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※紙面抜粋
※2023年6月16日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
あってはならない事件が起きた(C)共同通信社
これは、恐ろしい流れになってしまうかもしれない。
岐阜県にある陸上自衛隊の射撃場で14日、実弾訓練中の自衛官候補生の男(18)が自動小銃を乱射し、隊員3人が死傷した衝撃的な事件。男は犯行直前に教官(52)に叱られ、「教官が狙いだった」と供述しながらも、殺意は否認。自衛官に憧れていたという情報もある。何が男を凶行に走らせたのか、詳しい動機は依然、よく分からない。
武器を扱う自衛隊でこうした犯罪が起きたら、組織が成り立たない。「決してあってはならない」と、陸自の幕僚長が苦渋の表情で謝罪していたが、これでますます自衛隊の志願者が減るのは確実だろう。
ただでさえ自衛隊は慢性的な隊員不足だ。最近はセクハラやパワハラ体質もクローズアップされている。外部の目が届きにくい部隊の環境や、強い同調圧力があると指摘される。
東京新聞によれば、陸海空合わせた自衛隊の総員は現在23万人。任務遂行に必要な定員に対する充足率は9割超あるものの、若手の初級隊員に限れば8割弱にとどまり、防衛の最前線となる部隊ほど隊員不足は厳しい。中途退職者も急増しており、2021年度は10年前と比べ、退職者が1.7倍だった。
こうしたことから、自衛官候補生の応募資格の年齢制限についても、2018年に、それまでの18歳以上27歳未満を、33歳未満までに引き上げた。しかし、それでも隊員を思うように採用できていない。21年度は、2万4000人弱の受験者のうち1万7000人以上に合格を出したものの、実に1万2000人が辞退し、採用できたのは5350人だったという。
隊員激減なのに防衛費倍増の矛盾
海上自衛隊の元3等海佐で軍事研究家の文谷数重氏はこう言う。
「自衛官の人員不足には採用と離職の2つの問題があります。採用難なのは、そもそも少子化で母数である若者人口が減少していること。他の仕事の求人がたくさんありますから、給料がたいして高くない自衛官にはなりたがらない。
自衛官候補生の月給は12万9300円、4カ月目からの正規採用でも16万4700円です。離職者が多いのは、採用時の宣伝と実際の仕事のミスマッチがある。国際貢献や災害派遣のようなやりがいを求めて入っても、最初は草刈りやペンキ塗りです。集団生活や外出許可日以外は外に出られないことも離職の要因。服装や機敏ではない動作に文句をつける下士官がいるなど、人間関係のわずらわしさもあります」
国会では、防衛費増額のための財源確保法案が15日、参院財政金融委員会で自公の賛成多数で可決。16日参院本会議で成立する。昨年12月に閣議決定した「安全保障3文書」に記された通り、防衛費を2027年までの5年間で43兆円に倍増するわけだが、自衛隊員が激減している中で、防衛費だけジャブジャブに増やすことに、岸田首相は矛盾を感じないのだろうか。
「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と繰り返して中国や北朝鮮の脅威を煽り、2027年までの「台湾有事」を想定するバイデン米国のシナリオに沿って、武器の爆買いを加速。安倍政権が集団的自衛権で米国と一緒に戦争できる体制をつくり、岸田政権は敵基地攻撃を解禁。米国の巡航ミサイル「トマホーク」400発の購入はその一環だ。
しかし、どんなに武器を爆買いしても、自衛隊員が足りなければ動かせない。
「2027年までの台湾有事」で徴兵制が刻々と
では、どうやって自衛隊員を確保するのか。
防衛省は今年2月に「自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会」を設置。今夏に中間報告をまとめるとしている。
検討会は、「幅広い層から多様で優秀な人材の確保を図り、能力を十分に発揮できる環境を整備する」ということで、大学教授を座長に、人材紹介、損保、ITサービス、大手メディアなどから幅広いメンバーが選ばれている。防衛省の焦り具合がよく分かるが、防衛費倍増で軍拡路線が決まっているのだから、なりふり構っていられないのだろう。
そこで気になるのが、トラブル続出で今、大問題になっているマイナンバーカードである。政府が普及を急ぐ背景に思想管理の狙いがあるのではないか。「堤未果のショック・ドクトリン」の著者であるジャーナリストの堤未果氏が、本紙でこう警鐘を鳴らしていた。
<国民の個人情報をデジタル化し、ブラックボックスに詰めてデジタル庁が管理する。私が懸念しているのは脱炭素を理由にした市民の買い物情報の追跡です。中国が導入している信用スコアのように、ステーキを買うと、温暖化への意識が低いとして、信用情報が減点になるなどの怖い使い方が、すでにSDGsの名の下に他国でも始まっている。これは思想管理につながるので注意が必要です。9.11後の米国では“落ちこぼれゼロ法”を作って貧しい子供の成績を軍に流させる『経済徴兵制』を整備したし、ロシアは今やデジタル赤紙がスマホに送られてくる。マイナンバーカードを作ってあらゆる個人情報が紐づけられたら最後、今の日本政府の様子では何に使われるかわかりません>
就職に有利で破格の年金というアメ
米国の「経済徴兵制」では、貧しい落ちこぼれ組を狙い、入隊特典の健康保険やボーナスをちらつかせて自主的な入隊を促したという。
自衛隊の人員不足で尻に火が付いた日本でも、同じことが起きないとは言えない。
元経産官僚の古賀茂明氏も徴兵制の議論は絵空事ではない、と危惧するひとりだ。3日前の13日にこうツイートしている。
<防衛財源確保法案が焦点になっているが「防衛産業基盤強化法」はすでに国会を通った。国有武器メーカーを作るという驚くべき法律! リアルに戦争準備に入った日本。選挙後には徴兵制の議論が始まる。なぜなら、それなしには戦争できないからだ>
古賀氏にあらためて聞いた。
「最近、『継戦能力』という言葉をよく聞きます。台湾有事をシミュレーションすると、相手が中国なので戦争が長期化し、武器や弾薬が足りなくなる。だから、疲弊した武器産業に補助金を投入したり、国有化する必要が出てくる。と同時に、絶対的に必要なのは兵力です。なんとかして自衛隊員を増やさなければならない。もちろん、すぐに徴兵制になるわけではありません。段階がある。まず、待遇をよくする。予備自衛官になれば就職に有利になり、退職後は破格の年金が用意される。そんなアメも使われるでしょう」
もっとも、徴兵制には「憲法違反」がついてまわる。憲法18条に「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」とあり、国民を強制的に軍隊に入れる徴兵制は「苦役」に当たるため許容されない、というのがこれまでの政府答弁だ。
しかし……。
「自民党内では、『国防や災害救助という任務を、苦役とするのはおかしい』という議論が行われています。安倍政権は、集団的自衛権の行使容認を憲法解釈の変更という解釈改憲で合憲にしました。徴兵制も解釈改憲で合憲としてもおかしくありません。政府はしばらくは『徴兵制には絶対にしない』と言い続けるでしょうが、このまま自衛隊員が減っていけばどうなるか。米国の想定する『2027年までの台湾有事』に備え、徴兵制が現実になる日が刻々と近づいている、とみています」(古賀茂明氏=前出)
10年前まで日本が再び戦争するなんて、想像だにしなかったが、安保法制に武器輸出解禁、いまや、岸田首相は、軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議に当たり前のように出かけていく。
世襲ばかりで特権意識の強い国会議員は、「俺たち上級国民は前線に行かない」と、あっさり徴兵制を解禁しかねない。そんな日は永遠に来ないと思いたいが、止めるのは世論だ。肝に銘じておきたい。
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