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岸田首相、サミット後の解散・総選挙は既定路線も「維新躍進」「公明集票力低下」で望み通りにならない
https://www.news-postseven.com/archives/20230508_1866971.html?DETAIL
2023.05.08 11:00 週刊ポスト NEWSポストセブン
総選挙となれば岸田文雄・首相の思惑通りには…(時事通信フォト)
「岸田政権の中間評価」が問われた衆参5補選で自民党は4勝1敗と勝利し、永田町では解散風が一層強く吹きだしている。だが、“聞く力”をどこかに忘れ去った岸田文雄・首相の思惑通りにはいかないようだ。
望み通りにはならない
支持率上昇を追い風に総選挙準備を進めてきた岸田首相は、補選翌日のぶらさがり会見で「今解散は考えていない」と煙に巻いたものの、額面通り受け取る者はいない。後見人の麻生太郎・副総裁はその日の自民党役員会で「(補選は)立派な成績をあげたと自信を持たなければならない」と首相の背中を強く押した。
統一地方選の応援に駆け回った自民党議員たちも、地方選が終わると早速、「解散は近いぞ!」と当選した系列議員を集めて総選挙の対策を協議している。
政治ジャーナリスト・野上忠興氏は広島サミット(5月19〜21日)後の解散・総選挙は既定路線だと指摘する。
「岸田内閣の支持率は広島サミットでピークを迎える。首相にとって今が解散には一番のタイミングで、先送りするほど状況は悪くなる。勝負に出るしかないと腹を固めているはずです。通常国会会期末の6月21日に衆院を解散し、大安の7月23日投票が有力でしょう。この日程であれば選挙期間中にちょうど安倍晋三・元首相の一周忌(7月8日)をはさむことになり、保守層に強くアピールできる」
安倍氏の一周忌を選挙のテコにして勝利をめざすと見るのだ。
だが、いざ総選挙となれば、岸田首相の望み通りの結果にはなりそうにない。
統一地方選と衆参補選の結果から浮かび上がったのは、日本維新の会の躍進と公明党の集票力大幅低下だ。
維新は地盤の大阪を制覇し、和歌山補選、奈良知事選に勝ったうえに全国でも599人の議員・首長を当選させ、議席を1.7倍に増やした。次の総選挙では、大阪地盤の地方政党から本格的な全国政党へと脱皮する基盤をつくったと見ていい。維新の藤田文武・幹事長は衆院選について、「今の野党第1党より多くの議席を獲得する。候補者はそれより多く出す」と野党第1党をめざすことを宣言し、“台風の目”になるのは間違いない。
衆院選の予想獲得議席数
対照的に、自民党の集票マシンでもある公明党は地方選に全力投入することで知られ、「全員当選」が至上命令だったが、東京の区議選で8人も落選したのをはじめ、地方選全体では12人落選。集票力の低下は隠しようがない。
自民党も衆参補選は「薄氷の勝利」だった。自民有利とされる低投票率だったにもかかわらず、保守地盤の和歌山で敗北、山口、大分では僅差まで追い上げられ、都市の千葉では自民党候補の得票率は30%しかなかったにもかかわらず、野党の候補乱立で辛うじて議席を守ることができた。自民党も“選挙体力”が大きく低下している。
選挙情勢分析/野上忠興(政治ジャーナリスト)
※週刊ポスト2023年5月19日号
衆院選の選挙区別当落予想について
衆院選の選挙区別当落予想(北海道〜埼玉)
衆院選の選挙区別当落予想(埼玉〜東京)
衆院選の選挙区別当落予想(東京〜三重)
衆院選の選挙区別当落予想(三重〜広島)
衆院選の選挙区別当落予想(広島〜沖縄)
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7月投開票が有力の総選挙、全289選挙区当落予測 自民61議席減、公明20議席減で自公過半数割れも
https://www.news-postseven.com/archives/20230509_1866990.html?DETAIL
2023.05.09 07:00 週刊ポスト NEWSポストセブン
解散・総選挙をしても厳しい戦いに?(写真/EPA=時事)
先の衆参5補選で自民党は4勝1敗と勝利し、永田町では解散風が一層強く吹きだしている。政治ジャーナリスト・野上忠興氏は広島サミット(5月19〜21日)後の解散・総選挙は既定路線だと指摘する。
「岸田内閣の支持率は広島サミットでピークを迎える。首相にとって今が解散には一番のタイミングで、先送りするほど状況は悪くなる。勝負に出るしかないと腹を固めているはずです。通常国会会期末の6月21日に衆院を解散し、大安の7月23日投票が有力でしょう。この日程であれば選挙期間中にちょうど安倍晋三・元首相の一周忌(7月8日)をはさむことになり、保守層に強くアピールできる」
だが、いざ総選挙となれば、岸田首相の望み通りの結果にはなりそうにない。統一地方選と衆参補選の結果から浮かび上がったのは、日本維新の会の躍進と公明党の集票力大幅低下だ。
本誌・週刊ポストが、選挙情勢分析に定評がある野上氏の協力で、衆院選の全289選挙区の当落を緊急シミュレートしてみると、政界勢力図を塗り替える結果が見えてきた。野上氏が語る。
「自民党は旧統一教会批判と頼みの公明党の集票力低下で基礎票が落ちている。それをチャンスと見た維新は全国に候補を立てる構えだが、野党乱立は自民党の思うツボ。千葉補選のように自民の候補は票を減らしても野党乱立の漁夫の利で当選できる可能性が高まるからです。岸田首相の勝算もそこにある。
ポイントは野党の選挙区バーターです。野党第1党を争う維新と立憲民主の選挙協力は無理だが、たとえば兵庫など維新と自民が競り合う選挙区では立憲は勝てそうにない候補を無理に立てることはしない。逆に、立憲と自民が接戦の選挙区で、維新は無理に候補者を立てない。
互いにまだ候補者が決まっていない10選挙区ずつくらいで“協力はしないが、泡沫候補を立てて邪魔もしない”という事実上の棲み分けを行なえば、それだけで20選挙区くらいはひっくり返る。自民党は一気に苦戦に追い込まれるでしょう。それを前提に各選挙区の情勢を分析した」
各党の予想獲得議席は、別表のように自民党は現有勢力から61議席減の202議席、公明党も32議席から20議席と大幅に減らし、自公で過半数割れという結果になった。
選挙情勢分析/野上忠興(政治ジャーナリスト)
※週刊ポスト2023年5月19日号
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7月有力の総選挙、注目選挙区シミュレーション 丸川珠代氏、細田博之氏、石原兄弟、岸家長男も議席を失う危機
https://www.news-postseven.com/archives/20230510_1867066.html?DETAIL
2023.05.10 07:00 週刊ポスト NEWSポストセブン
逆風の選挙となりそうな人も(写真は丸川珠代氏/時事通信フォト)
永田町では解散風が一層強く吹きだしている。政治ジャーナリストの野上忠興氏は、通常国会会期末の6月21日解散、大安の7月23日投票が有力とみる。そこで、選挙情勢分析に定評がある野上氏の協力で、衆院選の全289選挙区の当落を緊急シミュレートしてみると、政界勢力図を塗り替える結果が見えてきた。
各党の予想獲得議席は、別表のように自民党は現有勢力から61議席減の202議席、公明党も20議席と大幅に減らし、自公で過半数割れという結果になった。
以下、注目選挙区を見ていこう。
●大阪・兵庫「公明全滅」の危機
「急遽の衆院解散となれば、問答無用で立てる」
維新の藤田文武幹事長は、公明党が議席を持つ大阪・兵庫の6選挙区に対立候補をぶつけると表明した。
「維新はこれまで公明の選挙区には候補を立てなかったが、大阪ではそれ以外の選挙区で全勝している。勢いのある維新が対立候補を立てれば大阪・兵庫の6選挙区で公明は全敗の可能性がある。関西だけではない。維新にとって公明党の選挙区は狙い目で、自民党が候補を立てないから保守票の多くが維新に流れ、当選しやすい。すでに東京新28区でも公明と維新がぶつかる。維新が全国の公明候補のいる選挙区に対立候補を擁立すれば、公明は小選挙区で議席ゼロになることもあり得る」(野上氏)
●東京新7区 丸川珠代「鞍替え失敗」か
次の総選挙は「10増10減」の定数是正による新区割りで実施され、東京は25選挙区から30選挙区に増える。
自民党の目玉候補が、参院から東京新7区に鞍替え出馬する丸川珠代・元五輪相だ。相手は維新の東京の目玉候補で、前回は東京旧1区で善戦した現職(比例復活)の小野泰輔氏だ。
「丸川氏はかつて子ども手当法案の採決で『愚か者めが』と批判した言動で逆風の選挙。情勢は小野氏が有利で、丸川氏の衆院への鞍替えは容易ではなさそう」(野上氏)
細田議長、危うし
●「安倍派元会長」「会長代理」の自民大物が続々落選も
自民党の大物、長老議員も思わぬ苦戦に陥りそうだ。衆院議長の細田博之氏(元安倍派会長)は「保守王国」の島根(1区)で11回連続当選してきたが、旧統一教会との密接な関係を何度も釈明に追い込まれ、次は大接戦が予想される。
安倍派では長老で会長代理の塩谷立氏(静岡8区)も当選圏は厳しい情勢。旧統一教会と関係がある「日韓海底トンネル推進議員連盟」の会長を務めたことが批判された元衆院副議長の衛藤征士郎氏(大分2区)も劣勢が予想される。
「政治とカネ」が批判されて前回は選挙区で敗れた甘利明・前幹事長は、定数是正で新設される神奈川新20区からの出馬を予定しているが、「有権者の視線は依然厳しい。新たな選挙区でも支持を取り付けるのは簡単ではない」(野上氏)と当選圏内は難しそうだ。
●「石原家」「岸家」は“議席断絶”の可能性
政界の名門出身の世襲議員は明暗を分けそうだ。
「総裁候補」の河野太郎・消費者相(神奈川新15区)や小泉進次郎・元環境相(神奈川新11区)は地盤が安定している一方、東京新8区で再起をめざす石原伸晃・元幹事長は区割り変更で地盤の一部を失い、連続落選の危機。実弟の石原宏高氏(東京新3区)も劣勢の見通し。
「東京ブロックは比例定数が増えるが、それでも自民は東京で比例の議席も減らすと予想され、小選挙区で敗れると比例復活のハードルが高くなる」(野上氏)
石原家は兄弟そろって議席を失うピンチだ。
4月の衆院山口2区補選で当選したばかりの岸信千世氏は、定数削減で次の総選挙には山口新2区からの出馬が有力だ。しかし、曽祖父の岸信介元総理、父の岸信夫・前防衛相以来の地盤を継いだにもかかわらず、補選では世襲批判を浴びて思わぬ苦戦を強いられた。
「山口2区補選の投票率は約42%と低かった。次の総選挙が前回並み(55.93%)の投票率になれば信千世氏の当選は危うくなる」(野上氏)
岸家の議席も風前の灯火のようだ。
選挙情勢分析/野上忠興(政治ジャーナリスト)
※週刊ポスト2023年5月19日号
衆院議長の細田博之氏(時事通信フォト)
甘利明・前幹事長(時事通信フォト)
岸信千世氏(時事通信フォト)
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7月総選挙後の政界再編を予測 「自民・維新大連立」誕生で馬場伸幸氏が副総理、橋下徹氏が内閣顧問の可能性も
https://www.news-postseven.com/archives/20230511_1867067.html?DETAIL
2023.05.11 07:00 週刊ポスト NEWSポストセブン
維新が自民党と大連立を組めば、馬場伸幸・代表が副総理という可能性も(時事通信フォト)
吹き出した解散風。政治ジャーナリストの野上忠興氏は、通常国会会期末の6月21日解散、大安の7月23日投票が有力と見ている。一方、統一地方選と衆参補選の結果から浮かび上がったのは、日本維新の会の躍進と公明党の集票力大幅低下だ。いざ総選挙となれば、政界勢力図が大きく塗り替えられる可能性が指摘されている。もしも、総選挙で自公が過半数(233議席)を割った場合、自民党では岸田下ろしと「連立組み替え」をめぐる政争が始まる。
過半数までわずかであれば、岸田首相は補完勢力として国民民主党を自公連立に加えることで過半数を確保し、政権延命を図ろうとするはずだ。
すでに布石は打たれている。
国民民主の連立参加構想は昨年末にも報じられた。同党の玉木雄一郎・代表は政権参加に前向きとされ、昨年は予算案に賛成、今国会は予算案反対に回ったものの、岸田首相が打ち出した「子育て支援」について自公は野党である国民民主を加えた3党で異例の実務者協議を続けている。
だが、自民党にはそれを良しとしない勢力がある。
野上氏は「国民民主と組むか、維新と組むか」の激しい路線対立が起きると指摘する。
「自公が過半数割れすれば岸田首相の引責辞任は避けられないでしょうが、首相はやめる前に国民民主との連立に動くでしょう。自公+国民の新たな連立の枠組みさえ残せば岸田派、麻生派、茂木派という現在の主流3派の主導で後継首相を担ぎ、影響力を残すことができるからです。しかし、それに対抗して、安倍派などから“敗戦責任がある岸田主導の亜流政権は認めない”と、維新とのいわば救国大連立を目指す勢力が出てきて激しく争うことになる」
まさに政界大激震だ。そのとき「自民・維新大連立」のキーマンとなるのは菅義偉・元首相だという。岸田首相の政敵で、維新の中枢とも、公明党・創価学会の中枢とも太いパイプを持つことで知られる。
「打倒岸田を鮮明にしている維新は岸田首相とは絶対に組まない。自民党で維新と交渉できるのは菅氏だけです。維新は連立の条件として岸田退陣と、自民党が維新が受け入れられる後継総理を選ぶことを当然要求するでしょう。そうなれば安倍派や菅グループ、二階派などによる主流派の入れ替えという自民党内の政権交代が起きる。
問題は公明党の動向です。自民と維新の大連立となれば、公明党が反発して連立離脱や閣外協力に転じることが予想されるが、公明とパイプのある菅氏であればそれを引き止められる可能性がある」(野上氏)
大連立政権ができたとき、次期首相に「維新が受け入れられる首相」として菅氏が返り咲くか、あるいは前回の自民党総裁選で菅氏が後継者として担いだ河野太郎氏など他の人物が就任するかはまさに「維新次第」ということになる。
事実上の“政権乗っ取り”
維新にとっても、自民党と大連立を組むメリットは小さくない。野上氏が語る。
「維新が自民党と大連立を組めば、たとえば馬場伸幸・代表が副総理、藤田文武・幹事長が総務大臣など何人かの閣僚を送り込めるし、創設者の橋下徹氏もすでに引退してはいますが、本人が望めば内閣参与や内閣顧問などに就任して政権に影響力を行使できるでしょう。
しかし、メリットはそれだけではない。維新には政治経験が浅い若い議員が圧倒的に多い。野党経験しかないままでは、3年後や4年後に政権を取ったとしても彼らが大臣や副大臣を務めるのは難しいでしょう。その点、自民党には若手議員に政調の各部会長や省庁の政務官、副大臣などを経験させ、行政経験を積ませる仕組みがある。維新にとって連立参加の最大のメリットは、若手議員を政務官などに就けて政権を動かす経験を積ませることができることです」
もともと維新は3段階の政権戦略を立てていた。前回の総選挙で41議席に伸ばした後、馬場代表(当時は幹事長)がこう語っている。
「今回の衆院選の結果は、三段跳びでいえば、『ホップ』。次の衆院選では100議席獲得を目標に『ステップ』を踏み、最後は『ジャンプ』作戦で政権を狙いたい」
政権は取ることより、維持することが難しい。
それは民主党政権(2009年)が衆参で過半数を占める完全政権交代を成し遂げながら、行政手腕の未熟さと政策の迷走、党内の内紛でたちまち国民の信を失い、わずか3年で崩壊したことが物語っている。政権を担った経験がない政党が、国政を担うのはそれほど難しい。
自民との大連立は維新の議員が「国政」を経験する機会になるのだ。
実は、かつての民主党にもそのチャンスがあった。政権交代2年前の福田内閣時代(2007年)、福田康夫・首相は野党第一党だった民主党の小沢一郎・代表(当時)に党首会談で大連立を持ちかけた。
民主党内の「大連立は自民党を延命させる」という猛反対で実現しなかったが、小沢氏は後に狙いをこう振り返っている。
「与党としての経験を積むというのと同時に、もう一つは、福田さんは、ポストも何でもやると、ほぼ言いなりだったから、それによって権力の半分を握れるわけです。そうすると、選挙にも絶対有利だと。だから、庇を借りて母屋を取ってしまおうと」(本誌2019年5月17・24日号インタビュー)
民主党はチャンスを棒に振ったが、総選挙後に自民党が維新に大連立を持ちかければ、今度は維新が、総理を誰にするか、大臣ポストも思うまま。事実上、維新による“政権乗っ取り”という状況が生まれる可能性さえある。
※週刊ポスト2023年5月19日号
日本維新の会の馬場代表(左)と藤田文武・幹事長(時事通信フォト)
かつて日本維新の会の法律政策顧問、大阪維新の法律顧問を務めていた橋下徹氏(時事通信フォト)
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