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※紙面抜粋
※2023年7月7日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
笑っている場合じゃないはずだ(河野太郎デジタル相)/(C)日刊ゲンダイ
とっとと白紙撤回した方がいいのではないか。
毎日、どこかで新たなトラブルが発生しているマイナンバーカード。国民の不信と不安は大きくなる一方だ。
ここまで混乱が広がった大きな原因は、やはり現行の「健康保険証」を2024年秋に廃止し、「マイナ保険証」に一本化すると岸田政権が決定したことだろう。もともとは、「マイナ保険証」と「現行保険証」の選択制だったのに、河野太郎デジタル担当相が昨秋、唐突に「現行保険証」の廃止を決めてしまった。本来、マイナカードの取得は任意なのに、「マイナ保険証」に一本化することで、マイナカードの取得を事実上、義務化しようとしたのは明らかだ。
しかし、「マイナ保険証」に別人の医療情報がヒモづけされるなど欠陥が次々に発覚。他人に医療情報を閲覧される実害まで出ている。
これでは国民が、慣れ親しんだ「現行保険証」の存続を求めるのは当たり前だ。「現行保険証」が存続すれば、わざわざマイナカードを取得しないでも済む。
ところが、岸田政権は、なにがなんでも「現行保険証」を廃止し、国民にマイナカードを取得させるつもりらしい。
そのために、バカみたいな弥縫策を次々に打ち出している。
さすがに多くの国民は、岸田政権が「暗証番号を設定しなくてもマイナカードを交付する」と表明したことに呆れ返ったに違いない。マイナカードと健康保険証を一体化させる「マイナ保険証」としての利用に限るという。しかし、暗証番号が設定されていないために、「マイナポータル」や、住民票のコンビニ交付などのサービスは利用できないという。これでは本末転倒、マイナカードの意味がないだろう。現行の「健康保険証」と変わらないではないか。
さらに、現行の「健康保険証」が廃止される2024年秋以降、マイナカードを取得しない人に発行する「資格確認書」は、申請した人にだけ交付するルールだったのに、一転、申請しなくても交付する「プッシュ型」に変更するという。しかし、プッシュ型だったら、これまた、現行の「健康保険証」と同じなのではないか。だったら、使い慣れた現行の「健康保険証」を存続させればいいのではないか。
岸田政権のやっていることは、ほとんどマンガである。国民にマイナカードを持たせることが目的になっているのは明らかだ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏がこう言う。
「一番の問題は、マイナカードを普及させることで、日本をどんな社会にするのか、岸田首相がグランドデザインをまったく語らないことです。ただ、便利になるというだけでしょう。しかも、トラブルの連続です。これでは国民の理解を得られるはずがない。出直すべきです」
「マイナ利権」は1兆円!
なぜ、岸田政権はそこまでしてマイナカードをゴリ押しするのか。
一つはメンツだろう。一度やると決め、ここまで事業を進めてきた手前、今さら後に引けないのだろう。
とくに「突破力」を売りにしている河野大臣は、ここで撤退したら、無能の烙印を押され、“ポスト岸田”レースから脱落することになる。
もちろん、岸田政権も無傷では済まない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「岸田政権の態度は、『勝てない』と分かっていながら、開戦してしまったため、ズルズルと戦争を続けた戦中の日本と同じです。成功しないと分かっていながら、誰も『やめよう』と決断できないのは、日本社会に染みついた『失敗体質』を表している。このまま突っ込んだら、混乱は広がる一方でしょう」
メンツに加えて、岸田政権が前のめりなのは、「マイナ利権」がガッチリ出来上がっていることもあるに違いない。なにしろ、マイナンバーの事業規模は約1兆円といわれている。トラブル続きのシステムを納入している富士通の子会社を筆頭に、多くの企業が事業に群がっている。
マイナカードは定期的に更新され、そのたびに医療機関は1台50万円は下らない新しい読み取り機を導入することになる。全国に医療機関は約18万もある。この先、継続的に巨額の費用が必要になるのは必至で、巨大利権になるのは間違いない。
もちろん、潤った企業から自民党議員に、献金やパーティー券といった形でキックバックされるのは政界の常識である。
「メンツや利権など、国民のためというより、自分たちのためのマイナカードになっているのが実態なのではないか。ある意味、自民党らしいやり方と言えるでしょう。利権の温床である原発推進や、政権浮揚が目的だった東京五輪の強行、神宮外苑再開発による樹木伐採も、多くの国民の反対を押し切り、メンツと利権を優先させている。それだけに、マイナカードも国民の不安がどれだけ大きくても、強引に進めるつもりでしょう」(五十嵐仁氏=前出)
国民の声を完全無視
岸田政権は、どこまで国民の不安を理解しているのだろうか。まったく分かっていないのではないか。
朝日新聞によると、閣僚のひとりは「マイナンバーの問題はもう終わりだ。問題はもう出尽くしている」と、口にしているそうだ。いずれ国民の関心は薄れると楽観しているというのだから、国民をバカにするにも程がある。
マイナカードの自主返納は、5月25日時点で約45万枚に達している。一度、返納すれば再発行に費用がかかるだけでなく、一部の行政サービスも受けられなくなってしまう。それでも、これだけの自主返納が続いているのは、いかに国民の不信感が強いかの裏返しだろう。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「世論調査で、国民の7割がマイナカードの利用拡大に不安と答えるのも当然です。岸田政権は、銀行口座から病歴まで、あらゆる個人情報をマイナカードにヒモづけようとしている。マイナカードを取得したら、人に知られたくない病歴を含め、個人情報が全て、政府に一元管理される恐れがある。しかも、情報漏洩も起きている。これではマイナカードを返納する人が相次ぐのもうなずけます。そもそも、先進諸国で、ここまで国民の個人情報を政府が管理する制度を導入している国は日本以外にないでしょう」
本来、ここまで国民の不信と不安が強まったら、現行の保険証を存続させるとか、保険証の廃止を先送りするとか、あるいはマイナカードそのものを廃止するなど、国民の不安解消に動くものなのではないか。
なのに国民の声に耳を傾けるどころか、河野に至っては「カードを自主返納することで、ヒモづけの誤りが解決するわけではない」などと言っているのだからフザケている。「返納しても問題は消えない」「だから無駄なことをするのはヤメろ」と言わんばかりだ。
岸田も本来なら審議を尽くし、国民の不安払拭に努めるべきなのに、たった1日だけ開催された5日の閉会中審査ですら“欠席”である。
岸田は今月下旬から8月にかけて地方を行脚し、市民と車座集会を行う。マイナカードを巡るトラブルなどについて説明するというが、訪問先はたったの3〜4カ所。政権浮揚のパフォーマンスでしかないのは明らかだ。国民はツギハギだらけの弥縫策に騙されてはいけない。
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