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ネパール人がなぜ「袋」好きなのかがわかった そこには警察官の不当な外国人差別が ラサール石井 東憤西笑
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/324184
2023/06/08 日刊ゲンダイ
私も“職質”に遭った(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
昨年末のことだが驚きの体験をした。なんとこの年で警察官から職務質問を受けたのだ。
東京の郊外のKという街に小劇場系の劇団がよく使う有名な稽古場がある。確かにラブホテルやキャバクラなどが多い夜の街の真ん中にあり、治安がいい地域とは言えないが、駅のすぐ近くで歌舞伎町などと比べたら大したことはない。
稽古の帰り、紙袋などを抱えて、半月板を痛めていたので多少足を引きずりながら歩いていたら、1人の警察官が「ちょっといいですか」と聞いてきた。
「はい。なんですか」とごく普通に対応する。警官は「どこ行くのかな」と聞いてきたからメガネとマスクを取って、「いや、家に帰るところですよ」と紳士に対応した。
ところが向こうは、「ちょっと来てもらえるかな」と言ったから驚いた。どこに? 何しに?
「え、何。これって職質?」
「いや、まあ」
おいおい冗談じゃない。夜中に誰もいない道を歩いているんならともかく。20時ごろ駅近くの明るい道を普通に歩いていただけだ。「なんで。何か怪しかった?」と聞くと、「荷物いっぱい持って足を引きずってたから」と言う。この辺は治安が悪いので、抗争でケガをした運び屋かと思われたらしい。いやおかしいだろう! 「年寄りが足を引きずって荷物いっぱい持ってたら、『駅まで持ちましょうか』と言うのがあんたらの仕事だろう」と帽子も取って「ご存じかどうかは知らないが、ラサール石井と申します。決して怪しいものじゃない」と説明し、なんとか事なきを得た。
もしこれが一般の市民なら、何を言っても有無を言わさず連れていかれていたであろう。あらがって、手でも払おうものなら公務執行妨害で1泊させられるかもしれない。
こんな話をするのも、あるツイートを読んだからだ。コンビニの店員さんみたいな人が「ネパールの人は袋が好きだ」と呟いていたのだ。ネパールの人は何を買っても、とにかく袋に入れてくれと言うらしい。「これぐらいポケットに入れてけば」と言っても、くれと言う。袋に入らぬ大きな物でも「何か巻いてくれ」と頼むらしい。
ある時「ネパールの人は袋好きですねえ」と聞いたら、驚きの答えが返ってきた。「毎日のように職質に遭うんだよ」と言われたのだ。彼はそれで気がついた。職質でポケットから商品が出てきたら「なんだこれ。盗んだんじゃないのか」と疑われるのだ。だから買った証拠の袋がいるのだ。
彼はそれを聞いてから、ネパールの人には無料でレジ袋をあげまくることにしたそうだ。
なんと外国人に手厳しい国なのだ日本は。職質されて私でも怖かった。彼らの日々の恐怖はいかほどか。そして警察権力の怖さ。
街頭演説でプラカードを出しただけで排除される、普通のデモが鎮圧される、入管で1人の外国人を皆で押さえつけ「痛点」を押して拷問する(彼らは「痛点」を押す訓練を受けているらしい)。明らかな憲法違反。
私がアニメでやっていたような、のどかな警官はもういないのか。
ラサール石井 タレント
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。
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