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※紙面抜粋
※2023年6月8日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
肝心なことを全く伝えない大マスコミ(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
デタラメにも程があるというべき改悪法の審議が国会で大詰めを迎えている。外国人の収容・送還ルールを見直すための「入管難民法改正案」のことだ。
改正案は、難民認定手続き中は強制送還を停止するとの現行規定に「例外」を設け、3回目以降の申請者は送還可能にすることを柱としている。
だが、法案に反対している立憲民主党の斎藤参院国対委員長が「毎日のようにいろいろな新たな事案が明らかになっている」と呆れ返っていた通り、ここにきて入管現場におけるずさんな実態が次々と露呈。とてもじゃないが、国会審議どころじゃない状況になっているのだ。
そもそも、法改正の議論の発端となったのは2021年の衆院法務委だった。難民と認められなかった外国人の不服申し立て審査を担う参与員を務めた柳瀬房子氏(NPO法人名誉会長)は、同委の参考人質疑で、「難民をほとんど見つけることができない」などと発言。政府はこれを引用する形で法改正の必要性を訴えてきたのだが、その後、111人いる参与員のうち、柳瀬氏は22年に審査総数の約26%に当たる1231件、21年も約20%に当たる1378件も担当するなど、不可解で異様な偏りが発覚。立憲や共産は「偏った審査ではないのか」「審査の公平性に問題がある」と猛反発する事態となった。
常識的に考えれば、1人で年間1000件を超える認定審査は不可能。つまり、法制定の背景や根拠となる立法事実に疑義が生じたのだから、本来であれば廃案にするのが当然だろう。それなのに、政府、与党そろって改正法成立にシャカリキになっているのだからめちゃくちゃと言っていい。
今後もどんな悪法が出てくるのか分からない
とりわけ言語道断と言えるのが、大阪出入国在留管理局の女性医師が酒に酔って外国人収容者を診察していた疑いだ。
共産の仁比参院議員は6日に記者会見を開き、大阪入管が1月20日に診療室の職員5人に呼気アルコール検査を実施したところ、この女性医師から1リットル当たり0.36ミリグラムが検出されていたとする「内部文書」を公表。1リットル当たり0.36ミリグラムといえば、自動車運転であれば酒酔い運転に相当するのはもちろん、免許取り消しの仰天数値だ。そんな酔っぱらい医師が、入管施設の外国人収容者を診ていたなんて、国際社会からも人権無視として批判の声が出てもおかしくはない。
振り返れば、政府は21年に名古屋入管で死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の事案を受け、「入管医療体制の強化」や「職員の意識改革」に取り組む──と説明していたはずだが、これが大嘘だったわけだ。
立憲が法案阻止のために6日に提出した斎藤法相の問責決議案は、7日の参院本会議で与党などの反対多数で否決。8日の参院法務委員会で可決された。これを受け、あらためて政府、与党は改正法の週内成立を目指す構えだが、こんないい加減な手法で法案が成立するのであれば、今後もどんな「悪法」が出てくるのか分からない。もはや民主主義もヘッタクレもないだろう。
元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「入管法改正案はいわば、(送還後の)殺人行為にもつながりかねない悪法となり得る。こうした思想や人種、人権、道徳といった内容は、多数決の対象にするべきではないのが議会制民主主義の原則です。国会は法案を通すばかりではなく、通さないことも重要。メディアが論点整理して提起するべきなのに機能不全になっているのも問題です」
政権に対してメディアがそろってひれ伏している
前出の平野貞夫氏が指摘していた通り、分からないのが、こうしたデタラメ審議の実態を大マスコミがてんで報じないことだ。安倍政権以降、国民の財産である公文書を隠蔽、改ざん、廃棄したり、国権の最高機関である国会で総理大臣や官僚が平気で嘘をついたりする光景が当たり前となり、お手盛りの閣議決定をした後、アリバイ程度の国会審議でお茶を濁す──。およそ民主主義国家とはいえない異常な状況が続いているにもかかわらず、今の大新聞、テレビメディアはそろって借りてきた猫のように静か。どこもかしこも安倍政権以上の御用メディア化で、これじゃあ権力私物化政権も楽チンだ。
週刊文春が報じた岸田首相の息子で、元首相秘書官の翔太郎らによる昨年末の「ドンチャンバカ騒ぎ忘年会」だって、大マスコミは当初、「誠に遺憾」「週刊誌報道で知った」という岸田の言い分を垂れ流していた。
その後、写真週刊誌「フライデー」が、この忘年会に岸田が寝間着姿で出席し、一緒に記念撮影に応じていた写真を掲載した途端、慌てて岸田に「公邸でこのような写真を撮ることは適切か」なんて聞いていたが、恥ずかしいったらありゃしないだろう。
官邸に常駐している大マスコミ記者は何をやっていたのか。権力を監視し、国民の知る権利に応えるために記者クラブがあるのではないのか。
記者に不可欠な批判的な視線はどこへやら。ただ発表モノを書くだけなら、中学生だってできるだろう。
大マスコミの記者は政府の広報宣伝係となった
G7広島サミットだって「歴史的」などと、岸田のお先棒を担ぐような報道ばかり。
「核兵器のない世界をライフワークとしてきた」と言いながら、「広島ビジョン」では、防衛目的での核保有を容認、正当化した岸田のペテンや、広島に原爆を落としたアメリカの大統領が「核のボタン」を抱えて広島入りし、「核なき世界」を訴えるという欺瞞、偽善をまるで伝えず、お祭り騒ぎのごとく報じていたのだから何をかいわんや。
マイナンバーカードを健康保険証としても使う「マイナ保険証」の問題でも、大マスコミは政府の言うまま「自治体の事務ミス」と繰り返しているが、そもそも現行の保険証の廃止を一方的に決めたのも、マイナンバーカードと公金口座の紐付けを半ば強制的に決めたのも政府だ。
本来であれば、システムの欠陥や誤作動が指摘されるたびに「ヒューマンエラー」と逃げ回っている河野デジタル相を厳しく問い詰めるべきなのに何もしないから唖然呆然。取材制限されても文句を言わず、首相や官房長官の機嫌を損ねないよう、会見場の空気を壊さないよう恐る恐る質問する姿は、もはや記者というよりも、政府の広報宣伝係だろう。
<岸田首相ら「かりゆし」姿で閣議に クールビズをPR>(NHK)なんて報道は典型で、少しでも記者の感度を持っていれば、「米軍基地に反対する沖縄県民を愚弄しながら、よくもまあ、かりゆしを着られるものだ」と揶揄する視点があっていいのに何もない。
市川猿之助やガーシー容疑者は大々的に報じても、入管法の改悪や防衛財源確保法案の中身はちょろちょろで、肝心なことは伝えない。大マスコミの凄まじい劣化と堕落だ。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「政権に対してメディアがそろってひれ伏している。そんな状況です。国会の外では入管法改悪デモや集会が頻繁に開かれていますが、そういった報道はほとんどない。それでいて、いつ岸田首相は解散するのか、自民と維新は手を結ぶのか、などとワイドショー的な政治報道ばかり。政策の詳しい解説、問題を指摘することを避けているようです」
選挙報道でも開票速報が始まった途端、目が覚めたように与党候補の問題を指摘し始める大マスコミ。国会報道でも「閉会に向けて与野党の攻防が激しくなってきた」などとステレオタイプの言葉で締めくくるつもりだろうが、いい加減うんざりだ。
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