http://www.asyura2.com/23/senkyo290/msg/269.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2023年4月27日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
選挙が終わったとたんに(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
「非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての歩みを変えるものではない」「防衛装備品の海外への移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために望ましい安全保障環境の創出や、侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段だ。与党における検討も踏まえつつ議論を進めていく」
26日に開かれた参院本会議。岸田首相は昨年末に閣議決定した国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定について報告したほか、防衛装備品の海外移転に向けた議論を促進する考えを表明。自民、公明両党は25日から、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直し協議を始めており、岸田も「重要な政策的手段」として今後、防衛装備品移転の見直し議論を本格化させるとみられる。
防衛装備品という言葉でごまかしているものの、要するに「殺傷能力を持つ武器」の輸出入に日本も本格参入すると宣言しているに等しく、選挙が終わった途端、待ってましたとばかりに武器の輸出入議論が始まったワケだ。心ある国民は驚き、呆れ果て、怒り心頭に違いない。
振り返れば安倍政権も同じだった。第2次政権発足後の2014年、武器の輸出や国際共同開発を基本的に認めず、必要に応じて例外規定を設けて運用する──という、それまでの「武器輸出三原則」を転換し、運用ハードルを大幅に緩めた「防衛装備移転三原則」を閣議決定したからだ。
有権者の半数以上が投票しない選挙の正統性
衆参両院の国会決議で補強された「国是」とも言うべき「武器輸出三原則」を何の議論もなく勝手に閣議決定で変えた安倍と、それをさらに改悪しようと前のめりになっている岸田。どちらもそろって戦後の日本が築き上げてきた「平和国家」の姿を破壊する最悪の首相と言っていいが、岸田がヤケに自信満々で暴走しているのは、先の衆参補選や統一地方選で信任を得たと勘違いしているからだろう。
「重要政策課題をしっかりやり抜けという叱咤激励をいただいたと受け止めている」
衆参5補欠選挙が行われた翌24日、岸田は選挙結果に手ごたえを感じたような口ぶりだったが、果たしてそう断言できるのか。総務省によると、9日投開票された統一地方選(前半)の投票率(平均)は、9道府県知事選が46%台、41道府県議選が41%台で、いずれも過去最低。同時に行われた6政令市長選、17政令市議選も50%に届かず、23日投開票の55町村長選や280市議選などでも過去最低だった。
衆参補選でも衆院千葉5区の投票率が38.25%、参院大分は42.48%。つまり、選挙区の有権者の半数以上が投票していないことになるわけで、これでは正統性を疑う声が出ても不思議ではない。
ジャーナリストの高野孟氏が27日付の日刊ゲンダイコラム「永田町の裏を読む」で、こうした低投票率を嘆き、「民主主義とは何なのか」と書いていたのも当然だろう。
ジャーナリストの横田一氏はこう言う。
「選挙に勝てば何でもできるとばかり、早速、武器輸出に前のめり。対ロ、対中包囲網の必要性を訴えていますが、紛争の当事者でもない日本がやるべきことは本来、仲介役です。欧米に足並みをそろえて戦争準備しているかのようで、国民を危険にさらすだけでしょう」
危険な兆候を見逃さず、思考停止に陥らず、声を上げる
投票率が低くなるほど、宗教団体など特定勢力の支持に支えられた候補者が当選する可能性が高まる上、その特定勢力の主義や主張が政策に反映されやすくなる。
自民党との蜜月関係が明らかになった旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が全国の自治体議会に対して積極的に働きかけていた「家庭教育支援条例」の件でも指摘されていただろう。
こういう偏った政治情勢、状態でマトモな民主主義が育つはずがない。ハッキリ言って、今の状況はエセ民主主義と断じていいだろう。
つまり、形だけの選挙で信任を得たと胸を張り、勘違いしているエセ政治家が、多数決の原則、少数意見の尊重という民主主義の原則を無視し、やりたい放題。それが今のこの国に突きつけられた現実ではないのか。
エセ民主主義の例を挙げればキリがない。自分や家族、取り巻きといった、ごく限られた人の懐だけが潤うことだけを考え、そのためには国民の財産である公文書の隠蔽、改ざん、廃棄もお構いなし。国権の最高機関である国会を軽視し、ロクに審議しないまま、時間が経てば閣議決定でハイ一丁上がり。「丁寧な説明」と言うばかりで合理的な説明は何もせず、ひたすら的外れのトンデモ論を繰り返して国民や野党が疲れ果てて気力を失うのを待つ。
昨夏の安倍銃撃事件以降、暴力による民主主義の破壊は許されない、などと声高に叫びながら、暴力によらない民主主義の破壊を当たり前のように続けているのが今の政権の実態なのだ。
金持ちや政治エリートによる逆さまの全体主義
「民主主義とは実は、一部の金持ちや政治的エリートが羊飼いとなって従順な羊の群れを思うがままに管理するための『逆さまの全体主義』の道具なのである」
前出の高野氏はコラムで、ドイツの社会心理学者ライナー・マウスフェルト「羊たちの沈黙は、なぜ続くのか」(日曜社)を引用する形で、こう書いていたが、まさにその通り。
過去の歴史を振り返っても、一部の政治家が民衆を煽り、先導し、日本を戦争の道に引きずり込んでいったわけで、エセ民主主義によって日本社会が全体主義へと流れていった状況を忘れてはならないだろう。
そして、そんなエセ民主主義国家が今、G7でも「世界のリーダー」を気取り、対ロ、対中包囲網の先頭に立とうとしているのだから危うい以外の何物でもない。
本来は国民から異論、反論が出ても不思議ではないが、暴政にならされたのか、あきらめたのか、それとも事なかれ主義となったのか。いずれにしても有権者の鈍感さに対してもクラクラしてしまう。
元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「今回の選挙では、投票率の高い都市部で女性議員が多く当選し、自民党の現職議員の落選が目立ちました。国民の政治不信がかつてないほど高まり、全体的に見て投票率が落ちているとはいえ、それに対する危機意識も確実に強まっている。日本が危うい方向に向かわないよう、こうした動きを連携させていくことが重要でしょう」
2016年に安全保障関連法が施行されてから7年経った今年3月下旬、東京新聞は社説で、フランス作家の寓話「茶色の朝」を取り上げ、今の日本を取り巻く政治情勢を憂い、こう呼びかけていた。
「危うい兆候があるにもかかわらず、不自由を感じないという『事なかれ主義』で思考停止に陥り、声を上げずにいると自由な言論は封殺され、全体主義の台頭を許すに至る、ということにほかなりません」
「危険な兆候を見逃さず、その影響をとことん考え抜く。思考停止に陥らず、面倒がらずに声を上げる。そうした一人一人の行動の積み重ねこそが、『茶色の朝』を迎えることを阻むはずです」
いつか来た道とならぬよう、有権者は今こそ、声を上げるべきだ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。