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6.15は年金支給日…マイナンバー連日トラブルで高齢者に「誤支給」不安広がる
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/324424
2023/06/13 日刊ゲンダイ
国民も自治体もソッポ(河野太郎デジタル相=12日、参院決算委員会で)/(C)日刊ゲンダイ
連日、トラブルを引き起こし、すっかり“疫病神”と化しているマイナンバー。12日は、6月15日の年金支給日を前に年金がらみの問題が発覚し、高齢者を不安にさせている。
◇ ◇ ◇
総務省は12日、マイナカードの個人向けサイト「マイナポータル」で他人の年金記録が表示、閲覧されるトラブルが1件あったと発表した。道府県の職員が加入する「地方職員共済組合」が、誤ってマイナンバーを他人の年金情報にひも付けしたのが原因だという。
年金も誤って他人に支給されるのではないか──そんな不安が広がり、岸田首相は火消しに躍起だ。12日の国会審議では、「年金の支給について心配だとの指摘がありました。年金の支給は年金番号に基づいて、支給を行っており、年金の支給には支障はない」と答弁してみせた。
「マイナンバー」ではなく、「年金番号」で支給するので安心だという理屈だ。これでは、政府自らマイナカードの欠陥、ポンコツを認め、マイナンバーの必要性や安全性を否定したのも同然である。
ネット上では〈じゃあ、マイナンバーはいらないね〉〈年金番号があれば困らない〉といった投稿が飛び交った。
マイナンバーのトラブルは枚挙にいとまがない。住民票やマイナポイントが別人に交付・付与されたり、本人でなく家族名義や赤の他人の公金口座が13万件以上も発覚した。マイナ保険証でも他人の情報とひも付けされたケースが7000件超に上る。患者が10割負担を請求される事態が発生し、最悪、他人のデータがひも付けされ、誤った治療や薬の処方がされる恐れも出ている。
カード返納の動き、平塚市は口座取りやめ
安全性がないなら国民が不安になるのも当然(マイナンバーカードで住民票の写しを発行操作する住民)/(C)共同通信社
とうとう個人や自治体では“マイナンバー離れ”が始まった。「話が違う!」としてマイナカードを返納する動きが出ている。「共通番号いらないネット事務局」の宮崎俊郎氏がこう言う。
「自治体に自主返納を申し出るケースが増えているようです。これまでも街頭宣伝などで自主返納を呼びかけてきましたが、最近は明らかに『返納します』と言う人が増えています。せっかく作ったカードを返すのはよっぽどのことですが、それだけマイナンバーを危ないと捉えているのでしょう」
河野デジタル相など政府は、自治体の“人為ミス”として自治体に責任を押しつけようとしているが、自治体側もシビレを切らしたのか、神奈川県平塚市はマイナンバーとひも付けた「公金受取口座」への給付金支給を当面、取りやめることを決めた。福祉総務課の担当者は「住民側は不安に思うだろうと考え、いったん、取りやめることにした」と話した。
「住民に近いところで仕事をしている自治体として、住民に寄り添った平塚市の対応は当然だと思います。他の自治体でもマイナンバーの活用をいったん、凍結する動きは出てくるものと思われます。岸田政権は一度立ち止まるべきです」(宮崎俊郎氏)
岸田首相は「国民にご心配をおかけしている」として陳謝する一方、現行の健康保険証を来秋に廃止する方針は堅持する意向だ。これ以上、ゴリ押しを続ければ、マイナンバーで国民に迷惑をかけ続けた“疫病神宰相”として、後世に評価されることになりそうだ。
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