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岸田首相「会期末解散」戦略は完全パァ…東京28区めぐり公明が自民にブチ切れの深刻度
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/323579
2023/05/26 日刊ゲンダイ
「信頼関係は地に落ちた」と、公明党の石井啓一幹事長(C)共同通信社
亀裂は決定的だ。次期衆院選の「10増10減」に伴って新設される「東京28区」をめぐって、自公双方が独自候補擁立を主張しモメていた一件。公明は25日の常任役員会で、擁立を断念するとともに、東京の小選挙区(全30選挙区)では自民候補を推薦しない方針を正式決定し、自民に伝えた。公明の選挙協力がなくなれば、当選が危うくなる自民党議員はゴロゴロいる。岸田首相は「自民党幹事長らに丁寧な対応を指示した」と慌てていたが、これで早期解散どころじゃなくなってきた。
◇ ◇ ◇
公明の決定は東京の自民との“関係断絶”に近い。東京では衆院選で自民候補を推薦せず、公明候補の推薦も求めないだけでなく、都議選や東京の首長選、都議会での協力も解消するという。公明の石井幹事長が「東京における信頼関係は地に落ちた」とまで言うのだから尋常ではない。
自民の茂木幹事長の求めに応じて、30日にも再び幹事長会談が行われることになったが、石井氏は「方針を一切変えるつもりはない」と言い切った。
選挙を考えれば、さすがにどこかで折り合うかと思われたが、そういう空気ではないようだ。
「20年以上連れ添ってきて夫婦ゲンカはしょっちゅうあったが、今回は妻が実家に帰ってしまった状況。もとのサヤに収まるのか、それとも離婚か。どっちに転んでもおかしくない」(公明関係者)
ここまでこじれたのは、東京28区の問題だけじゃないらしい。
大阪・兵庫で維新との選挙協力が期待できなくなり焦っている公明は、「10増」選挙区に望みをつなぎ、東京では2つの選挙区での擁立を模索してきた。ところが、公明サイドの説明によれば、区割り変更にともない東京12区から29区に移る公明現職の擁立についても自民はなかなか容認せず、自民の都連幹事長が「たとえ党本部が公明候補を推薦しても、地元の自民は無所属の自民系候補を応援する」とまで通告してきたという。
こうした軋轢が重なり、公明は頭に血がのぼってしまったわけだ。
協力解消は東京限定だが…
修復に動くのか(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
一方の自民も、都連会長の萩生田政調会長は「10増10減で減るのは自民党の選挙区だ」と強気で、28区で自身に近い元職の擁立を画策。都連内からは「今回認めたら、この先も公明の言いなりだ」との反発も上がっていて、感情的な対立はエスカレートするばかりだった。
こうなると落としどころを見つけるのは容易ではない。ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「まだお互いの着地点を探すとは思いますが、ここまで感情的にもつれると、ズルズル行ってしまい、自公の連立にもひびが入る可能性がある。今の自民執行部は公明とのパイプが細いですしね。公明の協力がなければ、自民の選挙は当然、厳しくなります。特に東京は公明の発祥の地であり、公明の推薦がなければ落選する人が出るでしょう。この問題が解決しなければ、岸田首相はとても早期解散などできません」
区割り変更前の前回2021年衆院選。自民は東京の小選挙区(全25選挙区)で16人が当選したが、公明の推薦(比例票から分析)がなければ、そのうちの4人は敗北していた。
現状、公明は協力解消を「東京に限る」としているが、既に自民党内は「全国に波及したらどうするんだ」「都連会長は責任を取るのか」などと戦々恐々だ。「サミット成功」と高揚感に浸っていた岸田首相の「会期末解散」戦略は、完全に封じられた。
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