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岸田首相G7広島サミットは“親友”不在? バイデン大統領ドタキャン騒動に透ける日本軽視
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/322850
2023/05/12 日刊ゲンダイ
あまりにもつれない(訪米し、バイデン米大統領と会談する岸田首相=2023年1月)/(C)ロイター
1週間後にG7広島サミットを控えたタイミングで、米国のバイデン大統領が来日をドタキャンする可能性が強まっている。議長国トップとして、また、開催地・広島出身者として、地ならしに東奔西走してきた岸田首相にとって、まさに寝耳に水。「米国との緊密な連携」を強調する岸田首相も軽く見られたものだ。
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「交渉の状況次第だが、(日本に)行かずにオンラインとする可能性がある」──。バイデン大統領は10日、再びG7サミット開催に伴う来日を見送る可能性に言及した。米国内はいま、連邦政府の借入限度引き上げをめぐり、与党・民主党と野党・共和党が綱引き。借入限度が引き上げられなければ6月1日にもデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある。共和党との交渉に注力せざるを得ず、来日どころじゃないようだ。
岸田首相にとってはG7各国首脳が一堂に会するサミットは“最大の見せ場”だ。しかし、デフォルト危機に直面するバイデン大統領にとっては“二の次”で、日米首脳間の温度差は激しい。
ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は10日、記者団に「デフォルトの阻止は大統領にとって最も重要であり、米国経済は常に最優先事項だ」と説明。G7財務相・中央銀行総裁会議に出席するため来日中のイエレン財務長官も「(デフォルトにより)米国が世界経済におけるリーダーシップを失う可能性もある」と危機感をにじませた。
透けるのは、トランプ政権時代と変わらず明確な米国ファースト主義だ。デフォルト回避の優先はうなずけるが、裏を返せば、バイデン大統領がいかに岸田首相を軽視しているかの証左でもある。米国のリーダーシップ失墜と比べれば、岸首相のメンツなんて知ったこっちゃないのだ。
「来年に米大統領選を控える中、支持率低迷にあえぐバイデン氏にとって、いまが今後の政局を占う正念場です。国内で共和党と対峙し、いかに支持回復につなげるか。かつて1995年にも、当時のクリントン大統領が福祉予算の削減をめぐって共和党と対立し、大阪APECへの出席をキャンセルしたこともある。結果、共和党との争いを制し、翌年の大統領選で再選を果たしました。バイデンも似たような状況に置かれているので、正直、サミットどころではないのでしょう」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
バイデン大統領の「自国優先」「岸田軽視」の姿勢は、国内の政局だけでなく外交にも透けて見える。
ホワイトハウスは10日、インドのモディ首相を6月22日から国賓として招待すると発表。バイデン政権が海外首脳を国賓として招くのは、マクロン仏大統領、先月の韓国・尹錫悦大統領に続き3人目だ。
従属国は放置しインドを取り込みたい
バイデン米大統領には岸田首相のメンツなぞ、知ったことじゃない(リポーターに囲まれるなか、G7オンライン出席の可能性に言及する同大統領)/(C)ロイター
今年1月に初訪米した岸田首相は防衛費増額などを“手土産”にしたものの、バイデン大統領は共同記者会見を見送り。日米の温度差を埋めようと、岸田周辺は必死に「異例」「厚遇」との説明を繰り返し、蜜月をアピールする情けなさだった。
「バイデンにしてみれば、そもそも対米従属路線を敷く岸田首相におべっかを使う必要などない。米中対立をめぐり米国のお先棒を進んで担ぐ日本はさておき、米国にとって重要なのは対中包囲をにらんだ『グローバルサウス』と呼ばれる国々です。特に『グローバルサウス』の盟主たるインドを取り込みたい。日本よりもフィリピンの方が台湾有事の軍事戦略上、重要との見方まであり、日本を殊更に気遣う理由はないのです」(春名幹男氏)
岸田首相はバイデン大統領を「親しい友人」と呼んでいる。“親友不在”のサミットでは目も当てられない。
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