倍の300件に急増。「コロナ禍」倒産も6割増の1611件に上った。タダでさえ厳しい経営環境下、苦境の中小企業にさらなる追い打ちをかけているのが、原材料価格などの高騰や新型コロナウイルス対策として実施された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格的に始まったことだ。
庶民生活を苦しめる岸田政権という「人災」
2020年3月から始まった、中小企業や個人事業主に対して最大3億円を実質無利子・無担保で融資する「ゼロゼロ融資」は、民間金融機関で21年3月末まで、政府系金融機関で22年9月末まで、それぞれ受け付けされ、これまでに計245万件、約43兆円の融資が行われたという。
この「ゼロゼロ融資」を受けた企業の倒産が確認されたのは322件。すでに前年同期の1.9倍に拡大しており、今後も返済に滞る中小企業は増えると予想されている。東京商工リサーチによると、「ゼロゼロ融資返済に円安、物価高、人手不足が重なり、企業倒産は年間8000件も視野に入る」というから背筋が凍る話ではないか。
大手企業は円安でウハウハだろうが、中小企業にとってはコスト高に加え、深刻な人手不足、さらにインフレ増税……とニッチもサッチもいかない状況。日本企業の99%余りを占める中小企業がこのありさまでは、そこで働く多くの庶民の賃金が増えないのも当たり前だろう。
厚労省が発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比1.2%減で、実に14カ月連続のマイナス。こうなると、やむを得ず「ギブアップ」に追い込まれる国民が増えるのも無理はない。同省がまとめた4月分の生活保護の申請件数は1万9633件に達し、前年同月比10.6%増。前年同月比の増加は実に4カ月連続で、かつて経済大国などと称された時代が嘘のようだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「物価高、資源高の状況は今後も続くでしょう。つまり、中小企業にとっては今以上に経済環境は厳しくなるわけです。こうした状況を踏まえ、本来、政治に求められていることは庶民の生活をよくすることですが、岸田政権はマイナンバーカード普及など、ピントのずれたことばかりに力を注いでいる。これはもはや人災と言ってもいいのではないでしょうか」
「民滅びて国栄える」を許してはならない
今や庶民は光熱費や水道代、ガソリン代といった日々の必要不可欠な生活費の支出さえ切り詰めざるを得ず、薄氷を踏む思いでカツカツの暮らしを余儀なくされている。
ところが、そんな中、財務省が発表した22年度の一般会計決算概要によると、国の税収は71兆1374億円で前年度比6.1%増となり、3年連続で過去最高を更新しているというからアングリだ。
「民豊かになれば国栄える」という言葉は知られているが、これでは「民滅びて国栄える」になってしまうだろう。
税収を引き上げている要因として大きいのが、資源価格の高騰による物価上昇の影響などを受けた「消費税」(23兆793億円、前年度比5.4%増)というのも解せない話だ。物価高にあえぐギリギリの生活費から強制的に徴収された税金で国がぼろ儲けしている構図とも言えるからで、この状況を快く思っている国民は果たしてどれだけいるのか。
庶民生活に寄り添うマトモな感覚を持った政府であれば、すぐにでも消費税率の引き下げを検討したり、新たな物価高対策を講じたりするなど、いくらでも手の打ちようがあるはず。だが、岸田政権は何もせず、傍観している。それどころか、防衛費増だ、少子化対策の財源には社会保障費の負担が必要だ──などと言いだし、さらに国民生活を苦しめようとしているから狂っている。挙げ句、お気楽首相の岸田はNATO会議に出席などと、このタイミングで「軍拡外遊」に出掛けるというからトンチンカンだ。
不正義政府の片棒を担ぐ日本メディア
メディアもメディアで情けない限りだ。物価高と低賃金で苦しむ国民生活そっちのけで、岸田が戦後の日本が築き上げた平和主義を捨て去り、軍事大国化に突き進んでいるにもかかわらず、ただ静観しているからだ。
批判的な視点は一切なく、政府がやることなすこと全てにバンザイ。カネがなければ自己責任で何とかしろという岸田の無責任な「所得倍増計画」を持ち上げたかと思いきや、中身スカスカの骨粗しょう症みたいな政府方針を「骨太」と垂れ流す。国民生活が困窮する中、台湾有事や中国脅威論を持ち出し、防衛費を増大させるのは、しょっちゅうミサイルをぶっ放している北朝鮮と変わらないのに、そういう指摘はナシ。ロシアとの緊張関係が増しているNATOという「軍事同盟」の会議に今、日本の首相が参加する必要があるのかどうかについても口をつぐんだまま。
まるで黙っていることが公平中立と言わんばかりの姿勢だが、南アフリカのアパルトヘイト政策に反対し、ノーベル平和賞を受賞した故・デズモンド・ツツ元大主教が残した「不正義を前にして中立でいるということは、抑圧者の側につくことを選んだということである」との言葉を借りれば、今の日本メディアはまさに不正義政府の片棒を担いでいるだけではないか。
少し考えれば、今の岸田冷酷政権にこれっぽっちの正義もないことが分かるはず。メディアがこんな体たらくだから、政府はやりたい放題。国民生活がますます奈落の底に向かうことになるのだ。
元NHK政治部記者の川崎泰資氏がこう言う。
「岸田政権がやっている経済政策というのは結局、アベノミクスの焼き直し。失敗した経済政策を踏襲しているのだから、経済が良くなるはずがない。メディアもこれまでアベノミクスを批判的に報じてこなかったため、今さらできないのではないか」
政府とメディアがこんな調子では国民生活が良くなるはずがない。
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