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岸田首相襲撃事件で思い出す…1981年レーガン米大統領暗殺未遂 週刊誌からみた「ニッポンの後退」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/322356
2023/04/30 日刊ゲンダイ
動機は不明…(木村隆一容疑者)/(C)日刊ゲンダイ
「山上と、ウチの隆ちゃん。一億分の二だよ。まぁ隆ちゃんは、宗教がどうとか、そういうのはないけどね。ただ、あんなことをする奴なんて、どこかしら頭のネジが外れているんよ」
こう週刊文春(4月27日号)に話したのは、4月15日に衆議院和歌山1区補選の応援のため雑賀崎(さいかざき)漁協に駆けつけた岸田文雄首相を狙って、パイプ爆弾のようなものを投げつけ、逮捕された木村隆二容疑者(24)の実父の言葉である。
「一億分の二」というのは、昨年7月に安倍晋三元首相を手作りの銃で狙撃し、命を奪った山上徹也被告と息子のことを言っている。
父親は、こうした人間はめったに出てこないという意味で言っているのだろうが、果たしてそうだろうか。私はこの言葉がものすごく気になっている。
戦後77年、安倍元首相狙撃事件が起こるまで、政治家を狙った暗殺事件は、1960年10月に起きた浅沼稲次郎社会党党首刺殺事件と、2007年4月、伊藤一長長崎市長が暴力団幹部に銃撃されて死亡した事件ぐらいしかなかった。
浅沼を刺した山口二矢(おとや)は当時17歳だったが、高校を中退して右翼運動に没頭し、逮捕後は「日本を赤化から守りたかった」と語っている。私は彼の考えを是としないが、明確な動機を持っていて、その後、東京少年鑑別所で自裁している。
三島由紀夫は山口を評価し、大江健三郎は「セヴンティーン」を、沢木耕太郎は「テロルの決算」を上梓(じょうし)した。
それが、昨年7月の安倍暗殺事件からわずか9カ月後に、現職の岸田首相が狙われる事件が起きた。しかも山上も木村も動機が判然としないのだ。木村に至っては、報道されている通りだとすれば、選挙制度に不満があったからだというのである。
しかし、明確な動機のないテロというのは頻発している。有名なのは1981年にレーガン大統領を暗殺しようとしたジョン・ヒンクリーである。
彼は大学時代に映画「タクシードライバー」を見て、12歳の売春婦を演じたジョディ・フォスターに恋焦がれ、何度も彼女に接触しようと試みるが失敗する。すると「歴史上の人物になり、フォスターと同等の立場に立つため」に大統領を暗殺しようと思い立ち、レーガンを付け狙うようになった。
群衆に紛れ、大統領専用車に乗り込もうとしたレーガンを狙撃し、左胸に命中させたのである。シークレットサービスの好判断でレーガンは何とか一命を取り留めたが、逮捕されたヒンクリーは「精神異常」と判断され、無罪になったのである。
この国でも、自分が金持ちになれないのも、女優と恋愛できないのも、東大に入れないのも、みんなこの国の宰相が悪いからだと鬱屈した思いを抱いている人間が、裏ネットで手に入れた銃や爆弾で、時の首相を狙うようになるかもしれない。
そうなれば、テロに怯えた政治家たちが、今以上の監視社会、警察国家にしようとしてくるに違いない。私はそれを恐れているのだが、杞憂に終わりそうである。警察庁の親玉である谷国家公安委員長が、岸田が襲われたと視察先で連絡を受けても、「(地元の)うな丼をしっかり食べた」と発言したからだ。
この驚くべき危機意識の欠如は、平和ボケしたこの国が唯一胸を張って誇れる「世界遺産」といってもいい。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「週刊フライデー」元編集長)
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