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※紙面抜粋
※2023年5月18日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
庶民の実情を分かっているのか(会見する松野博一官房長官と一時3万円台をつけた日経平均株価)/(C)日刊ゲンダイ
終値は前日比250円60銭高の3万93円59銭。17日の東京株式市場で、日経平均がおよそ1年8カ月ぶりに3万円台を回復した。値上がりは5営業日連続だ。
東証株価指数(TOPIX)も、バブル景気真っただ中の1990年以来、約33年ぶりの高水準となった。
日経平均が3万円台に乗ったことについて、会見で聞かれた松野官房長官は「全体として、景気の緩やかな持ち直しが続いている」とハシャいでいたが、景気回復なんて言われても、多くの国民は、まったく実感が伴わないのではないか。
なにしろ、止まらない物価高で庶民生活はカツカツなのだ。
帝国データバンクの調査によると、食品だけ見ても昨年は累計で2万5768品目が値上げされたが、今年は春の時点ですでに2万品目以上が値上げ。
6月にもカップ麺など約3300品目の値上げが予定されている。秋までに3万品目あまりが値上げされる見通しで、1世帯あたりの食品は昨年と比べて2万6000円の負担増が見込まれている。
電気代もまた上がる。政府は16日に物価問題に関する関係閣僚会議を開き、大手電力7社が国に申請している「家庭向け電気料金」の値上げを了承。6月からの値上げ幅は、北海道電力が21%、東北電力が24%、東京電力ホールディングスが14%、北陸電力が42%、中国電力が29%、四国電力が25%、沖縄電力が38%になる。標準的な家庭で電気料金が2078〜5323円引き上げられる見込みだ。
今年の春闘では賃上げラッシュが話題になったが、ほとんどは一部の大企業の話だし、賃上げ分はこの物価高で帳消しになる。ベースアップなど望むべくもない中小零細企業勤めだと、物価高に生計が圧迫される一方だ。
実質賃金は12カ月連続マイナス
17日は全国的に気温が上がり、5月だというのに全国299の地点で30度以上の暑さを記録。東京都心も30度を超えて、今年初めての真夏日となった。
岐阜県の揖斐川では35度を超える「猛暑日」だった。
熱中症の危険を考えれば効果的にクーラーを使用したいが、電気代の値上げが気になってしまう。5月からこの暑さでは、真夏の電気代はいくらかかるのか。先が思いやられるのだ。
物価高の影響で、一般家庭の消費支出は抑制傾向にある。生活防衛のために節約して切り詰め、特に塾や予備校などの教育費が大きく減少している。
9日に厚労省が発表した毎月勤労統計によれば、物価上昇の影響を加味した3月の実質賃金は前年同月比2.9%減。これで12カ月連続のマイナスだ。物価上昇に賃金の伸びがまったく追いついていない。
こんな状況で「株価3万円超えで景気回復」と言われても、あまりに実生活と乖離していて、別世界の話みたいだ。
「日経平均の3万円台回復は、実体経済を反映したものではない。いくつかの要因が偶然重なった一時的な現象でしょう。まず、『バフェット効果』です。米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株の買い増しを公言したため、米系ファンドや日本の投機筋が追随しているのです。第二が『植田効果』。物価高は消費や雇用を圧迫するため、欧米では金融引き締めによるインフレ抑制を優先しているのに、日銀の植田総裁は異常な金融緩和を続けている。行き過ぎた金融緩和策がバブルを招いているのです。しかし、インフレで金融緩和という非常識は世界の笑いもので、いつまでも続けられるものではありません」(経済評論家・斎藤満氏)
国民生活を犠牲にして大企業だけが儲けている異常
株価3万円にかぎらず、このところ景気のいい話が続いている。先週末までに3月期決算の上場企業の発表がほぼ出そろったが、総合商社はトップの三菱商事が過去最高の1兆1806億円の連結最終利益を計上するなど、大手5社のうち4社が過去最高益を叩きだした。
メガバンクも三菱UFJフィナンシャル・グループが過去最高益だった21年度に続いて2年連続で1兆円超えとなるなど、最終利益は各グループとも堅調な業績だった。
17日に発表された1〜3月期のGDPも実質で前期比0.4%増と3四半期ぶりのプラス成長。1年換算すると1.6%増だ。これが好感され、株価上昇につながったという見方もある。
コロナ対策の行動制限が緩和されたことで外食や旅行などのサービス分野が好調だったと解説されているが、散財できるのは富裕層だけだろう。多くの庶民は物価高のあおりを受け、家計のやりくりに精いっぱいだ。来月から電気代が上がれば、ますます財布のひもは固くなる。庶民の実感としては、景気が持ち直しているとは、とても思えないのだ。
「メガバンクは店舗やATMを統廃合し、コストカットするのと並行して手数料を上げることで利益を拡大した。好業績の裏では利用者に犠牲を払わせているのです。大企業は株主迎合に走り、利益が出ても設備投資や賃上げに回さずに、自社株買いに精を出す。それも株価上昇の要因のひとつになっています。儲かっているのは大企業だけということです。また、GDPがプラスに転じたといっても、過去2四半期がマイナスですから経済状況としては弱い。それどころか、日本経済はすでに景気後退に入っている可能性が高いのです。景気先行指数(CI)は21年6月から低下傾向で、一致CIは昨年8月をピークに低下している。さらに遅行CIも低下していて景気は昨年夏から後退局面にあることを示唆している。現在の株高は実体経済とあまりにかけ離れていますが、それは国民生活を犠牲にして成り立っているのです」(斎藤満氏=前出)
G7サミット目前に株価上昇の怪
大企業が儲かるほど、国民生活は苦しくなる。歪んだ株高に浮かれている場合ではないのだ。
政治評論家の本澤二郎氏もこう言う。
「第2次安倍政権から株価と内閣支持率は連動すると言われるようになった。支持率がなぜか上昇基調にある中でG7広島サミットを目前に株価も上がったことは、なんだか怪しい。岸田首相は笑いが止まらないでしょう。すぐにも解散・総選挙を断行したい欲望にかられているはずです。ただ、岸田政権が何か有効な経済対策を打ったから株価が上昇したわけではない。物価高を放置し、投資家と大企業だけを儲けさせるアベノミクスの金融緩和を続けているだけです。一部がインバウンド需要で潤っているのも、異次元緩和で日本円が安いからで、日本の庶民はわずかな預貯金もインフレで目減りしていく。そのうえ、軍事費倍増のための増税や、異次元の少子化対策の財源確保で、岸田政権は今後もさらなる負担増を国民にのませようとしています。連日の会合で美食三昧の岸田首相は庶民の苦しみなど想像できないのでしょうが、株価上昇で景気が回復しているかのように大嘘を喧伝する大メディアも罪深い。大メディアの翼賛報道を信じていたら、国民はゆでガエルです」
週末に向け、G7広島サミットで議長国を務める岸田を持ち上げる報道が増えるだろう。経済対策より選挙対策が大事な岸田はそれで満足だろうが、G7で岸田がデカい顔をしたところで国民生活は何ひとつ良くならないのだ。
大企業の最高益も、国民生活には何の恩恵もない。
この物価高、電気料金値上げで実質賃金が減り続ける庶民はどうすればいいのか。円安を煽り続ける日銀の金融政策も検証が必要だ。防衛費に回すカネの一部でも物価高対応に使えないのか。
この政権に任せていたら、庶民は搾り取られるだけだ。それで個人消費が落ち込めば経済成長も見込めない。
この国は貧しくなる一方だ。
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