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日銀インフレ推進政策の誤り
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2023年6月30日 植草一秀の『知られざる真実』
世界でインフレが進行している。
これに対して世界の金融政策がインフレ抑止に力を注いでいる。
米国は2022年に金融引締め政策に着手。
ゼロ金利水準にあったFFレートを5%超の水準にまで引き上げた。
歴史的に見ても異例のスピードで短期金利引き上げを実行してきた。
米国インフレ率は消費者物価指数で昨年6月に前年同月比9.1%上昇を記録した。
二桁インフレに迫る情勢だった。
FRBの強力な金融引締め政策によりインフレ率はその後に低下。
2023年5月の消費者物価上昇率は前年同月比4.0%にまで低下した。
パウエル議長が率いるFRB。
FRBの迅速かつ大胆な政策運営により事態悪化が回避されている。
長期的なインフレ予想を反映して変動する長期金利は、すでに昨年10月に低下に転じた。
インフレ心理悪化を適正な政策運営で遮断することに成功している。
欧州でもインフレ抑止のための金融引締め政策が実施されている。
金利引き上げは経済活動に下方圧力を与える施策だがインフレを加速させてしまえば、その弊害が大きくなる。
インフレが燃えさかってしまうと、その収束のための金融引締めはより強力なものにならざるを得ない。
このためインフレに対しては「早期発見、早期対処」が求められる。
このなかで日本銀行だけが「大規模金融緩和政策の維持」を続けている。
日銀は2%インフレを目指しているとする。
「消費者物価上昇率2%の目標が持続的かつ安定的な達成される見通しが得られるまで金融緩和を維持する」
としているが、何をもって「持続的かつ安定的に達成される」とするのかが不明確。
日本のインフレ率現状は深刻だ。
消費者物価上昇率は本年1月に前年同月比4.3%上昇を記録。
2023年5月の上昇率は前年比3.2%。
中央銀行は内外ともに「コア」のインフレ率を重視する。
「コア」のインフレ率とは特殊な要因で大きく変動する食料品とエネルギー価格を除くインフレ率。
日本の消費者物価指数に「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という区分がある。
この指数上昇率を見ると本年5月が前年同月比4.3%。
日銀が目標とする2%をはるかに超えている。
日本銀行がインフレ促進のスタンスを示せば事業者は価格の上方改定を加速させるだろう。
インフレが勢いづくことが考えられる。
インフレ加速は国民生活にプラスかマイナスか。
答えは明白だ。
インフレが進行すれば労働者の所得は実質的に目減りする。
実質賃金を変動させる最大の要因がインフレ率である。
日銀はインフレ率が上昇し、これに連動して賃金が上昇する好循環の形成を目指すとしているが、インフレ率が上昇するときに「実質賃金」が上昇するためにはインフレ率以上の賃金上昇が必要になる。
そのような状況の出現を想定できるのか。
答えは否。
インフレが進行するときに労働者全体の賃金上昇率がインフレ率を上回ることは想定できない。
日本の労働者一人当たりの実質賃金は1996年から2022年までの26年間に14.4%も減少した。
世界最悪の実質賃金減少国。
残念ながら日本の真実だ。
この26年間に5回だけ実質賃金が小幅増加した年がある。
その要因が何であったか。
消費者物価上昇率がマイナスに転じた局面でだけ実質賃金が増加した。
つまり、インフレは実質賃金を減らし、デフレが実質賃金を増やすという因果関係が存在する。
日銀はインフレ誘導をインフレ抑止に政策転換する必要がある。
日本円の暴落放置も国益に反する。
日銀は7月26日の金融政策決定会合で政策修正に追い込まれることになる。
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