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※紙面抜粋
※2023年5月15日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
世界遺産の厳島神社も視察(岸田首相)/(C)共同通信社
19日開幕の広島G7サミットは案の定、岸田首相の手により「世紀の偽善パフォーマンス」の舞台となりつつある。
岸田は13日、広島市を訪問。各国首脳らを案内する予定の平和記念公園などを視察した後、サミット初日に各国の首脳夫妻を裕子夫人と共に同公園で出迎えるプランを記者団に披露した。最終日の21日には、インドなど招待国の首脳らとも同公園を訪れる。岸田は「被爆の実相に触れ、伝えていくことは核軍縮に向けたあらゆる取り組みの原点だ」と得意げだったが、どこまで本気なのか。
19日に岸田は各国首脳と原爆資料館を見学する方向で調整しているが、時間や展示内容については「ぎりぎりまで調整が続くと思う」と具体的な言及を避けた。資料館は原爆の脅威や惨禍の実態を伝える写真や犠牲者の遺品を展示。7年前の伊勢志摩サミット終了後、現職の米大統領として初めて広島を訪れたオバマ氏も資料館に足を運んだが、滞在はたった10分のみ。玄関ロビーに急きょ集められた数点の展示品を見ただけだった。
館内を回るには最低30分から1時間はかかる。たった10分の“駆け足”見学では「被爆の実相に十分触れた」とは言えない。ところが、今回の広島サミットでも「同じ過ちを繰り返さない」と言い切れる保証は今のところ、どこにも存在しないのだ。
被爆地・広島が選挙区の岸田は「核軍縮」をライフワークに掲げているが、核を全面的に違法とする核兵器禁止条約への日本参加はかたくなに拒否。条約の締約国会議へのオブザーバー参加すら見送り、被爆者や非核国の思いを受けて成立した条約に一貫して距離を置く。この態度ひとつ取っても「核軍縮」に向けた岸田の本気度は疑わしい。
原爆投下の大罪をナアナアで片づけるな
また、岸田の地元・広島市の教育委員会は今年2月に突然、原爆の悲惨さを伝える「はだしのゲン」を平和教育プログラムの教材から削除することを決定。被爆者団体などが撤回を求めている。削除の理由について、広島市教委は「補助的な説明が必要であり、時間が足りない」と説明。例えば、家計を助けるため、ゲンが浪曲を歌って小銭を稼ぐシーンは「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」、身重の母親に食べさせようと池の鯉を盗むシーンは「鯉盗みは誤解を与える恐れがある」などというのだが、理由になっていない。
戦争の悲惨な実態を教材にしたくない人々による“検閲”かと勘ぐりたくもなるが、岸田は地元の市教委の暴挙にダンマリだ。「被爆の実相」を伝える名作を封じ込める動きに声を上げなければ、「被爆の実相を伝えていくことが核廃絶に向けた原点」などと語る資格はないだろう。
“有言不実行”が際立つ岸田が平和記念公園で各国首脳夫妻をお出迎え、「核兵器のない世界」を訴えるなんて、被爆地「ヒロシマ」を全面利用した形ばかりの平和パフォーマンスに過ぎない。
〈1945年8月6日のアメリカの広島への原爆投下は明らかに国際法違反のジェノサイドであり、そのアメリカに抗議もせず、謝罪も求めずして核兵器使用の禁止を訴えることはできない〉──15日付の本紙コラムでそう喝破したのは、評論家の佐高信氏だ。改めて本人に真意を聞いた。
「広島サミットで岸田氏がやろうとしていることは、米国が原爆を投下したという大前提抜きの茶番です。唯一の戦争被爆国の首脳として、バイデン米大統領に『二度と核を使いませんよね』と念を押し、謝罪させてこそ、初めて核使用の抑止につながる。そこをナアナアで済ませている限り、ロシアに核威嚇を思いとどまらせることは絶対にできません」
1歩目から間違った核廃絶のアプローチ
岸田は今年1月、首相就任後初めて米国を訪問。日米首脳会談後の共同声明で、ロシアの核兵器使用は「人類に対する敵対行為であり、正当化され得ない」と糾弾した。当時、岸田が恥ずべき対米従属に陥っていると非難したのはロシアのメドベージェフ前大統領だ。
自身のSNSで岸田を〈米国の使用人〉と揶揄した上で、〈核兵器を使用した唯一の国がアメリカであり、唯一の被爆国が日本である。岸田は大統領に謝罪させるべきだった〉と指摘。〈広島と長崎で核の炎に焼かれた数十万の日本人の記憶を裏切った。岸田にとって、核兵器を唯一利用した国が米国というのはどうでもいいのだ〉と主張した。
メドベージェフの投稿は〈この恥をすすぐには帰国後の閣議で切腹するしかない〉と最後まで岸田への嘲笑に満ちていた。広島サミットでバイデンと肩を並べて「核廃絶」を訴えたって、ロシアには何も響かないはずだ。
「メドベージェフ氏に鼻で笑われるのも仕方ありません。『画竜点睛を欠く』と立派な言葉を使うまでもなく、岸田氏の核廃絶へのアプローチは1歩目から間違っています。米国の原爆投下による惨状に目をそむけているのも同然で、だから説得力がない。被爆地を利用した政治的パフォーマンスは歴史への冒涜であり、原爆で亡くなった人々や、今なお体や心への大きな痛手に苦しむ被爆者にとっては侮辱です」(佐高信氏=前出)
ところが、大メディアは偽善首相の“形だけ核軍縮”に全面協力だ。日本テレビに至っては、13日夜放送のバラエティー番組「世界一受けたい授業」に「先生役」として岸田を招待。広島サミットについて特別授業を開講させ、「世界のリーダーに被爆者の声や実態をしっかり感じてもらうことが大事。感じたものをそれぞれの国々において未来に向けて生かしてもらう。そうした工夫を日本として行っていきたい」と思う存分、抱負を語らせていた。
被爆者の願いを愚弄する戦争肯定の平和論
番組では、原爆投下から7カ月後の広島をカラーフィルムに収めた映像を紹介した。撮影したのは、黒沢明監督「姿三四郎」など数々の名作を手掛けた映画カメラマン・三村明氏。原爆が人間や建物、自然などに与えた影響を調査するために編成された米軍戦略爆撃調査団からのオファーに応じて記録したものだ。広島生まれの三村氏は生前、「惨状を記録に残したいとの一念でカメラを回した」と回想していた。
映像を見た岸田は「故郷・広島の復興を願う。その思いを記録し、後世に残した先人たちの努力が今につながっている」と当たり障りのない感想を述べたが、番組はある大事な事実に触れなかった。この戦略爆撃調査団の記録フィルムは長い間、米政府の監視下に置かれ、ようやく一般に公開されたのは1970年代の後半になってから。実に四半世紀以上も、米政府は「被爆の実相」に関する生々しい映像を封印し続けたのだ。
こうした原爆投下国アメリカの欺瞞を令和の世になぜ伝えようとしないのか。メディアの態度にも、岸田と同じ「対米従属」のにおいが嗅ぎ取れる。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「岸田首相はキーウ訪問でウクライナへの軍事的・資金的な支援強化を表明し、戦争継続を後押し。プーチン政権の崩壊を目指すバイデン大統領に追従し、停戦案を示す中国とは一線を画すどころか、米国の対中包囲網の先兵役を願い出て、軍拡路線まっしぐらです。よくぞ『広島で平和を訴える』と言えるものですが、岸田首相の考える『平和』とは武力による紛争解決の上に成り立つもの。戦争肯定の平和論は、戦争のない世界を願う被爆地の思いに逆行します。広島サミットに向けた景観整備で原爆による焼失を免れた『被爆樹木』を誤って切り倒したのが、『本末転倒』サミットの象徴です。『ヒロシマ』を箔付けに利用する岸田首相は、被爆者を愚弄しています」
うわべだけの核軍縮パフォーマンスなら、やらない方がマシだ。
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