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広島サミットは誰の筋書きかが明らかで、核廃絶の先も見えない「夢芝居」だった ラサール石井 東憤西笑
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/323486
2023/05/25 日刊ゲンダイ
平和記念公園を訪れたゼレンスキー大統領(中央左)と岸田首相(同右)/(代表撮影)
広島サミットが終わった。これを見て「各国首脳が平和公園で並んで献花! 原爆資料館を見学し、核廃絶を誓った! おまけにゼレンスキーまで来日なんて、まるでドラマのようだ! 岸田首相にノーベル平和賞を!」と手放しで喜ぶ人も。
大丈夫か。手放しすぎて転びそうだ。「ドラマのようだ」ってそりゃそうだろう。ドラマなんだから。シナリオ通りに進行しただけだ。
しかもそのシナリオを日本が書いたのならまだ評価もできるが、ライターはアメリカだ。
もちろん「核廃絶」の部分は日本の肝いりだが、そのシーンは何かおざなりな感じだった。献花もやらされてしゃーなし感が漂っていたし。日本に花を持たせて花を持ったみたいな。原爆資料館には皆行ったみたいだが、口頭での感想はなし。それも首脳によって滞在時間はまちまち。みんなで揃って見てバイデンに「こんなことやったんだ」とか話しかけて欲しかった。
そして発表された広島ビジョンには「核なき世界」への具体策はなし。むしろ「拡大抑止」つまり核による抑止力を強調し、核を容認している。そしてロシアの核を非難し、中国を牽制する。
核兵器禁止条約に尽力している被爆者のサーロー節子さんは「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」と批判している。
核なき世界の平和を願うなら…
そもそもこのサミットは日本以外で開かれていれば、核に関する話はなかった。一番の関心事はウクライナ問題であり、各国メディアもゼレンスキー中心で報道している。日本だって岸田首相が広島出身だから広島でやろう。そこで「核なき世界」を訴えたら支持率爆上がりだ。ぐらいの発想なんだろう。
本当に岸田首相が広島市民に寄り添い、唯一の被爆国として核なき世界の平和を願うなら、核の抑止力を認め、防衛費を増額し、戦争中の片方の国の元首に必勝のしゃもじを送り、広島に招いたりしないだろう。そしてもっと熱のある心のこもった演説をするだろう。
聞く記者も聞くこともすでに決まった、まさに台本通りの会見を、プロンプターやメモ棒読みでされても何も心に響かない。何年も前から準備した一世一代の大芝居なんだろう。セリフぐらい覚えてこいよ。
まさに「夢芝居」。「稽古不足を幕は待たない」「誰の筋書き花舞台」「行く先の影は見えない」だ。
ラサール石井 タレント
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属
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