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※2023年5月5日 日刊ゲンダイ2面・3面 紙面クリック拡大
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トンズラ黒田の大罪、植田日銀の宿痾…また繰り返される無責任とカタストロフ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/322515
2023/05/05 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
累積した「負の遺産」をどうさばくのか(日銀の植田和男新総裁)/(C)日刊ゲンダイ
10年ぶりにシャッポが代わった日銀が先月末、金融政策決定会合を開いた。アベノミクスの深掘りで日本経済をヘタらせた黒田東彦前総裁から、植田和男総裁に体制が移行してから初めての会合だ。下馬評通り、異次元緩和の全面継続を決定。長期金利の上昇を人為的に低く抑え込む「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の修正にも手を付けなかった。植田は「拙速な引き締めは2%の物価目標を実現できなくするリスクの方が大きい」などと説明したが、公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」はアベコベの内容だった。1月の展望リポートと比べ、生鮮食品を除くコアCPIは上方修正された。2023年度はプラス1.6%から1.8%へ、24年度は1.8%から2.0%へと引き上げ。今回、初めて見通しを示した25年度は1.6%とした。
そうでなくても、足元の物価上昇は加速していて、インフレ圧力はどんどん強まっている。
総務省が先月末に発表した4月の東京23区の消費者物価指数(中旬速報値)は、事前予想を大きく上回る伸びだった。コアCPIは前年同月比3.5%上昇。上げ幅は3月と比べ0.3ポイント大きくなり、3カ月ぶりに拡大した。上昇は20カ月連続だ。生鮮とエネルギーを除くコアコアCPIも3.8%上昇し、3月の3.4%から上げ幅が大きくなった。東京の動きは全国の物価の先行指標だ。
作為的数字が並ぶリポート
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「『生鮮食品を除く食料』が8.9%も上昇し、物価全体を3.14%押し上げている。価格転嫁の影響です。これでも、政府による電気・都市ガスの負担軽減策でコアCPIは1%程度抑えられている。2月請求分(1月使用分)から10月請求分までの時限措置なので、このままいけば秋にはその1%が確実に乗っかってきますし、電力各社は値上げを申請しています。植田総裁が言うようなプラス幅が縮小する要素は見当たりません。サービスの比率が高い東京でこの数字ですから、19日に公表される全国の消費者物価指数はさらに上振れし、コアコアCPIは4%を超える可能性が高い。植田総裁も何かに縛られ、抗しがたい力に抑え込まれている印象です。『物価目標2%、達成期間2年、マネタリーベース2倍』を掲げた黒田前総裁の下、この10年間の展望リポートはハズレっぱなし。修正、修正、を繰り返していた。今回のリポートも非常に作為的な数字が並んでおり、次回の6月会合で修正を余儀なくされるのではないでしょうか」
一方、植田は1998年以降の金融緩和策の「レビュー」を始めることも決定。16年の「検証」、21年の「点検」は実施を決めてから2〜3カ月でまとめられたが、レビュー作業は1年から1年半程度を想定し、「残りの任期である程度は役に立てたい」とした。
デフレそのものがウソ、金融緩和の方便だった
ゴキゲンで退任(日銀の黒田東彦前総裁)/(C)日刊ゲンダイ
日銀は99年にゼロ金利政策を導入以降、量的緩和や量的・質的緩和、マイナス金利など、「非伝統的」といわれる手法を繰り出したものの、景気浮揚を後押しすることはできなかった。成れの果てが「黒田の10年」だ。アベノミクスが掲げる「経済の好循環」の実現に血眼になり、ジャブジャブの金融緩和で国債を大量に買い入れ、金利を低く抑えて円安に誘導。輸出企業を儲けさせ、株高演出の片棒を担いだ。国債頼みの政策乱発、事実上の財政ファイナンスも常態化。結果、日銀の国債保有割合は発行残高の5割を超え、バランスシートはズタズタとなり、債務超過リスクで利上げはままならなくなった。
「大規模な金融緩和は、政府のさまざまな施策とも相まって、経済・物価の押し上げ効果をしっかりと発揮しており、わが国は物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなった」
「長きにわたるデフレの経験から、賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行、いわゆるノルムが根強く残っていたことが影響し、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現までは至らなかった点は残念」
これは誰あろう、退任会見での黒田の発言だ。庶民を苦しめる物価高の元凶は最後まで自己正当化を貫き、何の責任も取らずにシレッと退場だからやりきれない。何度も書くが、日本経済をメチャクチャにしながら、反省どころか居直った前日銀総裁の罪を総括せずに再生があり得るのか。1年なんて悠長なことを言っている時間があるのか。
トンズラした黒田の大罪を迅速かつキッチリ検証し、ドラスチックな修正をかけなければ、この国の経済は1ミリも浮上できない。
「そもそも、この国の経済はモノの値段が下がるデフレではありませんでした。この30年間平均の物価上昇率は0.1%で、世界で稀有なほど物価が安定していた。安倍政権は自民党を応援する大企業を潤わせるため、金融緩和をする方便としてデフレだと言い張ったのです。この間、賃金が上がらなかったのは、企業が過去最高益でウハウハでも人件費に回さなかったから。企業本位の搾取経済がアベノミクスの本質なのです」(斎藤満氏=前出)
正常性バイアス1億総作動
植田は「日銀が行っている金融政策は適切」などと言っているが、誰に遠慮しているのか。財務省か、日本を食い物にする国際金融資本か。あるいは、日銀から去っても口うるさいリフレ派の連中か、自民党最大派閥の安倍派か。宿痾を抱える植田日銀はまたも無責任を繰り返し、この国はいよいよカタストロフに向かっていくのだろうか。国民が尻拭いの挙げ句、破局に道連れなんて御免こうむる。
共著「現代カタストロフ論」を上梓した淑徳大大学院客員教授の金子勝氏(財政学)はこう言った。
「金融緩和は短期的には効果を発揮するけれども、長期的にはリスクの累積となる。これは通説です。無視して突っ走った日銀は国債を大量に抱え込んで身動きが取れなくなり、金融政策の柔軟性を失った。円安に甘えた企業は技術開発や新たなビジネスモデルの構築を怠り、この国は経済成長できず、財政赤字を拡大し、国債買い入れ拡大の悪循環にハマり込んでいる。にもかかわらず、国全体が麻薬漬けでマヒし、危機に気づくことができない。破綻まで突っ込んでいきかねない危ういところまで来ています」
安倍政権が正常性バイアスを1億総作動させたがゆえの国家沈没。来るところまで来た。
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