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※紙面抜粋
※2023年5月1日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
GWは外遊三昧(訪エジプトで、シシ大統領と会談前に握手をする岸田首相)/(C)共同通信社
世間はGWの真っただ中。岸田首相もアフリカ4カ国とシンガポール歴訪の外交パフォーマンスに明け暮れているが、国会ではかつてないほどの「暴政」がエスカレートしている。統一地方選と衆参5補欠選挙が終わった途端、政権側は案の定のやりたい放題。GW直前には衆院で「天下の悪法」が次々とスピード可決し、今国会の成立が確実視されている。「最長9連休」などと言って浮かれている場合ではない。
政府・与党はなし崩し的に成立させようとしているが、いずれも国民生活や日本社会に悪影響を及ぼす法案だ。4月27日の衆院本会議で可決された「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」は、脱炭素推進に名を借りた「原発推進」そのものだ。
法案は、原子力規制や再生可能エネルギーに関する5法を束ねて改める。原発の活用を「国の責務」として原子力基本法に明記。原発の運転期間を「原則40年・最長60年」に制限する現在の規定は事実上撤廃され、70年超の老朽化原発の稼働にも道筋をつける。
既存原発の活用にとどまらず、新規建設を含め原発を最大限活用。「原発回帰」どころか、将来にわたり「固定・永続化」。福島原発事故の被害はいまだ収束していないのに、被災者の苦しみや事故の教訓をないがしろにし、多くの国民が望む「原発ゼロ」への願いを踏みにじる内容だ。
岸田政権は堂々と「もう、フクシマは忘れた」と宣言したも同然で、原発の復権を許す重大な法案が、1カ月足らずの審議で衆院を通過してしまったのだ。それだけでも暗澹としてくるが、スピード可決した悪の法案は、まだまだある。
皆保険は崩れ、国を挙げて「死の商人」に
同じく27日に衆院を通過したマイナンバー関連法改正案は、現行の健康保険証の廃止を盛り込み、「マイナ保険証」に一本化。医療を“人質”に取り、カード取得を強制するものだ。本来、国民に保険証を届けることは国の義務なのに、あくまで政府は「取得は任意」の建前を崩さない。個人情報流出などのトラブルが起きた際、責任を負いたくないからだろう。
任意なら何が起きても自己責任という理屈で、取得申請が困難な重い病気などの人々は度外視。その結果、取得困難者は保険から排除され、世界に誇る日本の「国民皆保険」制度の大原則が、音を立てて崩れかねない。
さらに、同日には衆院安全保障委員会で防衛産業強化法案が可決された。国内の軍需産業を強化するための財政支援措置を盛り込み、助成金交付などで武器輸出を後押し。殺傷能力のある武器の輸出解禁を念頭に、自民・公明両党で始まった「防衛装備移転三原則」の見直しに向けた実務者協議とセットで、国を挙げて「死の商人」とならんとする危険な法案だ。
28日の衆院法務委員会では怒号が飛び交う中、入管難民法改正案が可決。2年前に廃案となった法案とほぼ同内容で、日本の入管制度における人権侵害という恥ずべき国際問題は棚上げ。長期収容の解消を名目に、内戦や差別から逃れてきた難民申請者の本国への強制送還を促すシロモノだ。本来なら、外国人の技能実習制度を今後どう見直すのか、移民政策はどうするのかといった課題と合わせて熟議すべきテーマではないか。
どれもこれも1国会、2国会かけて徹底的に議論を尽くす必要のある重要な法案ばかり。それなのに、政府・与党は審議が不十分なまま、次から次へ通してしまう。国民無視の暴走がまかり通るのも、悪政に手を貸す勢力が存在するためだ。
どっちが与党に近いかを張り合う補完勢力
これまで列挙した法案は、衆院本会議や各委員会で自公与党に加え、日本維新の会と国民民主党も賛成した。
安倍政権は重要法案の強行採決を連発。数頼みの強権政治は批判を浴びたが、国会の現状は当時よりも危うい。いくら危険な法案でも、維新と国民民主がホイホイ乗っかれば、政府・与党は楽チンだ。少なくとも2つの野党が賛成に回れば、批判覚悟で強行採決する必要もなくなる。
そもそも、維新と国民民主は本当に「野党」と言えるのかさえ、疑わしい。維新のルーツは大阪府議会の会派「自由民主党・維新の会」。2010年4月に当時の橋下徹府知事と大阪自民の地方議員が「大阪維新の会」を結成するが、当初は多くの議員が自民党員のままだった。
そして維新代表も務めた橋下に松井前代表と、安倍元首相に菅前首相との会食が、暮れの恒例行事となり、維新は陰に陽に安倍・菅両政権と握ってきた。自称「改革政党」は政権の補完勢力。逆に野党勢力とみる方が維新に失礼なくらいだ。
国民民主も22年度予算案と補正予算案に賛成した時点で、野党を名乗る資格ナシ。23年度予算案に反対したのは、目前に迫っていた統一地方選向けに「野党のふり」をしたポーズに過ぎない。
政界引退後も維新に影響力を残す結党メンバーの橋下や松井が菅と強固なパイプを持つのに対し、国民民主の玉木代表らは、麻生副総裁や茂木幹事長を窓口に政権入りを模索しているとされる。
まるで「どっちが与党に近いか」を競い合っているような状況だ。むしろ、万年野党の地位に甘んじるくらいなら、いつ政権側に組み込まれても構わないと思っているフシすらうかがえる。
諦め顔は翼賛体制に手を貸すのと同じ
野党のままでは上がり目なし、あわよくば重要ポストが回ってくるかもとの下心を抱き、政権にくみする維新と国民民主。こんな連中との「共闘」を求め、野党第1党の立憲民主の泉代表は秋波を送り、統一選で共産党は除名問題でミソをつけ、国政政党からマトモな野党は消えつつある。野党不在の国会は事実上、戦前・戦中の大政翼賛会に逆戻り。政権はますます図に乗り、国民無視の暴政が加速するだけだ。
「岸田首相の『聞く力』なんて大嘘。野党不在まで重なれば生活苦にあえぐ国民の声は、政権の耳に届きません」と語るのは、経済評論家の斎藤満氏だ。こう続ける。
「今の政権には米バイデン政権と産業界の要請こそ“天の声”。5年間で43兆円の軍事費拡大は米国の、為替の円安維持は産業界の、それぞれ利益に従ったものです。そのためなら増税や物価高騰もいとわない。増税の対象も産業界の嫌がる法人税は聖域で、個人に押し付ける。マイナス金利の長期化に耐え切れず金融機関は振込手数料を大幅アップ。預金者にしわ寄せが及ぼうが、日銀の植田新体制はかたくなに緩和策維持です。少子化対策の財源も社会保険料の引き上げだけでは不公平と言って、後期高齢者にも負担を求める。長生きリスクは増加の一途で、政権側は『年寄りは早く死んでくれ』と考えているとしか思えない。国民の生活実感に寄り添う批判勢力が消滅すれば、経済無策にブレーキはかからない。政権側は国民生活に目もくれず、貯蓄ゼロ世帯や年金生活者など経済弱者の暮らしは、どん底に沈んでしまいます」
やまない暴政、経済無策の先に待ち受けるのは、国民生活の破綻だ。
「この政権は軍事費増大にマイナンバー強要など軍事国家、監視国家を目指して一直線。メディアが批判精神を失っているせいで、国民の危機感は薄いままとはいえ、気づけば身動きが取れなくなってしまう。政権交代の現実的な可能性がほとんどないと有権者まで諦め顔では『自公維国』に手を貸すのと一緒です。衆参5補選も自民は薄氷の勝利。政治が変わる余地は十分にある。野党内の健全勢力も権力と決して妥協せず、戦う姿勢を示すべきです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
翼賛体制を黙認すれば、この連休は恐らく破局の前の最後の宴になるだろう。国民は本当にそれでいいのか。
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